アームレスリングのルール 反則・階級・大会の出方をJAWAとWAFで解説
アームレスリングの基本ルールを、IFAに準拠したJAWAルールとWAFの2026年版ルールから整理した。勝敗の決まり方、セットアップ、反則と警告の一覧、JAWA全日本とWAFの階級の違い、服装と刺青の規定、初心者向けクラスのある年末の地方大会をまとめた。
アームレスリングのルールの基本は、肘をパッドから離さず、「レディー・ゴー」の合図で始め、相手の手首をタッチパッドの高さまで倒せば勝ちというものだ。警告2回で反則1回、反則2回でその試合は負けになり、大会は2回負けで敗退するダブルエリミネーションで進む。
2026年10月21日 公開|KINNIKU TIMES 編集部
腕相撲と似ているが、競技としてのアームレスリングには細かい決まりがある。日本で最大規模の大会網を持つ一般社団法人JAWA日本アームレスリング連盟は、国際アームレスリング連盟(IFA)のルールに準拠した「JAWAルール」(2020年2月1日改訂)を公式サイトで公開している。国際団体の世界アームレスリング連盟(WAF)も2026年版のルールブックを公開しており、基本の骨格は共通している。本記事はこの2つの公式ルールと、JAWAの大会要項を10月21日時点で確認し、初心者が大会に出るまでに知っておきたい点をまとめた。
アームレスリングのルールの基本:勝ち負けはどう決まるのか
試合は専用の競技台で立って行う。競技台には、肘を置くエルボーパッド、倒されたら負けになるタッチパッド、利き手と反対の手で握るペグ(握り棒)、台の中央を示すセンターラインがある。JAWAルールの「公式競技台と各部名称」によると、拳や前腕がタッチパッドにつくと負けで、劣勢側の手首がピンライン(勝敗線)より下に落ちても負けになる。WAFのルールも、手首から指先までの線のどこかがタッチパッドに触れるか、その下に入ったときを「ピン」(勝ち)と定めている。
| 項目 | JAWAルール(IFA準拠) | WAFルール(2026年版) |
|---|---|---|
| 試合形式 | ダブルエリミネーション(2回負けで敗退) | ダブルエリミネーション。シード(組み合わせの優遇)はなく抽選 |
| 開始の合図 | 「レディー・ゴー」の「ゴー」のみで開始、「ストップ」のみで停止 | 「Ready...Go!」。間合いは一定にしない |
| 勝ち(ピン) | 手首のラインがピンラインを下回るか、タッチパッドについた状態 | 手首の線から指先までがタッチパッドに触れるか下に入った状態 |
| 時間制限 | なし | なし(審判や医師が続行不能と判断すれば停止) |
| 呼び出し | 名前を呼ばれて60秒以内に台に来ないと負け | 60秒以内に来ないと負け |
| 反則の数え方 | 警告2回で反則1回、反則2回で負け | 同じ |
| 反則後の休憩 | 30秒 | 30秒 |
ダブルエリミネーションは、1回負けても敗者側の山で勝ち上がれる方式である。JAWAルールでは、試合中にけがをした選手も名前はトーナメント表に残り、棄権するかどうかは別として、けがだけで失格にはならない。WAFのルールでは、けがをした試合は負けとして扱われる。
セットアップ(組み手)のルール
試合でいちばん時間がかかるのが、開始前の組み手(セットアップ)である。レフリーは両選手が公平に組めるよう指示を出し、従わなければ警告が出る。JAWAルールの主な決まりは次のとおりだ。
- 両者の手首をまっすぐにし(リストストレート)、親指の第一関節が見える状態で組む
- 肩のラインは競技台と平行にする(左右の肩の高さの差は認められる)
- 握った手と顎・胸・肩の間に、拳一つ分の隙間を空ける
- 相手がセンターを確保できないほど引き込む(バックプレッシャー)のは禁止
- 「ゴー」の前は、片足だけ浮かせて競技台の脚にかけたり巻きつけたりできる。相手側の脚にかけるには相手の同意が必要
