BMIは筋肉がある人に当てはまるか 25以上でも肥満とは限らない理由
筋肉が多い人はBMIが25を超えても体脂肪が多いとは限らない。日本肥満学会の肥満度分類、大学生アスリートでBMIの特異度が低かった研究、令和6年国民健康・栄養調査のBMI平均、代わりに見るべき腹囲・ウエスト身長比・FFMIを整理した。
BMIは身長と体重だけで決まるため、筋肉が多い人は体脂肪が少なくても25以上になり「肥満」と判定されることがある。大学生アスリートの研究でも、BMIで過体重とされた男性選手の多くは体脂肪が多くなかった。
2026年10月21日 公開|KINNIKU TIMES 編集部
健康診断でBMIが25を超え、「肥満」と書かれて戸惑った経験のある筋トレ愛好家は少なくない。BMI(体格指数)は大勢の健康リスクをふるい分けるには便利な指標だが、体重の中身が筋肉なのか脂肪なのかは区別できない。本記事では、日本肥満学会の判定基準、BMIの精度を調べた研究、厚生労働省の国民健康・栄養調査(令和6年=2024年)のデータをもとに、筋肉が多い人がBMIをどう読めばよいか、代わりにどの指標を見ればよいかを整理する。
BMIの計算方法と日本の肥満の基準は
BMIは「体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」で計算する。日本肥満学会の基準では、18.5以上25未満が普通体重、25以上が肥満である。厚生労働省のe-ヘルスネットは、同学会の「肥満症診療ガイドライン2022」をもとに次の肥満度分類を示している。
| BMI(kg/m²) | 判定(日本肥満学会) |
|---|---|
| 18.5未満 | 低体重 |
| 18.5以上25.0未満 | 普通体重 |
| 25.0以上30.0未満 | 肥満(1度) |
| 30.0以上35.0未満 | 肥満(2度) |
| 35.0以上40.0未満 | 肥満(3度) |
| 40.0以上 | 肥満(4度) |
日本肥満学会の肥満度分類の表では、世界保健機関(WHO)の基準も併記されており、25以上30未満はWHOでは「Pre-obese(前肥満)」、30以上が「Obese(肥満)」にあたる。日本の「肥満(1度)」は、WHOの分類では肥満の手前の段階に相当する。同学会はこの表の注で、肥満(BMI25以上)は医学的に減量を要する状態とは限らないとも明記している。たとえば身長175cm・体重80kgならBMIは約26.1で、日本の基準では肥満(1度)になる。
ここで押さえておきたいのは、日本肥満学会が「肥満」と「肥満症」を分けていることだ。同学会の解説によると、「肥満」は太っている状態を指す言葉で、病気を意味するものではない。肥満(BMI25以上)に、肥満による11種の健康障害が1つ以上あるか、健康障害を起こしやすい内臓脂肪蓄積がある場合に「肥満症」と診断され、医学的な減量治療の対象になる。BMIが25を超えたこと自体は、病気の診断ではない。
筋肉が多い人でBMIが外れるのはなぜか
BMIの分子は体重で、そこには脂肪も筋肉も骨も水分も含まれる。筋肉は同じ体積なら脂肪より重いため、筋肉を増やした人は、脂肪が少なくても体重が重くなりBMIが上がる。
この問題を数字で示したのが、米ミシガン州立大学のOdeらがMedicine & Science in Sports & Exercise誌(2007年)に発表した研究だ。大学生のアスリート226人と非アスリート213人の体脂肪率を空気置換法(BOD POD)で測り、BMI25以上を「過体重」とした判定が、体脂肪率(男性20%、女性33%以上を体脂肪過多とした)とどれだけ一致するかを調べた。
結果、男性アスリート・男性非アスリート・女性アスリートでは、BMIの感度は高い(0.83〜1.0)一方、特異度は低かった(0.27〜0.66)。特異度が低いとは、体脂肪が多くない人まで「過体重」と判定してしまう割合が高いことを意味する。研究者らは、体脂肪率から見た最適なBMIの区切りを次のように算出した。
| グループ | 体脂肪率に合わせた最適なBMIの区切り |
|---|---|
| 男性アスリート | 27.9 |
| アメリカンフットボールのラインマン | 34.1 |
| 男性非アスリート | 26.5 |
| 女性アスリート | 27.7 |
| 女性非アスリート | 24.0 |
男性アスリートでは、BMI25ではなく27.9あたりで区切ったほうが体脂肪率の判定に近かった。研究者らは、大学生アスリートと非アスリートの体脂肪の分類にBMIを使う際は注意が必要だと結論づけている。ただし対象は米国の大学生で、この区切りをそのまま日本人や一般のトレーニーに当てはめることはできない。
逆に「BMIは普通でも脂肪が多い」人もいる
