【計算例つき】ジムの消費税|月会費の扱い・免税事業者・税込表示
ジムの消費税は、月会費・パーソナル料金・回数券など、サービスの対価として受け取るお金にかかります。開業してすぐは基準期間がないため、個人事業や資本金1,000万円未満の法人は原則として納税が免除されますが、インボイス(適格請求書発行事業者)の登録をすると免除されなくなります。料金を会員に示すときは、消費税を含めた総額(例「11,000円(税込)」)で表示する義務があります(国税庁、2026年10月23日確認)。
消費税を納める必要があるかの判定(大まかな流れ)
ジムの売上のうち消費税がかかるもの
消費税は、事業として対価を得て行うサービスの提供にかかります。ジムの売上の多くは課税の対象ですが、返す約束で預かるお金は対価ではないため、扱いが分かれます。
| 受け取るお金 | 考え方 | 確認のポイント |
|---|---|---|
| 月会費・回数券・都度利用料 | 施設を使うサービスの対価で課税 | 名目が「会費」でも、実質が施設の利用料なら対価に当たる |
| パーソナルトレーニング料金 | 指導というサービスの対価で課税 | 前払いのコースは、いつ売上にするかを税理士に確認 |
| 入会金(返さないもの) | 体育施設などの会員となる入会金で、脱退時に返さないものは対価に当たる | 規約に返金の有無を明記する |
| 保証金・預り金(返すもの) | 返す約束で預かるお金は対価ではない | 返還の条件を規約で決める |
| 物販(プロテイン・ウェアなど) | 物の販売で課税 | 商品によって税率が違うことがあるため、国税庁の案内で確認 |
国税庁のタックスアンサー(No.6467)では、ゴルフクラブ・体育施設などの会員となるための入会金は、施設を使うサービスとの間に明らかな対価関係があり、脱退などに際して返還されないものに限って課税仕入れになると説明されています。これは支払う側の説明ですが、受け取るジムの側でも同じ考え方で、返さない入会金は課税売上として扱うことになります(2026年10月23日確認)。
免税事業者とインボイス:開業1年目・2年目の判断
開業1年目・2年目は基準期間の売上がないため、原則として納税が免除されます。ただし例外があり、インボイスの登録をするかどうかで扱いが変わります。
| ケース | 国税庁の案内(2026年10月23日確認) |
|---|---|
| 基準期間の課税売上高が1,000万円以下 | 原則として納税義務が免除される |
| 特定期間の課税売上高が1,000万円を超える | 免除されない。1,000万円の判定は給与等の支払額の合計で行うこともできる |
| 資本金1,000万円以上で設立した法人 | 設立1期目・2期目でも免除されない |
| インボイスの登録を受けている | 基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも免除されない |
ジムの会員は多くが個人で、インボイス(適格請求書)を求められない取引が中心です。一方、法人の福利厚生として会員になる企業や、場所を借りるフリーのトレーナーなど、仕入税額控除のためにインボイスを必要とする相手がいる場合は、登録の有無が取引に影響します。免税事業者などからの仕入れについて買い手側が一定割合を控除できる経過措置は、令和8年度の改正で、令和8年10月から2年間は70%、令和10年10月から2年間は50%、令和12年10月から1年間は30%と見直されています(国税庁「令和8年度税制改正特集」)。
インボイスの登録をした小規模な事業者には、納付額を売上の消費税の2割にできる「2割特例」があり、令和8年9月30日の属する課税期間まで使えます。その後、個人事業者は令和9年分・令和10年分に納付額を売上税額の3割にできる「3割特例」が設けられました(法人は対象外)。どちらも基準期間の課税売上高が1,000万円以下であることが条件です(国税庁、2026年10月23日確認)。
税込表示と計算:料金表の作り方
消費者に料金をあらかじめ示す場合は、消費税を含めた価格(総額)を表示する義務があります。国税庁の案内では「11,000円」「11,000円(税込)」「11,000円(税抜価格10,000円)」などが総額表示の例として示されています。Webサイト・チラシ・店内の料金表のすべてで、税込の金額が一目でわかるようにします。
- 税込価格 = 税抜価格 × 1.1(標準税率10%の場合)
- 売上の消費税(税込の売上から)= 税込売上 × 10/110
- 2割特例の納付額の目安 = 売上の消費税 × 20%
例として、税込11,000円の月会費で会員が60人なら、年間の税込売上は11,000円 × 60人 × 12か月 = 792万円、うち消費税は72万円です。インボイスの登録をして2割特例が使える課税期間なら、納付額の目安は72万円 × 20% = 14.4万円です。会員が150人になると、年間の税込売上は1,980万円、税抜の課税売上は1,800万円で1,000万円を超えるため、この年が基準期間になる2年後は、登録の有無にかかわらず課税事業者になり、2割特例も使えません(数字は計算のための例。地方消費税を含む10%で計算)。
課税事業者になったあとは、基準期間の課税売上高が5,000万円以下なら簡易課税制度を選べます。国税庁の案内では、サービス業等は第5種事業でみなし仕入率は50%です。ただし選ぶには、原則として適用を受けたい課税期間が始まる前日までに届出書を出す必要があり、やめる届出は適用を始めてから2年を経過する課税期間の初日以後でなければ出せません。上の150人の例で簡易課税を選ぶと、納付額の目安は180万円 ×(1 − 50%)= 90万円です(計算のための例)。
開業準備チェックリストでは、開業届・青色申告の承認申請・インボイスの登録など、開業前後に判断する税の手続きを順番に確認できます。届け出の期限を見落とさないための確認に使ってください。
開業準備チェックリストを無料で使うよくある質問
ジムの月会費に消費税はかかりますか?
かかります。月会費は施設を使うサービスの対価なので、消費税の課税対象です。料金を会員にあらかじめ示すときは、税込の総額で表示します。
開業したばかりのジムは消費税を払わなくてよいですか?
個人事業や資本金1,000万円未満の法人は、開業1年目・2年目は原則として納税が免除されます。ただし、特定期間の売上が1,000万円を超えた場合やインボイスの登録をした場合は免除されません。自分のケースは税務署・税理士に確認してください。
インボイスの登録はしたほうがよいですか?
会員が個人中心なら影響は小さいことが多い一方、法人契約やトレーナーへの場所貸しなど、インボイスを求める取引先がいる場合は検討が必要です。登録すると納税が必要になるため、2割特例・3割特例の使える期間も含めて税理士と試算しましょう。
入会金を無料にした場合はどうなりますか?
受け取っていないお金には消費税はかかりません。キャンペーンで入会金を割り引く場合は、割引後に実際に受け取った金額で計算します。表示は割引後の税込金額がわかるようにしてください。
出典
- 国税庁 タックスアンサー No.6501「納税義務の免除」(2026年10月23日確認)
- 国税庁 タックスアンサー No.6902「「総額表示」の義務付け」(2026年10月23日確認)
- 国税庁 タックスアンサー No.6467「会費や入会金の仕入税額控除」(2026年10月23日確認)
- 国税庁 タックスアンサー No.6505「簡易課税制度」(2026年10月23日確認)
- 国税庁「令和8年度税制改正特集(消費税・インボイス関係)」(2026年10月23日確認)
- 国税庁「2割特例 特設ページ」(2026年10月23日確認)
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