JAWAは2020年1月の追記で、IFAの新しいセットアップ手順を解説している。手首の「3つのリストストレート」(回内・回外、屈曲・伸展、橈屈・尺屈)をいずれもまっすぐにとるよう主審が指示し、「リストストレート」「モアストレート」と2回指示しても従わない場合、3回目で警告1回となる。腕の長さが合わないときは、手首を曲げて高さを合わせるのではなく、腕の短い選手の肘を前に、長い選手の肘を後ろに置いて調整する。
レフリーズグリップとストラップマッチ
「グリップ」のコールから30秒たっても組み手が決まらないと、レフリーが握りを作る「レフリーズグリップ」になる。レフリーが「ドントムーブ」と告げた後は、上半身・下半身ともに動くと反則だ。故意でないのに握りが外れた(スリップアウトした)場合は、両者の手首をストラップで固定する「ストラップマッチ」で再開する。両者が同意すれば、最初からストラップやレフリーズグリップで始めることもできる。
アームレスリングの反則と警告の一覧
反則はJAWAルールで細かく定められている。警告(ワーニング)は2回で反則(ファール)1回となり、反則2回でその試合は負けになる。また、劣勢の「ルーザーポジション」で反則を取られると、それだけで負けになる。
| 反則・警告 | 内容(JAWAルール) | 扱い |
|---|---|---|
| アーリースタート | 「ゴー」の前に動く | 警告 |
| 指示に従わない | セットアップの指示(ショルダーストレート、リストストレート、サムズダウン、エルボー、センター)に3度従わない | 警告 |
| ペグを離す | 反対の手でペグを離す。離して有利になった場合は試合を止める | 警告(有利になれば反則) |
| エルボーファール | 肘がエルボーパッドから浮く、または外に出る(前腕や上腕三頭筋がパッドに触れていれば浮いても反則にならない) | 反則 |
| インテンショナルファール | 「ゴー」の後に意図的に握りを離す、拳を作ってスリップアウトする | 反則 |
| デンジャラスポジション | 劣勢時に腕の付け根がエルボーパッドより低くなり、「アップ」の指示から2秒で改善しない | 反則 |
| オーバーセンターライン | 肩がセンターラインを越える | 反則 |
| 身体との接触 | 握った手が顎・肩・頭に触れる | 反則 |
| ストレートアーム | 肘を完全に伸ばしきる | 反則 |
| ブレイクアーム | 拳から目をそらし肩が開き、「ルック・フィスト」の指示から2秒で改善しない | 反則 |
デンジャラスポジションとブレイクアームは、けがを防ぐための決まりである。どちらも一度改善した後に再び同じ姿勢になると、すぐ反則になる。両者が同時に反則をした場合は、試合を止めるが反則は宣告しない(ノーコール)。日本国内の大会では、IFAのルールに加え、指だけを握られて膠着した場合も反則になるというJAWA独自の決まりがある。
競技台の寸法(WAF規格)
WAFの公式サイトによると、立って行う競技台は床から天板まで101.6cm、座って行う競技台は71.1cmである。天板は幅91.4cm、奥行き66.0cmで、エルボーパッドは17.8cm四方・厚さ5.1cm、タッチパッドは長さ25.4cm・高さ10.2cmと定められている。センターラインはWAFの大会で必ず引かれる。
アームレスリングの階級:JAWAとWAFの違い
アームレスリングは体重階級制で、右腕(ライト)と左腕(レフト)が別の種目として行われる。JAWAの2026年全日本選手権(6月13〜14日、秋田市のあきた芸術劇場ミルハス)の開催要項と、WAFの2026年版ルールに載っている一般(シニア)の階級を比べる。
| 区分 | JAWA全日本選手権2026 一般 | WAF 2026年版 シニア |
|---|---|---|
| 男子 | -57kg、-63kg、-70kg、-78kg、-86kg、-95kg、-105kg、無差別(8階級) | -55kg、60kg、65kg、70kg、75kg、80kg、85kg、90kg、100kg、110kg、+110kg(11階級) |
