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ノーギアとフルギアの違い 使える用具をIPF2026年ルールで比較

公開 ・ KINNIKU TIMES 編集部 ・ 読了目安 10分
ニーラップを巻いてスクワットのバーを担ぐ日本代表の女子選手と補助員
SUMMARY|この記事の要約

パワーリフティングのノーギア(クラシック)とフルギア(イクイップド)の違いは、反発力のあるスーツ・シャツ・ニーラップを使えるかどうか。IPF2026年版とJPA規則から用具の規格、大会と記録の分け方、国内大会の公認品ルール、日本グランプリでの出場比率をまとめた。

ノーギアとフルギアの違いは、反発力で挙上を助ける用具を使えるかどうかである。ノーギア(クラシック)はベルト、リストラップ、ニースリーブまで。フルギア(イクイップド)はそれに加えて、サポートスーツ、ベンチシャツ、ニーラップを使える。

2026年10月21日 公開|KINNIKU TIMES 編集部

国際パワーリフティング連盟(IPF)の正式名称は「Classic(クラシック)」と「Equipped(イクイップド)」で、日本パワーリフティング協会(JPA)は競技規則の中で「ノーギア」「フルギア」、大会名では「クラシック部門」「エクイップ部門」と呼ぶ。本記事は、IPFの「Technical Rulebook」2026年版(2026年3月1日施行)の個人用具の章と、JPAの競技規則(2026年4月14日改訂)を10月21日時点で確認し、用具ごとの違いと、どちらを選ぶべきかをまとめた。

IPFの技術ルール(公式)を見る

ノーギアとフルギアの違い、使える用具の一覧

IPFルールブックの個人用具の規定を、部門ごとに整理すると次のようになる。どちらの部門でも、国際大会で使う用具はIPFの「承認リスト(Approved List of Apparel and Equipment)」に載ったメーカーの製品でなければならない。

用具 ノーギア(クラシック) フルギア(イクイップド) 主な規格(IPF 2026年版)
シングレット(補助力のないスーツ) 着用が必要 着用してもよい 生地は一重、脚部の長さは股下3〜25cm
サポートスーツ 使えない 使える 生地は一重、脚部の長さは股下3〜15cm
Tシャツ 必要 必要(ベンチシャツを着る場合は代わりにそれを着る) ゴムなどの伸縮素材は不可、丸首、袖は三角筋の下から肘の手前まで
ベンチシャツ(サポートシャツ) 使えない 使える Tシャツとの重ね着は不可
ベルト 使える 使える 幅10cm以内、厚さ13mm以内
リストラップ 使える 使える 長さ1m以内、幅8cm以内
ニースリーブ 使える 使える(ニーラップとの併用は不可) ネオプレン製、厚さ7mm以内、長さ30cm以内
ニーラップ 使えない 使える 長さ2m以内、幅8cm以内、膝の中心から上下15cm以内

つまり、ジムでよく見るベルト、リストラップ、ニースリーブは両方の部門で使える。違いを生むのは、スーツ、シャツ、ニーラップという「反発力を持つ用具」である。サポートスーツとベンチシャツについて、IPFは「Equipped(イクイップド)と指定された大会でのみ着用できる」と明記している。ニーラップも同じく、イクイップドの大会に限られる。

肩ひものあるサポートスーツとベルト、リストラップを着けてスクワットのバーを担ぐ日本代表の男子選手
画像:日本パワーリフティング協会 公式サイトより。IPFの国際大会で、フルギアの装備でスクワットに臨む日本代表選手

フルギアのスーツ・シャツ・ニーラップは何をしているのか

サポートスーツやベンチシャツは、硬く伸びにくい生地で体を締めつけ、しゃがむ・下ろす動作で生地が引き伸ばされた反発を、挙上に使えるようにする用具である。IPFは、ノーギアで着るシングレットについて「どの試技でも選手を支えないように」布か合成繊維だけで作ることを求めており、裏返せばフルギアの用具は支えを生むことが前提になっている。

IPFはフルギアの用具にも細かい制限をかけている。スーツの生地は一重でなければならず、締めつけを強めるための縫い縮め(プリーツ)は、メーカーの元の縫い目の内側でのみ認められる。ベンチシャツは、メーカーが供給し技術委員会が承認した元の設計から手を加えると違反になる。JPAの国内規則も、ベンチシャツの解体・再縫製や胸の部分をくり抜く改造を禁じ、縫い縮めは袖だけに認めている。

ニーラップは、長さ2mまでの伸縮性のある帯を膝に巻きつける用具である。IPFは、ゴムを使った製品を認めず、ポリエステルや綿で覆われた一層の伸縮素材か医療用のクレープ包帯に限っている。ネオプレン(合成ゴム)が認められるのはニースリーブだけで、ニーラップとニースリーブを同時に使うことは「厳しく禁じる」と書かれている。

Tシャツとシングレット、ベルト姿でデッドリフトを行う女子選手。クラシックの大会
画像:Wikimedia Commons(Stein Langørgen, CC BY-SA 4.0)より。2021年ノルウェーのクラシック(ノーギア)選手権でのデッドリフト

大会と記録はどう分かれているのか

ノーギアとフルギアは、大会も記録も別々である。JPAの競技規則は、ノーギアの全国大会・ブロック大会でフルギアの日本記録を超えても、フルギアの日本記録は更新されないと定め、両者の記録を分離している。IPFも世界選手権をクラシックとイクイップドに分けて開いている。

