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ウエイトリフティングとパワーリフティングの違い 種目・階級・五輪を比較

公開 ・ KINNIKU TIMES 編集部 ・ 読了目安 11分
2018年ユース五輪のウエイトリフティング練習会場に並ぶバーベル用プレート
SUMMARY|この記事の要約

ウエイトリフティングは頭上に挙げる2種目の五輪競技、パワーリフティングはスクワット・ベンチプレス・デッドリフトの3種目の合計で競う競技だ。IPFとIWFの最新の階級、オリンピック・ワールドゲームズ・パラリンピックでの扱い、国内団体を表で比較した。

ウエイトリフティングはバーベルを頭上に挙げるスナッチとクリーン&ジャークの2種目で競うオリンピック競技、パワーリフティングはスクワット・ベンチプレス・デッドリフトの3種目の合計で競う競技で、オリンピックでは実施されていない。

2026年10月21日 公開|KINNIKU TIMES 編集部

どちらも「重いバーベルを挙げる競技」で名前も似ているが、種目、求められる能力、国際団体、オリンピックでの扱いが大きく違う。本記事は、国際パワーリフティング連盟(IPF)の2026年版技術ルールブック、国際ウエイトリフティング連盟(IWF)の階級変更を伝える米国の国内競技団体USA Weightliftingの発表、国際ワールドゲームズ協会(IWGA)、国際パラリンピック委員会(IPC)、日本の国内団体の公式資料を10月21日時点で確認し、両競技の違いを表にまとめた。

日本パワーリフティング協会の公式サイトを見る

ウエイトリフティングとパワーリフティングの違い(比較表)

項目 ウエイトリフティング パワーリフティング
種目 スナッチ、クリーン&ジャークの2種目 スクワット、ベンチプレス、デッドリフトの3種目
試技の回数 各種目3回 各種目3回
順位の決め方 2種目の最高記録の合計(トータル) 3種目の最高記録の合計(トータル)。同記録なら体重の軽い選手が上位
バーの到達点 床から頭上まで スクワットは担いでしゃがむ、ベンチは胸から腕を伸ばす、デッドは床から立ち上がる
主に求められる能力 爆発的なパワー、スピード、柔軟性、技術 最大筋力(ゆっくりでも挙がればよい)
国際団体 国際ウエイトリフティング連盟(IWF) 国際パワーリフティング連盟(IPF)
国内団体 日本ウエイトリフティング協会 日本パワーリフティング協会(JPA)
オリンピック 実施競技(ロサンゼルス2028でも男女各6階級) 実施されていない(ワールドゲームズで実施)
パラリンピック 実施されていない パラ・パワーリフティング(ベンチプレスのみ)

ひと言でまとめると、ウエイトリフティングは「どれだけ速く、高く挙げられるか」、パワーリフティングは「どれだけ重いものを挙げられるか」を競う。どちらもバーベルとプレートを使い、各種目3回の試技の最高記録を合計する点は共通している。

種目の違い:頭上に挙げる2種目と、3つの基本種目

ウエイトリフティングのスナッチとクリーン&ジャーク

USA Weightliftingの解説によると、ウエイトリフティングはスナッチとクリーン&ジャークの2種目で構成され、選手は各種目3回試技できる。クリーン&ジャークは2種目のうち最も重い重量を挙げられる種目とされる。各種目で成功した最高重量の合計が「トータル」となり、最も大きいトータルの選手が総合優勝する。スナッチは床から頭上までバーベルを一気に挙げる種目で、同団体は「一般に1秒もかからない」と説明している。クリーン&ジャークは、床から肩まで挙げる「クリーン」と、肩から頭上に突き上げる「ジャーク」の2段階で行う。日本ウエイトリフティング協会が主催する全日本社会人選手権の実施要項でも、種目は「規定2種目(スナッチ・クリーン&ジャーク)」とされている。

パワーリフティングのスクワット・ベンチプレス・デッドリフト

IPFの技術ルールブックは、競技を「スクワット、ベンチプレス、デッドリフト、トータル」の順で行うと定め、すべての大会でこの順番を守るよう求めている。各種目3回の試技が認められ、各種目の最高の成功試技がトータルに加算される。トータルが同じ場合は、体重の軽い選手が上位になる。3種目ともジムで行う基本種目と同じ動作のため、筋トレ経験者が始めやすいのが特徴だ。ベンチプレスだけを競う大会もIPFの世界選手権として行われている。

ラックの間でバーベルを担ぎスクワットの準備をするパワーリフター
パワーリフティングの第1種目はスクワット。画像:Wikimedia Commons(Honza.kolar02, CC BY-SA 4.0)より

求められる能力はどう違うのか

ウエイトリフティングは、重いバーベルを短い時間で頭上まで運ぶ競技であり、脚と背中で生み出した力を一瞬で伝えるパワーとスピード、バーの下にすばやく潜り込む技術、深くしゃがんで頭上でバーを支える柔軟性が求められる。USA Weightliftingは、この競技が脚、背中、肩、腕、握力、体幹など「ほぼ全身の筋肉」を試すと説明している。

パワーリフティングでは、挙げる速さは問われない。審判の合図に従って正しい動作で挙げきれば、ゆっくりでも成功となる。そのため、最大筋力そのものを高めることが勝敗に直結する。スクワットの深さ、ベンチプレスで胸の上でバーを静止させること、デッドリフトで最後に膝と体をまっすぐ伸ばしきることなど、動作の基準を守ることが重要になる。判定の詳細はパワーリフティングの判定ルールで扱う。

トレーニングの面では、パワーリフティングの3種目はウエイトリフティング選手も補強として取り入れ、逆にパワーリフターがクリーンなどの爆発的な動作を練習に加えることもある。目的が違うだけで、土台となる筋力は共通している。