BMIの誤りは一方向ではない。Okorodudu氏らが25研究・3万1,968人を統合したメタ分析(International Journal of Obesity、2010年)では、一般的なBMIの区切りで肥満を判定した場合、体脂肪率で見て脂肪が多い人を見つける感度は0.50、特異度は0.90だった。BMIで「肥満」と出た人はおおむね実際に脂肪が多い一方、脂肪が多い人の半数はBMIでは見逃されるということだ。筋肉が少なく脂肪が多い、いわゆる「隠れ肥満」はBMIでは捉えにくい。
体成分分析装置のInBodyも、結果用紙の解説で、体重が標準より重くても体脂肪量が標準で筋肉量が多い型を「過体重・強靭型」と呼び、ボディビルダーにみられる体型で、体重が重いのは筋肉量が多いためであり肥満が原因ではないと説明している。
日本人のBMIの平均と「肥満」の割合(2024年)
厚生労働省の令和6年国民健康・栄養調査(2024年10〜11月実施、2025年12月に結果の概要を公表、e-Statに統計表を掲載)によると、20歳以上のBMIの平均値は男性23.76、女性22.20だった。BMI25以上の肥満者の割合は男性32.4%、女性19.3%である。
| 年齢 | 男性 BMI平均 | 男性 肥満(25以上)の割合 | 女性 BMI平均 | 女性 肥満(25以上)の割合 |
|---|---|---|---|---|
| 20〜29歳 | 22.48 | 21.0% | 20.94 | 7.4% |
| 30〜39歳 | 23.97 | 34.2% | 21.36 | 11.9% |
| 40〜49歳 | 24.22 | 35.7% | 22.14 | 18.5% |
| 50〜59歳 | 24.37 | 38.2% | 22.30 | 21.2% |
| 60〜69歳 | 23.86 | 33.6% | 22.45 | 20.6% |
| 70歳以上 | 23.44 | 29.4% | 22.57 | 22.8% |
40〜50代の男性は3人に1人以上がBMI25以上で、平均値自体も24台と25に近い。こうした集団では、BMIが25を超える理由の多くは体脂肪の増加だと考えられる。一方で、統計上は同じ「肥満」に、筋トレで筋肉を増やした人も含まれる。BMIは集団の傾向を見るには役立つが、個人の体の中身を判定する道具ではない。
筋肉がある人はBMIの代わりに何を見ればよいか
BMIが25を超えた筋トレ愛好家が確かめたいのは、「体重が重いのは筋肉のせいか、脂肪のせいか」である。そのために役立つ指標を整理する。
| 指標 | 計算・測り方 | 目安 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 腹囲(ウエスト周囲径) | 立位・軽く息を吐いた時に、へその高さで測る | 男性85cm以上・女性90cm以上で内臓脂肪蓄積の目安(日本の基準) | メジャー1本で測れる。筋肉量の影響を受けにくい |
| ウエスト身長比 | 腹囲(cm)÷身長(cm) | 0.5以上で代謝リスクが高い傾向(日本人8,278人の研究) | 男女で同じ基準を使える |
| 体脂肪率 | 体組成計、DXAなど | 機器ごとの判定表に従う | 機器で値が大きく異なる |
| FFMI(除脂肪量指数) | 除脂肪体重(kg)÷身長(m)の2乗 | 筋肉の多さを身長で補正した値 | 体脂肪率の推定誤差がそのまま乗る |
まずは腹囲を測る
最も手軽で信頼しやすいのが腹囲だ。日本のメタボリックシンドロームの診断基準(2005年、日本内科学会など8学会)では、腹囲男性85cm以上・女性90cm以上を内臓脂肪蓄積(内臓脂肪面積100cm²相当)の目安とする。筋肉が多くBMIが26〜27でも、腹囲が基準を大きく下回っていれば、体重の増加分は主に筋肉である可能性が高い。腹囲の測り方と平均値はウエストの基準と平均で詳しく解説している。
Hsieh氏らは、日本人男性6,141人・女性2,137人を分析し(International Journal of Obesity、2003年)、ウエスト身長比0.5を境界値として提案した。BMI25以上の人のほぼ全員(男性98.5%、女性97.5%)がウエスト身長比0.5以上だった一方、普通体重でも男性の45.5%、女性の28.3%が0.5以上で、その人たちは代謝リスクが高かった。身長175cmなら腹囲87.5cmが0.5にあたる。
FFMIで「筋肉による重さ」を確かめる
体脂肪率が分かれば、除脂肪体重とFFMIを計算できる。同じ身長170cm・体重75kg(BMI約26.0)でも、体脂肪率で中身は大きく変わる。以下は編集部による計算例である。
| 例(170cm・75kg) | 体脂肪率 | 除脂肪体重 | FFMI |
|---|---|---|---|
| 筋肉が多い人 | 12% | 66.0kg | 約22.8 |
| 脂肪が多い人 | 30% | 52.5kg | 約18.2 |