2026年のIPF世界選手権(IPF公式カレンダー) 日程 開催地
世界クラシック&イクイップドベンチプレス選手権 5月23日〜31日 ポーランド・ワルシャワ
世界クラシックオープンパワーリフティング選手権 6月13日〜21日 リトアニア・ドルスキニンカイ
世界クラシック&イクイップド サブジュニア・ジュニア選手権 8月 南アフリカ・サンシティ
世界クラシック&イクイップド マスターズ選手権 10月14日〜25日 米国ネバダ州リノ
世界オープンイクイップドパワーリフティング選手権 11月9日〜15日(予定) トルコ・イスタンブール

国内では、2026年度の全日本パワーリフティング選手権大会「エクイップ部門」が5月23〜24日に東京都港区の品川ザ・グランドホールで開かれた。クラシック部門の全日本選手権は別の大会として行われる。2026年度の全日本選手権の一般男子の標準記録(トータル)は、たとえば74kg級でクラシック650kg、エクイップ620kg、女子63kg級でクラシック340kg、エクイップ315kgと、部門ごとに別々に設定されている。今年11月のイスタンブール大会はIPF世界パワーリフティング選手権2026で詳しく扱っている。

日本ではどちらが主流か、出場者数で見る

国内の出場者は、ノーギアが大半を占める。JPAが10月13日付で公表した第5回日本グランプリ(10月24〜25日、兵庫県姫路市)のエントリー表を編集部が数えたところ、パワーリフティングとベンチプレスを合わせた554件のうち、クラシックが470件(約85%)、エクイップが84件だった。

第5回日本グランプリのエントリー 件数 割合
クラシック(ノーギア) 470 約85%
エクイップ(フルギア) 84 約15%
合計(パワーリフティング+ベンチプレス) 554 100%

ノーギアに人が集まる理由として、用具が少なく始めやすいこと、ジムでの練習がそのまま試合の挙上に近いことが考えられる。フルギアは、スーツやシャツを体に合わせて着込み、その反発を使いこなす技術が要る。大会の詳細はパワーリフティング日本グランプリ2026にまとめている。

国内大会の用具ルール、IPF公認品でなければいけないのか

JPAの競技規則では、国際大会ではIPF公認品以外は認められない。国内では、ベンチシャツ、スーパースーツ、ラップ類(ニーラップ、リストラップ)、ニースリーブについて、全国大会とブロック大会ではIPF公認品のみを認める。地方大会では、リストラップとニースリーブは規則の規格内であればIPF公認品でなくても使える場合があり、判断は主管協会に委ねられる(過去にIPF公認を取り消された製品は不可)。ベルトとシングレットは、国内では規則の寸法や構造を満たしていればIPF公認品でなくても使える。

ノーギアでも使えるリストラップには、IPF規格(長さ1m・幅8cm以内)と並んで、親指のループを掛けたまま試技をしてはならないという決まりがある。用具ごとの詳しい規定は、KINNIKU TIMESの姉妹メディア「筋トレギアマニア」の解説で確認できる。

JPAのルールブック(公式)を見る

よくある質問

「クラシック」と「ノーギア」と「Raw」は同じ意味ですか

IPFの部門としては同じものを指す。IPFルールブックはシングレットについて「Classic/Raw と指定された大会で着用する」と書いており、JPAは規則でノーギア、大会名でクラシック部門と呼んでいる。

ノーギアでベルトやニースリーブを使うのは反則ですか

反則ではない。IPFのルールでは、ベルト、リストラップ、ニースリーブはクラシックでも使える。ただし規格と承認品の条件を満たす必要がある。

フルギアの選手がシングレットで出場してもいいですか

出場できる。IPFは、イクイップドの大会ではサポートスーツの代わりに補助力のないシングレットを着てもよいとしている。逆に、クラシックの大会でサポートスーツは着られない。

1つの大会でノーギアとフルギアの両方に出られますか

クラシックとイクイップドを併催する国際大会では、両方に出ることが認められている。その場合は参加料を2回分払い、2回試合をする。同じ部門に2回出ることはできない(IPFルール)。国内大会の扱いは各大会の要項による。

初心者はどちらから始めるべきですか

用具の購入と着用の練習が少なくて済むノーギアから始める人が多い。国内の出場者の大半もノーギアである。

KINNIKU TIMESの視点

これからパワーリフティングを始める人には、まずノーギアで出ることを勧めたい。必要な用具は、シングレット、Tシャツ、膝下までのソックス、靴、そして任意のベルト、リストラップ、ニースリーブだけだ。普段のトレーニングで使っている用具がそのまま使えるかは、IPF承認リストと国内の規則で確かめておく。持ち物全体は大会の持ち物チェックリストにまとめている。

一方で、フルギアには「用具を使いこなす技術」という別の面白さがある。IPFの沿革によると、1970年代の世界選手権で日本の選手はすでに階級優勝を分け合っていた。その流れをくむイクイップドでは、2027年11月には北九州市でIPFの世界イクイップドパワーリフティング選手権(サブジュニア・ジュニア・オープン)が予定されている(IPF世界選手権2027北九州)。国内のフルギアの層が厚くなるか、注目したい。

リストラップを選ぶときは、長さ1m以内という規格に収まるかを確認してほしい。FITPEAKのリストラップの一覧も参考になる。競技の全体像はパワーリフティングとはで解説している。

出典

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