| 女子 | -52kg、-57kg、-65kg、無差別(4階級) | -50kg、55kg、60kg、65kg、70kg、80kg、90kg、+90kg(8階級) |
| 年齢区分の例 | ジュニア(15〜21才)、マスターズ(40才以上)、グランドマスターズ(50才以上)、シニアグランドマスターズ(60才以上)、Sシニアグランドマスターズ(70才以上)、高校生 | サブジュニア(14〜15歳)、ジュニア18(16〜18歳)、ユース23(19〜23歳)、マスター(40歳以上)、グランドマスター(50歳以上)、シニアグランドマスター(60歳以上)、スーパーシニアグランドマスター(70歳以上) |
JAWAの要項は、申し込みが3人に満たない場合は階級を減らすことがあるとしている。WAFのルールでは、検量に服の重さの許容はなく、階級の体重ちょうど(70kg級なら70.0kg)以下でなければならない。地方大会の階級はさらに少なく、たとえば12月6日に熊本県益城町で開かれる予定の第15回JAWA熊本オープンは、中級・上級・女子の全13階級である。
服装と禁止事項
JAWAルールでは、上半身は半袖、下半身はくるぶしまでの長いパンツかスパッツ、靴は運動靴に限られる。スパッツをはかない短パン・半パンは認められない。競技する腕には何も着けられず、帽子も禁止だが、ヘアバンドは使える。長髪は束ねる。2026年の全日本選手権の要項は、長袖シャツ、短パン、7分丈のジャージ、ジーンズ、ベルト、裸足、サンダル、アクセサリーでは出場できないと明記している。
JAWAには、刺青・タトゥーが見える状態では競技できないという独自の決まりもある。地方大会ではJAWA公認のアームカバーで覆えば出場でき、全日本大会ではファンデーションなどで完全に見えないようにする必要がある。滑り止めについて、WAFのルールはスティッカム、ロジン、チョークの使用を認めており、爪は相手を傷つけないよう短く切るよう求めている。
初心者が大会に出るにはどうすればよいか
JAWAの全日本選手権は、その年度のJAWA登録(または他団体の登録)を済ませた選手が対象で、受付で会員カードの提示が必要だ。申し込みは都道府県の理事長の承認を受けて行う。2026年の全日本は、IFA世界選手権の国内選考大会を兼ね、1位に世界大会の出場権が与えられた。いきなり全日本を目指すより、まず地方大会から出るのが現実的である。
| 開催日 | 大会名(JAWA公式サイトの掲載名) | 初心者向けのポイント |
|---|---|---|
| 2026年11月1日 | 第26回香川県アームレスリング選手権大会/第24回北海道オープンアームレスリング大会/第3回JAWA東北地区アームレスリング大会 | 要項は各大会ページで確認 |
| 2026年11月8日 | 第13回JAWA大阪府オープンアームレスリング選手権大会(クレオ大阪南) | 当日受付・計量9:30〜10:00、前日計量あり |
| 2026年11月22日 | 第5回CRYZY ARM杯 | 要項は大会ページで確認 |
| 2026年12月6日 | 第15回JAWA熊本オープンアームレスリング選手権大会(益城町総合体育館) | 16才以上。地方大会入賞者は出られない「中級」クラスあり。熊本在住の未経験者は出場費2,000円 |
| 2026年12月6日 | JAWA第2回島根県アームレスリング選手権大会 | 要項は大会ページで確認 |
| 2026年12月20日 | GOLD'S GYM JAPAN CUP2026 アームレスリングトーナメント | 要項は大会ページで確認 |
熊本オープンの要項によると、出場費は中級・上級でJAWA登録済みの人が3,000円、未登録の人は3,000円の上乗せで、エントリーは11月1日からWEBで受け付け、11月30日に締め切る予定だ。2026年の大会一覧には3月8日の「茨城県ビギナーアームレスリング大会」も載っており、初心者向けの部門を設ける地方大会がある。日程は変わることがあるため、申し込み前に必ずJAWA公式サイトの大会ページで最新の要項を確かめてほしい。
