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パワーリフティングとは 3種目・階級・ルールと大会の出方を解説

公開 ・ KINNIKU TIMES 編集部 ・ 読了目安 11分
IPFの国際大会でデッドリフトのバーを握り、引き始める選手
SUMMARY|この記事の要約

パワーリフティングは、スクワット、ベンチプレス、デッドリフトの最高重量の合計を体重・年齢別に競う。IPFの2026年版ルールとJPAの規則・統計から、成功の条件、階級、ノーギアとフルギア、選手登録、大会の出方を初心者向けにまとめた。

パワーリフティングとは、スクワット、ベンチプレス、デッドリフトの3種目で挙げた重量の合計(トータル)を、性別・体重・年齢の区分ごとに競う競技である。各種目3回ずつ試技し、成功した最高重量を足して順位を決める。

2026年10月21日 公開|KINNIKU TIMES 編集部

国際競技団体は国際パワーリフティング連盟(IPF)、日本の統括団体は公益社団法人日本パワーリフティング協会(JPA)である。本記事は、IPFが2026年3月1日に施行した「Technical Rulebook」と、JPAの競技規則(2026年4月14日改訂)、JPA公式サイトの登録案内と統計を10月21日時点で確認し、初めての人がまず知っておくべき仕組みをまとめた。細かい論点は、階級・用具・判定・大会の出方などの個別記事で掘り下げている。

日本パワーリフティング協会の公式サイトを見る

パワーリフティングとはどんな競技か

IPFのルールブックは冒頭で、競技として認める種目を「スクワット、ベンチプレス、デッドリフト、トータル」と定め、この順番で行うことをすべての大会に求めている。選手は各種目で3回ずつ試技でき、成功した試技のうち最も重い記録がトータルに加算される。トータルが同じ場合は体重の軽い選手が上位になり、体重も同じなら先にそのトータルを記録した選手が上位になる。

競技は「性別」「体重」「年齢」で分けた区分ごとに行われる。つまり、体重59kgの選手と120kg超の選手が同じ土俵で比べられることはない。異なる階級の選手を比べるときには係数を使ったポイントが用いられ、JPAの競技規則は、ベストリフターを順位に関係なくIPFポイントの最も高い選手とすると定めている。係数の考え方はIPF GLポイントの解説で扱っている。

3種目すべてを行う大会のほか、ベンチプレスだけを競う「シングルベンチプレス」の大会もある。IPFは世界選手権として、パワーリフティングとベンチプレスのそれぞれについて、オープン、サブジュニア・ジュニア、マスターズの大会を開いている。ベンチプレス大会についてはベンチプレス大会に出るにはを参照してほしい。オリンピック競技のウエイトリフティングとの違いはウエイトリフティングとパワーリフティングの違いにまとめている。

国際大会でベンチプレスの試技を行う選手と、両側でバーの受け渡しを担う補助員
画像:日本パワーリフティング協会 公式サイトより。IPFの国際大会のベンチプレス

3種目のルール、何をすれば成功になるのか

試技の成否は3人の審判が判定する。IPFのルールでは、審判はそれぞれ白と赤のライトを持ち、白が「成功」、赤が「失敗」を意味する。3人のライトは同時に点灯する仕組みでなければならない。各種目の要点はルールブックで次のように定められている。

種目 主審の合図 成功の主な条件(IPFルール) 失敗になりやすい例
スクワット 「Squat」で開始、「Rack」でラックに戻す 脚の付け根の上面が膝の上端より低くなるまでしゃがみ、膝を伸ばして直立に戻る しゃがみが浅い、合図前に動く、上昇中に下がる、足を踏み出す
ベンチプレス 「Start」で下ろす、胸で静止後「Press」、挙げきって「Rack」 頭・肩・臀部をベンチにつけたまま胸か腹まで下ろして静止し、肘を伸ばしきる。手幅は人差し指の間で81cm以内 臀部が浮く、静止しない、合図前に挙げる、足が浮く
デッドリフト 挙げきって静止すると「Down」 膝を伸ばし、肩を引いて直立する。挙上中にバーが下がらない 膝が伸びない、太ももでバーを支える、合図前に下ろす、手を離して落とす

