【研究と国の資料で確認】生理前に体重が増えるのはなぜ?脂肪とは限らない理由
生理前に体重が増える理由は、国の資料では「体重増加」がPMS(月経前症候群)の症状の一つとされていますが、原因ははっきりしていません。研究では、生理前の時期に食べる量が増える傾向が報告されています。
2025年のメタ分析では、排卵から月経までの黄体期は、月経後から排卵までの卵胞期より、1日あたり平均168kcal多く食べていました。ただし、この量が脂肪として残るなら、7日間でも約0.17kgの計算です。数字が上がっても、すべてが脂肪とは限りません。
体重の増加が急、むくみが強い、日常生活に支障が出るなどのときは、婦人科などの医師に相談してください。
生理前に体重計の数字が上がる流れ(研究と国の資料から整理)
生理前に体重が増える|国の資料でわかること
厚生労働省事業の「女性の健康推進室 ヘルスケアラボ」(東京大学産婦人科学講座・国立成育医療研究センター監修)では、月経前症候群(PMS)の症状を次のように紹介しています。
| 種類 | 症状の例 |
|---|---|
| 身体的な症状 | 腹部の張り、肩こり、頭痛、むくみ、体重増加、便秘、乳房の張り |
| 精神的な症状 | イライラ、怒りやすい、無気力、集中力の低下 |
症状が強い場合は、月経前不快気分障害(PMDD)という病名がつくことがあります。原因については、「いまだ明確ではない」と書かれています。PMSの診断では、甲状腺の病気、糖尿病、肝機能の異常、貧血、うつ病などがないことを確認する、と説明されています。
つまり、生理前の体重増加はPMSの症状の一つとして知られていますが、その理由を一つに決めることはできていません。この記事でも、原因を言い切りません。
食べる量と代謝の研究|わかっていること
生理前の体重の動きに関係しうる研究を、系統的レビュー・メタ分析から2つ紹介します。
| 研究 | 対象 | 結果 | 読み方 |
|---|---|---|---|
| Tuckerら(2025年、Nutr Rev) | 15のデータセット・女性330人(18〜45歳、BMI18.5〜25、摂食障害の既往なし) | 黄体期は卵胞期より摂取エネルギーが多い(効果量0.69、平均168kcal/日の差) | 食べる量が増える傾向。ただし測定方法がそろっていない研究が多い |
| Bentonら(2020年、PLoS One) | 26の研究・女性318人 | 黄体期は安静時の代謝量がわずかに高い(効果量0.33)。2000年以降の研究では有意差なし(0.23、p=0.055) | 差は小さく、近年の研究では確かめられていない |
卵胞期は月経が終わってから排卵まで、黄体期は排卵から次の月経までの時期です。生理前は黄体期の後半にあたります。
2つの研究から言えるのは、黄体期に食べる量が増えやすく、安静時の代謝量もわずかに高いという報告があることまでです。体重が増える理由や、増える量を決めるものではありません。
増えた体重を脂肪に換算するとどうなる?
厚生労働省の資料では、脂肪1kgを減らすには約7,000kcalが必要とされています。食べる量の増加が7日間続いたとして、脂肪に換算した量を計算しました。数字はFITPEAKの計算で、実際の体重の動きを予測するものではありません。
| 1日に増えるエネルギー | 7日間の合計(kcal) | 脂肪に換算した量(kg) | 計算 |
|---|---|---|---|
| 100kcal | 700 | 0.10 | 100×7÷7,000 |
| 168kcal | 1,176 | 0.17 | 168×7÷7,000 |
| 300kcal | 2,100 | 0.30 | 300×7÷7,000 |
メタ分析の平均である168kcalの差が7日間続いても、脂肪に換算すると約0.17kgです。生理前に体重計で1kg以上増えて見えるときは、脂肪以外の要素が含まれていると考えられます。ただし、その中身(水分、腸の内容物など)を一人ずつ確かめることはできません。
体重は、食事の量や水分の量でも日々動きます。Kreitzmanら(1992年)は、体内の糖の蓄え(グリコーゲン)が水と一緒にたくわえられ、3〜4倍の水を伴うと報告しました。体重が水分によっても動く例の一つですが、生理前の体重増加との関係を示したものではありません。
体重の見方と受診の目安
- 体重は毎日同じ条件で量り、数日の上下よりも週ごとの平均で見る
- 生理前の数字は、同じ時期の前の月と比べる(生理後の体重とは比べない)
- 食事を急に減らさず、いつもの食事に近い量に保つ
- 間食は、1回分を皿に出して量を決める
- 睡眠とストレスの状態も、メモに残す
毎日の体重の測り方は体重を測るタイミングはいつ?週の変動と毎日測る効果、体重が動かないときの見直しはダイエットの停滞期とは?で紹介しています。食事全体の組み立てを専門家と進めたい人は、ダイエット向けパーソナルジムのおすすめで食事指導の違いを比べています。
次のようなときは、自己判断せず婦人科などの医師に相談してください。
- 体重の増加が急で、むくみが強い、片脚だけ腫れる、息苦しいなどの症状がある
- イライラや気分の落ち込みが強く、仕事や家事に支障が出ている
- 月経の周期が大きく乱れている、経血の量が極端に多い、強い痛みがある
- 妊娠の可能性がある
- 食べ過ぎを自分でコントロールできない、吐く、下剤を使うなどの行動がある
よくある質問
生理前に体重が増えるのは普通ですか?
国の資料では、体重増加はPMS(月経前症候群)の症状の一つとされています。感じ方には個人差があります。つらいときは医師に相談してください。
生理前の体重増加はいつ戻りますか?
戻る日数を示した公的な資料は、今回確かめた範囲では見つかりませんでした。同じ時期の前の月と比べて、変化を見てください。
生理前に食べ過ぎてしまうのはなぜですか?
研究では、黄体期に食べる量が増える傾向が報告されています。ただし理由は、はっきりしていません。量を決めて食べる、食事の間隔をあけ過ぎないなどの工夫をしましょう。
生理前に体重が増えたら、ダイエットを休むべきですか?
休むかどうかの公的な基準は確認できませんでした。食事を急に減らすのではなく、体調に合わせて運動や食事を調整し、体重は同じ時期の前の月と比べましょう。
生理前の体重増加は、むくみですか?
むくみが症状の一つとされていますが、体重増加がすべてむくみとは言えません。原因は、はっきりしていません。むくみが強い場合は医療機関に相談してください。
出典
- 厚生労働省事業 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ「月経前症候群(PMS)」(2026年10月確認)
- Tucker JAL, et al. The Effect of the Menstrual Cycle on Energy Intake: A Systematic Review and Meta-analysis. Nutr Rev 2025;83:e866-e876(2026年10月確認)
- Benton MJ, et al. Effect of menstrual cycle on resting metabolism: A systematic review and meta-analysis. PLoS One 2020;15:e0236025(2026年10月確認)
- Kreitzman SN, et al. Glycogen storage: illusions of easy weight loss, excessive weight regain, and distortions in estimates of body composition. Am J Clin Nutr 1992;56(1 Suppl):292S-293S(2026年10月確認)
- 厚生労働省「標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)(案)」資料2(腹囲1.0cm(脂肪1.0kg)を減らすには約7000kcal。2026年10月確認)
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