FFMIの上限の目安としては、Kouriらの研究(Clinical Journal of Sport Medicine、1995年)で、アナボリックステロイドを使っていない男性アスリート74人の身長補正したFFMIが25.0までに収まっていたことがよく引用される。FFMIの平均や限界についてはFFMIの平均とナチュラルの上限、計算はFFMI計算で試せる。
よくある質問
筋トレでBMIが25を超えたら減量すべきですか
BMIだけで判断する必要はない。日本肥満学会は、肥満(BMI25以上)に健康障害や内臓脂肪蓄積が加わった場合を「肥満症」として治療の対象としている。腹囲、血圧、血糖、脂質などの健診結果を合わせて確認し、気になる値があれば医師に相談するのがよい。
健康診断で「肥満」と書かれたら筋肉のせいだと考えてよいですか
自己判断は避けたい。筋肉が多い人でも内臓脂肪がたまっていることはある。腹囲が男性85cm・女性90cmを超えている、血液検査の値が基準から外れている場合は、筋肉のせいとは言い切れない。
アスリートに合うBMIの基準はありますか
公的に定められた「アスリート用のBMI基準」はない。米国の大学生を対象にした研究では、男性アスリートで27.9、女性アスリートで27.7が体脂肪率の判定に最も近い区切りだったが、日本人にそのまま使える基準ではない。
BMI22が理想というのは本当ですか
日本肥満学会は、もっとも疾病の少ないBMI22を基準に「身長(m)の2乗×22」を標準体重としている。これは病気の少なさから見た目安で、筋肉量の多い人の体重の目標として決められたものではない。
KINNIKU TIMESの視点
BMIは悪い指標ではない。身長と体重だけで計算でき、集団の中で肥満が増えているかどうかを見るには今も最も使いやすい。問題は、その数字を個人の体の中身の評価に使うときだ。筋トレを続けて体重が増えた人ほど、BMIは実態より「太っている」側に振れやすい。
編集部の提案は単純で、BMIが25を超えたら、まずメジャーで腹囲を測ることだ。腹囲を身長で割って0.5を下回っていれば、増えた体重の多くは筋肉と考えてよい可能性が高い。そのうえで、同じ体組成計で体脂肪率の推移を追い、増量期に体脂肪がどれだけ増えているかを確認する。体脂肪率の見方は体脂肪率の目安と測り方、増量の進め方は増量(バルクアップ)のやり方にまとめている。
ただし「筋肉があるから大丈夫」は、内臓脂肪や血液検査の結果を見ないための言い訳にもなりうる。増量期に腹囲が数cm単位で増え続けているなら、それは筋肉ではなく脂肪の増加を示している可能性が高い。日本人の体格の平均は日本人の平均体重(年齢別)も参考にしてほしい。食事の配分を見直すならPFC計算が使える。
出典
- 日本肥満学会「肥満と肥満症について」
- 日本肥満学会「肥満の定義・肥満度分類」(PDF)
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「BMIチェックツール」(肥満度分類)
- Ode JJ, et al. Body mass index as a predictor of percent fat in college athletes and nonathletes. Med Sci Sports Exerc. 2007
- Okorodudu DO, et al. Diagnostic performance of body mass index to identify obesity as defined by body adiposity. Int J Obes. 2010
- Hsieh SD, et al. Waist-to-height ratio, a simple and practical index for assessing central fat distribution and metabolic risk in Japanese men and women. Int J Obes. 2003
- Kouri EM, et al. Fat-free mass index in users and nonusers of anabolic-androgenic steroids. Clin J Sport Med. 1995
- 厚生労働省「令和6年国民健康・栄養調査の結果」
- e-Stat 令和6年国民健康・栄養調査 第15表 BMIの平均値及び標準偏差
- e-Stat 令和6年国民健康・栄養調査 第17表 BMIの状況
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「メタボリックシンドロームの診断基準」
- インボディ・ジャパン「InBody770 結果用紙の見方」(PDF)
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