IPFのルールは、ベンチプレスで両肘の下側が肩関節の上面と同じ高さかそれより下まで下ろすことも条件にしている。この肘の深さについてJPAは、IPFのルールを素直に解釈した判定基準のビデオを作り、国内の判定をそれに統一するとしている。判定の細部はパワーリフティングの判定の記事で詳しく扱う。

試技の重量にも決まりがある。IPFの公認大会ではバーベルの重量は常に2.5kgの倍数で、試技の間は少なくとも2.5kg上げなければならない。第2・第3試技の重量は、前の試技のライトが点いてから1分以内に申告する必要がある。第1試技の重量は検量のときに報告する(JPA競技規則)。どこから始めるかは結果を大きく左右するため、第一試技の重量の決め方を読んでおくとよい。

ベルトを締めてスクワットのバーを担ぐ準備をする女子選手と後ろの補助員
画像:Wikimedia Commons(Stein Langørgen, CC BY-SA 4.0)より。2021年ノルウェーのクラシック(ノーギア)選手権

階級と年齢区分はどう分かれているのか

IPFの体重階級は男女とも8つで、サブジュニアとジュニアだけはさらに軽い階級が加わって9つになる。体重は大会当日の検量で決まり、検量は競技開始の2時間前より早く始めてはならず、検量の時間は1時間半と定められている。

区分 階級(体重の上限)
男子 59kg、66kg、74kg、83kg、93kg、105kg、120kg、120kg超(サブジュニア・ジュニアのみ53kg級あり)
女子 47kg、52kg、57kg、63kg、69kg、76kg、84kg、84kg超(サブジュニア・ジュニアのみ43kg級あり)
年齢区分(IPF) サブジュニア14〜18歳、ジュニア19〜23歳、オープン19歳以上、マスターズ1〜4(40代、50代、60代、70歳以上)
年齢区分(JPAの国内独自) マスターズV(80歳以上)。国内の一般(シニア)は満14歳以上から出場できる

年齢はカレンダーイヤーで数える。たとえばその年に40歳になる人は、誕生日の前でも1月1日からマスターズIとして扱われる。区分ごとの細かい扱いはパワーリフティングの階級一覧で解説している。

ノーギアとフルギアの違いは何か

パワーリフティングには、使える用具によって2つの部門がある。補助力のない用具だけで行う「クラシック」(国内ではノーギアとも呼ぶ)と、体を支える反発力を持つスーツやシャツを着る「イクイップド」(国内ではエクイップ、フルギア)である。JPAの競技規則は両者を「フルギア、ノーギア」と呼び、それぞれ別の大会・別の記録として扱う。ノーギアの大会でフルギアの日本記録を超えても、フルギアの日本記録は更新されない。

用具 クラシック(ノーギア) イクイップド(フルギア)
シングレット(非サポート) 着用する 着用してもよい
サポートスーツ・ベンチシャツ 使えない 使える(IPF承認リストの製品)
ベルト 使える 使える
リストラップ 使える(長さ1m・幅8cm以内) 使える
ニースリーブ 使える(厚さ7mm・長さ30cm以内) 使える(ニーラップとの併用は不可)
ニーラップ 使えない 使える(長さ2m・幅8cm以内)

日本の大会の出場者はクラシックが多い。違いの詳細はノーギアとフルギアの違い、大会に持っていく物は大会の持ち物チェックリスト、リストラップの規定はリストラップはIPFルールで使えるかで確認できる。

日本で大会に出るにはどうすればよいのか

JPAの公認大会や国際大会に出るには、JPAへの選手登録が必要だ。登録は4月から翌年3月までの年度制で、会員システム「シクミネット」から行う。登録先は、住まい、勤務先・学校、所属ジムのある都道府県協会から選ぶ(学生連盟・高校連盟の所属者はその連盟)。

選手登録の種別(JPA公式) 年間登録料
個人選手 9,000円
団体選手(所属団体に加入している場合) 6,000円
大学生(専門学校生を含む) 3,000円
中学生・高校生(満14歳以上) 2,000円