階級はどう分かれているのか

両競技とも体重別の階級で競うが、区分の線は違う。ウエイトリフティングは2025年から2026年にかけて階級の変更が続いた。USA Weightliftingによると、IWFの大会では2026年8月1日以降、次の階級が適用されている。

区分 ウエイトリフティング(IWF、2026年8月1日以降) パワーリフティング(IPF、2026年3月1日施行ルール)
男子 60・65・70・75・85・95・110・+110kg(8階級) 59・66・74・83・93・105・120・120kg超(8階級)。サブジュニア・ジュニアのみ53kg級あり
女子 49・53・57・61・69・77・86・+86kg(8階級) 47・52・57・63・69・76・84・84kg超(8階級)。サブジュニア・ジュニアのみ43kg級あり
オリンピック ロサンゼルス2028は男子65・75・85・95・110・+110kg、女子53・61・69・77・86・+86kgの各6階級 実施なし

IWFの階級は、2025年6月1日に男子60〜+110kgの8階級(71・79・88・94kgなどを含む)へ変わり、さらに2026年8月1日から上の表の区分に改められた。国内大会では移行時期が異なる場合があり、2025年11月に青森県で開かれた全日本社会人選手権の要項では「60・65・71・79・88・94・110・+110kg級」の8階級が示されていた。出場する大会の要項で必ず確認したい。IPFの階級の詳細はパワーリフティングの階級一覧にまとめている。

パリ2024オリンピックのウエイトリフティング競技で表彰台に立つメダリスト3人
パリ2024オリンピックのウエイトリフティングの表彰式。画像:Wikimedia Commons(National Olympic Committee of the Republic of Uzbekistan, CC BY 4.0)より

オリンピックとワールドゲームズ、パラリンピックの扱い

ウエイトリフティングはオリンピックの実施競技で、USA Weightliftingが伝えたIWFの発表によると、ロサンゼルス2028では男女各6階級が行われる。一方、パワーリフティングはオリンピックでは行われていない。そのかわり、オリンピックに含まれない競技の国際総合大会であるワールドゲームズで実施されている。IWGAの競技紹介によると、IPFは1980年からのIWGA加盟団体(創設メンバー)で、2025年に中国・成都で開かれた大会ではクラシック(ノーギア)とイクイップド(フルギア)の2部門が行われ、クラシックは同年が初めての実施だった。

パラリンピックでは、IPCが統括する「パラ・パワーリフティング」が実施されている。IPCの説明では、競技はベンチプレスのみで、胸までバーを下ろして静止させたあと、肘を伸ばしきるまで押し上げる。試技は3回で、最も重い重量を挙げた選手が勝つ。名前は同じパワーリフティングだが、3種目で競うIPFの競技とは形式が異なる。

総合大会 ウエイトリフティング パワーリフティング
オリンピック 実施(LA2028は男女各6階級) なし
ワールドゲームズ ― 実施(2025年はクラシックとイクイップド)
パラリンピック なし パラ・パワーリフティング(ベンチプレス)

日本では、パワーリフティングの国内統括団体であるJPAが、IPFのルール改定に合わせて国内のルールを運用しており、公式サイトでIPFからの連絡を受けた新ルールへの対応時期を告知している。JPAは2026年10月、国民スポーツ大会のパワーリフティング公開競技(団体戦)の成績訂正も公表した。JPAの組織や大会の仕組みは日本パワーリフティング協会(JPA)とはで詳しく扱う。

IPFの技術ルールブック(公式)を見る

よくある質問

重量挙げとウエイトリフティングは同じ競技ですか

同じ競技である。日本ではウエイトリフティングを「重量挙げ」と呼ぶことが多い。オリンピックで行われているのはこのウエイトリフティングで、スナッチとクリーン&ジャークの2種目を競う。

パワーリフティングはオリンピック種目ですか

オリンピック種目ではない。パワーリフティングはワールドゲームズで実施されている。パラリンピックではベンチプレスのみのパラ・パワーリフティングが行われている。

筋トレ初心者が始めやすいのはどちらですか

一般的にはパワーリフティングのほうが始めやすい。3種目はいずれもジムで行う基本種目と同じ動作で、速さも問われない。ウエイトリフティングは技術の比重が大きく、指導者のいるクラブで基本動作から学ぶのが望ましい。

ベンチプレスだけの大会はありますか

ある。IPFはベンチプレス単独の世界選手権を、クラシックとイクイップドの両方で開いている。国内でも単独種目の大会がある。出場方法はベンチプレス大会に出るにはで解説する。

KINNIKU TIMESの視点

ジムで筋トレをしている人にとって、パワーリフティングは「いつもの3種目」がそのまま競技になる、最も身近な筋力競技である。自分のスクワット、ベンチプレス、デッドリフトの重量が体重に対してどのくらいかを知るだけでも、目標が立てやすくなる。筋トレ偏差値で今の位置を確かめてから、競技の入り口としてパワーリフティングとはを読むとよい。

ウエイトリフティングはオリンピックの実施競技であり、ジャンプ力やダッシュ力にもつながる爆発的なパワーを鍛えられる。ただし、頭上にバーを挙げる動作は独学での習得が難しい。始めるなら、都道府県の協会に登録しているクラブや学校の部活動など、指導を受けられる環境を選ぶことを勧める。

どちらの競技でも手首の保護は大切だ。IPFのクラシック部門ではリストラップの使用が認められており(ワールドゲームズのIWGA解説でも、クラシックで使える用具としてベルト、シングレット、リストラップが挙げられている)、選び方はリストラップの一覧で確かめられる。フォームの違いで効く部位が変わる点は、デッドリフトのコンベンショナルとスモーの違いも参考になる。

出典

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