減量ペースは1週間に何kg?筋肉を残す目安は体重の0.5〜1%、体重別の表
減量は1週間に何kgが筋肉を残すか。研究に基づく目安は体重の0.5〜1%だ。週0.7%と1.4%を比べたエリート選手の試験、500kcalの不足で筋肉の増加が止まったメタ分析、ISSNの2026年の見解をもとに、体重別の週と月の目安を表にした。
筋肉を残しながら減量するペースの目安は、1週間に体重の0.5〜1%だ。体重70kgなら週0.35〜0.7kgにあたる。エリート選手の試験では、週0.7%を目標にした群のほうが、週1.4%の群より除脂肪量と筋力を保ちやすかった。
2026年10月21日 公開|KINNIKU TIMES 編集部
「1か月で5kg落とす」のような速い減量は、体重計の数字こそ早く動くが、落ちた分に筋肉が多く含まれやすい。では、筋肉を残すには週に何kgまでが目安なのか。本記事は、ナチュラルボディビルの減量の推奨をまとめたレビュー、減量の速さを比べたランダム化試験、国際スポーツ栄養学会(ISSN)の公式見解を、PubMed に収載された要旨で確かめて整理した。体重別に週と月の目安を表にしたので、自分の数字に置き換えて使ってほしい。
減量のペースは1週間に何kgが目安か
2014年に Journal of the International Society of Sports Nutrition に掲載された Helms らのレビューは、ナチュラルボディビルダーの大会前の減量について、筋肉の維持を最大にするには、体重が週に約0.5〜1%減るようにカロリーを設定するよう勧めている。たんぱく質は除脂肪体重1kgあたり1日2.3〜3.1g、脂質はカロリーの15〜30%、残りを炭水化物にするのが、多くの選手に合うとしている。
「0.5〜1%」を体重別に計算すると次のとおりだ。1か月は約4.3週として計算した。
| 体重 | 週0.5% | 週0.7% | 週1% | 1か月の目安(0.5〜1%) |
|---|---|---|---|---|
| 50kg | 0.25kg | 0.35kg | 0.50kg | 約1.1〜2.2kg |
| 60kg | 0.30kg | 0.42kg | 0.60kg | 約1.3〜2.6kg |
| 70kg | 0.35kg | 0.49kg | 0.70kg | 約1.5〜3.0kg |
| 80kg | 0.40kg | 0.56kg | 0.80kg | 約1.7〜3.4kg |
| 90kg | 0.45kg | 0.63kg | 0.90kg | 約1.9〜3.9kg |
| 100kg | 0.50kg | 0.70kg | 1.00kg | 約2.2〜4.3kg |
体重の「%」で考えるのは、同じ1kgでも体重50kgの人と100kgの人では負担がまったく違うからだ。体重が軽く、体脂肪が少ない人ほど、範囲の下側(0.5%寄り)を選ぶほうが筋肉を残しやすい。
速く落とすと筋肉は減るのか:週0.7%と1.4%の比較試験
減量の速さを直接比べた代表的な試験が、ノルウェーの Garthe らが2011年に International Journal of Sport Nutrition and Exercise Metabolism に発表したものだ。エリート選手24人を、週に体重の0.7%を落とす「ゆっくり群」(13人)と、1.4%を落とす「速い群」(11人)に分けた。全員が普段の練習に加えて週4回の筋トレを行った。
| 項目 | ゆっくり群(目標 週0.7%) | 速い群(目標 週1.4%) |
|---|---|---|
| 摂取カロリーの減らし幅 | 約19% | 約30% |
| 減量にかかった期間 | 平均8.5週 | 平均5.3週 |
| 実際の週あたり減少 | 0.7% | 1.0% |
| 体重の減少 | 5.6% | 5.5% |
| 体脂肪量の減少 | 31% | 21% |
| 除脂肪量(DEXA) | 2.1%増加 | 変化なし(-0.2%) |
両群とも体重は約5.5%減ったが、ゆっくり群は脂肪がより多く減り、除脂肪量はむしろ増えた。著者らは、減量中に除脂肪量を増やし、1RM の筋力を伸ばしたい選手は、週0.7%の体重減少を目指すべきだと結論している。ただし、対象は筋トレを日常的に行うエリート選手で、人数も少ない。一般の人にそのまま当てはまるとは限らない点には注意が必要だ。
筋トレ中のカロリー不足をまとめた2022年のメタ分析(Murphy ら)も、同じ方向の結果を示している。エネルギー不足の状態では除脂肪量の増加が妨げられ、1日約500kcal の不足で除脂肪量が増えなくなった。著者らは、減量中に筋肉を保ちたい人は1日500kcal を超える不足を避けるべきだとしている。筋力の伸びは不足があっても保たれていた。
減量中のカロリーとたんぱく質はどう決めるか
ISSN が2026年10月に公表した減量食の公式見解は、1日800kcal 未満の超低エネルギー食や800〜1,200kcal の低エネルギー食について、短期の減量は大きいが、長期ではより穏やかなカロリー制限に比べた利点がなく、除脂肪量の減少を増やすおそれがあると指摘している。筋トレと十分なたんぱく質は、どの食事法でも除脂肪量の減少を防ぐために欠かせないとし、たんぱく質の目安を次のように示した。
| 対象 | たんぱく質の目安(1日・体重1kgあたり) | 体重70kgの場合 |
|---|---|---|
| 一般の人の減量 | 1.2〜1.6g | 84〜112g |
| 筋トレと組み合わせて筋肉の同化を最適化 | 1.6〜2.2g | 112〜154g |
| 体脂肪が少ない筋トレ経験者のカロリー不足時 | 1.9〜3.2g | 133〜224g |
カロリーの決め方の例