大会は大きく、市区町村・都道府県の「地方大会」、全国8ブロックの「ブロック大会」、JPAが主催する「全国大会」の3層に分かれる。全国大会に出るには、決められた期間内に公認大会で標準記録を突破し、JPAのアンチ・ドーピング講習会を受講しておく必要がある(JPA競技規則)。たとえば2026年度の全日本選手権クラシック部門の一般男子の標準記録は、59kg級で520kg、93kg級で720kg、120kg超級で790kgである。

最初の一歩は、地元の都道府県協会が開く大会に出ることだ。登録から当日の流れまではパワーリフティング大会の初出場ガイド、今後の主な大会はパワーリフティング大会日程2026、協会の仕組みはJPAとはで解説している。

JPAの選手登録の案内を見る(公式)

競技人口と歴史、いつから始まったのか

IPFの公式サイトに掲載された沿革によると、IPFは1972年11月に米国で設立され、最初の公式世界選手権は1973年に開かれた。1970年代後半には日本の選手も世界選手権で階級優勝を分け合うようになったと記されている。

国内の競技人口は増えている。JPAが公表した会員登録数(2026年2月28日現在)によると、選手登録は2018年の3,361人から2025年には6,663人へとほぼ倍増した。2025年の内訳は男性5,696人、女性967人である。登録団体(ジム・クラブ・部活動など)は357団体、審判員は786人だった。

年 2018 2020 2022 2023 2024 2025
JPA選手登録数 3,361 2,010 3,920 4,728 5,678 6,663

2020年の落ち込みは、新型コロナウイルスの流行で大会が相次いで中止された時期と重なる。JPAはその後の増加の理由を公表していないが、登録者は2021年以降、毎年増え続けている。

よくある質問

パワーリフティングとベンチプレスの大会は別物ですか

別の競技として扱われる。パワーリフティングは3種目のトータルを競い、ベンチプレス大会はベンチプレス1種目だけを競う。IPFもJPAも、それぞれに世界選手権・全日本選手権を設けている。

初心者でも大会に出られますか

出られる。地方大会の多くは標準記録を求めない。JPAへの選手登録を済ませ、各都道府県協会の大会要項に従って申し込む。全国大会には標準記録の突破とアンチ・ドーピング講習会の受講が必要になる。

ベルトやリストラップは使っていいのですか

使ってよい。クラシックでもベルト、リストラップ、ニースリーブは使える。ただし国際大会と国内の全国大会・ブロック大会ではIPF公認品が求められる。地方大会の扱いは主管する協会の判断に委ねられている(JPA競技規則)。

何歳から出場できますか

IPFの年齢区分ではサブジュニアが14歳からである。JPAの国内大会では、一般(シニア)にも満14歳以上で出場できるが、国際大会の選考と出場は19歳以上とされる。

失敗試技が続くとどうなりますか

ある種目で3回とも失敗すると、その種目の記録がなくなり、トータルがつかない。最初の試技を確実に成功させる重量にすることが、初心者にとって最も重要な作戦になる。

KINNIKU TIMESの視点

パワーリフティングの魅力は、ジムで毎日やっているBIG3がそのまま公式の記録になる点にある。特別な技術や高価な器具がなくても、ベルトとリストラップがあればクラシック部門に出られる。選手登録が7年でほぼ倍になったのは、ジムで筋トレを続けてきた人が「自分の記録を公式に残す場」として大会を選び始めたからだと編集部はみている。

一方で、ジムの「挙がった」と大会の「成功」は同じではない。スクワットの深さ、ベンチプレスの静止と合図、デッドリフトの合図前に下ろさないことなど、ルールに沿ったフォームで練習しておかないと、普段の重量でも失敗になる。大会を目指すなら、まず練習から合図を入れ、しゃがむ深さを動画で確かめることを勧めたい。自分のBIG3が全国でどの位置にあるかは筋トレ偏差値で、体重あたりの目安はベンチプレスは体重の何倍が目安かで確かめられる。

2027年11月には、IPFの世界サブジュニア・ジュニア・オープン イクイップドパワーリフティング選手権が福岡県北九州市で開かれる予定だ(IPF世界選手権2027北九州)。世界のトップを国内で見られる機会でもあり、競技を知るにはよい時期である。

出典

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