JAWAの案内によると、2026年9月22〜28日には茨城県土浦市のクラフトシビックホール土浦で「2026 IFA世界アームレスリング選手権」の日程が組まれていた(22日は各国選手団の到着、競技は23〜27日、28日は帰国)。ジュニア、マスターズ、シニア、障がい者の全部門で行い、ドーピング検査を実施するとされていた。大会結果は本記事では扱わない。
よくある質問
腕相撲とアームレスリングの違いは何ですか
競技のアームレスリングは、専用の競技台を使い、肘をエルボーパッドに置き、反対の手でペグを握って立って行う。手首をまっすぐにして組む、肘をパッドから離さない、肩をセンターラインより前に出さないなど、公平さと安全のための決まりがある点が大きく違う。
肘が少し浮いただけでも反則ですか
JAWAルールでは、肘がエルボーパッドから浮くと反則になる。ただし前腕や上腕三頭筋がパッドに触れていれば反則にはならない。肘がパッドの外に出た場合は反則になる。WAFのルールも同じ考え方である。
JAWAに登録していなくても大会に出られますか
全日本選手権は登録選手が対象で、当日の登録はできない。地方大会は大会によって異なり、熊本オープンのように未登録でも上乗せ料金で出場できる大会もある。高校生は全国高校選手権に登録なしで出場できる。
試合に時間制限はありますか
JAWAルール、WAFルールともに、試合に時間制限はない。ただし組み手は「グリップ」から30秒で決まらないとレフリーズグリップになる。
パワーグリップなどの道具は使えますか
JAWAルールでは、競技する腕にはいかなるものも着けられない。トレーニングで使う道具は試合では使えないと考えてよい。握力や前腕の鍛え方は握力の鍛え方で解説している。
KINNIKU TIMESの視点
アームレスリングのルールは、力比べを「公平」にするための決まりと、「けがを防ぐ」ための決まりの2本立てだと読める。手首をまっすぐにして組むセットアップや拳一つ分の隙間は前者、デンジャラスポジションやブレイクアームの反則は後者である。腕相撲の延長で始めた人ほど、肩を内側に入れて体重をかける癖があり、これは反則であると同時にけがのもとになる。
初心者への助言は3つある。①最初の大会は、中級・ビギナークラスのある地方大会を選ぶ。②公式サイトの「競技公用語」(レディーゴー、ストップ、ワーニングなど)を覚えておく。レフリーの指示が分からず警告を受けるのはもったいない。③服装は半袖と長ズボン、室内用の運動靴を用意し、刺青がある人はアームカバーの規定を事前に確かめる。
トレーニング面では、前腕と上腕の筋力が土台になる。腕の鍛え方は腕を太くする筋トレとダンベルカールのやり方、自分の筋力の位置づけは筋トレ偏差値で確かめられる。ほかの筋力競技に興味があれば、パワーリフティングとはの記事も参考になる。
出典
- JAWA日本アームレスリング連盟「公式ルール規則」(2020年2月1日改訂)
- JAWA 2026年全日本アームレスリング選手権大会等 開催要項(PDF)
- JAWA「2026年に開催予定のアームレスリング大会一覧(IFA・JAWA)」
- 第15回JAWA熊本オープンアームレスリング選手権大会 概要(PDF)
- JAWA「2026.11.08 第13回JAWA大阪府オープンアームレスリング選手権大会」
- JAWA「2026 IFA World Armwrestling Championships in Japan」
- World Armwrestling Federation「Rules & Regulations(version 2026)」(PDF)
- World Armwrestling Federation「Armwrestling Table」
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