体重70kgで週0.5〜0.7%(0.35〜0.49kg)を目指す場合を考える。脂肪組織1kgのエネルギーは約7,000kcal 台とよく言われるが、減量中は水分やグリコーゲンも動くため、計算どおりには減らない(詳しくは「脂肪1kg=7200kcal」は本当か)。目安として計算すると、週0.35〜0.49kg は1日あたり約350〜500kcal の不足にあたり、Murphy らの「500kcal を超えない」という目安の範囲にほぼ収まる。まず維持カロリー(TDEE の計算方法)から300〜500kcal を引いて始め、2〜3週間の体重の平均で調整するのが現実的だ。
減量ペースはどう測り、いつ見直すか
体重は、食事の量や塩分、水分、便通で1日に大きく動く。グリコーゲン(筋肉や肝臓にためる糖)は、その3〜4倍の水と一緒に蓄えられる(Kreitzman ら、1992年)。食事制限を始めた最初の数日に体重が大きく落ちるのは、脂肪よりもこの水分の影響が大きい。そのため、ペースは次のように判断するのがよい。
- 週に3回以上、起床・排尿後など同じ条件で測り、週の平均を出す
- 最初の1週間の大きな減少は水分が中心と考え、2週目以降の平均で判断する
- 2〜3週続けて週1%を超えるなら、カロリーを100〜200kcal 戻す
- 2〜3週続けて週0.5%を下回るなら、食事の記録を見直したうえで100〜200kcal 減らすか、歩数を増やす
- 扱う重量や回数が大きく落ちてきたら、ペースが速すぎるサインとして見直す
数字が予定どおりに減らなくなる「停滞期」の原因と対策は体重が減らない停滞期の原因で解説している。
よくある質問
1か月に何kgまでなら落としてよいですか?
筋肉を残すことを優先するなら、週に体重の0.5〜1%、つまり体重70kgで月1.5〜3kg程度が研究に基づく目安だ。体重が多い人は同じ%でもkgは大きくなる。持病がある人や薬を使っている人は、医師と相談して決めてほしい。
速く落としてから、ゆっくり維持するのはだめですか?
Garthe らの試験では、速い群も体重は同じだけ減ったが、除脂肪量は増えず、脂肪の減り方は小さかった。期限がある場合を除き、速い減量の利点は小さい。ISSN の見解も、非常に低いカロリーの食事は長期では利点がないとしている。
減量中も筋トレは必要ですか?
必要だ。ISSN の見解は、筋トレと十分なたんぱく質を、カロリー不足のときに除脂肪量の減少を防ぐ「欠かせない」要素としている。Garthe らの試験でも、全員が週4回の筋トレを行っていた。
体重が多い人も週1%が上限ですか?
Helms らの目安は大会前の、体脂肪が比較的少ない選手を想定したものだ。体脂肪が多い人は同じ不足でも筋肉が落ちにくいと考えられているが、そのような人に最適な上限を示した研究は今回確認できなかった。
KINNIKU TIMESの視点
減量の失敗で多いのは、最初の2週間で大きく体重が落ちて安心し、その後の停滞で一気に食べてしまうパターンだ。最初の大きな減少は水分が中心で、本当のペースは2週目以降に見えてくる。週0.5〜1%という目安は地味だが、体重70kgなら3か月で4.5〜9kg に達する。筋肉を残して落とせば、減量後のリバウンドの山場(ナチュラル選手19人を12週追跡した研究)も乗り越えやすい。
初心者は、ペースを守ることよりも先に、たんぱく質を体重1kgあたり1.6g前後とり、筋トレを週2回以上続けることを優先してほしい。体重がほぼ変わらなくても体脂肪が減るボディリコンポジションが起きている場合もある。
出典
- Helms ER, Aragon AA, Fitschen PJ. Evidence-based recommendations for natural bodybuilding contest preparation: nutrition and supplementation. J Int Soc Sports Nutr. 2014
- Garthe I, et al. Effect of two different weight-loss rates on body composition and strength and power-related performance in elite athletes. Int J Sport Nutr Exerc Metab. 2011
- Murphy C, Koehler K. Energy deficiency impairs resistance training gains in lean mass but not strength. Scand J Med Sci Sports. 2022
- Aragon AA, et al. International Society of Sports Nutrition position stand: diets for body weight reduction. J Int Soc Sports Nutr. 2026
- Kreitzman SN, et al. Glycogen storage: illusions of easy weight loss, excessive weight regain, and distortions in estimates of body composition. Am J Clin Nutr. 1992
筋メシナビ
外食やコンビニで、タンパク質がとれる一品は?
すき家・マック・セブンなど16チェーンのメニューを、タンパク質とPFCで比較。
この記事の次に読まれている記事
筋トレに使える無料ツール
コメント
この記事について思ったことを書けます。誤解を招くのを避けるため、誘導のある宣伝、他者への中傷、個人情報、法令に反する内容は公開しません。体調や治療に関わる判断は、必ず専門家にご相談ください。