筋肉量の平均を年齢別に表で比較 20代から70代で何kg減るか
筋肉量の年齢別・男女別の平均を、日本人4,003人の研究、約3.8万人の研究、InBodyの年代別データから表にまとめた。全身は40〜50代まで横ばいだが脚は20代から減る。体組成計の筋肉量と骨格筋量の違い、AWGS 2019・2025のサルコペニア基準も解説する。
日本人4,003人を測った研究では、体組成計の「筋肉量」の平均は男性が18〜24歳で52.5kg、65〜74歳で47.5kg、女性は同じ年代で36.4kgと33.9kgだった。年齢とともに最も大きく減るのは脚の筋肉である。
2026年10月21日 公開|KINNIKU TIMES 編集部
「自分の筋肉量は同年代と比べて多いのか少ないのか」。体組成計に乗ると気になる疑問だが、筋肉量の平均値を国が毎年公表している統計はない。国民健康・栄養調査が測っているのは身長・体重・腹囲などで、筋肉量は対象外だからだ。そこで本記事は、日本人を大人数で測定した査読付き論文2本と、体成分分析装置メーカーのInBodyが公開している年代別の平均値を使い、年齢別・男女別の筋肉量の目安を表にまとめた。あわせて、体組成計に表示される「筋肉量」と、医療で使う「骨格筋量」「骨格筋指数(SMI)」の違い、サルコペニア(加齢による筋肉の減少)の診断基準も整理する。
先に注意点を書いておく。筋肉量は測定機器と計算式によって値が大きく変わる。同じ人でも、タニタの体組成計とInBodyとDXA(二重エネルギーX線吸収法)では数kg単位で違う数字が出ることがある。以下の表は「同じ機器・同じ方法で測った人どうしの比較」として読み、自分の数字は同じ機器で継続して測って変化を見るのが基本だ。
筋肉量の平均は年齢別にいくつか(男女別の表)
国内で最も参照されることが多いのが、大阪医科大学の谷本芳美氏らが日本老年医学会雑誌(2010年、47巻1号)に発表した「日本人筋肉量の加齢による特徴」だ。2007年5月〜2008年9月に、18歳以上の日本人4,003人(男性1,702人、女性2,301人)をタニタのマルチ周波数体組成計MC-190で測定した。対象は大都市近郊や農村の住民、大学の学生・教職員、企業の職員、図書館や老人福祉センターの利用者などで、無作為に選んだ全国代表の標本ではない点には留意したい。
論文の表1から、年齢区分ごとの全身の筋肉量と下肢(脚)の筋肉量の平均値を抜き出したのが次の表である(値は平均値、単位kg)。
| 年齢 | 男性 人数 | 男性 全身 | 男性 下肢 | 女性 人数 | 女性 全身 | 女性 下肢 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 18〜24歳 | 434 | 52.5 | 20.7 | 309 | 36.4 | 14.5 |
| 25〜34歳 | 125 | 52.6 | 19.8 | 210 | 36.4 | 13.7 |
| 35〜44歳 | 132 | 53.6 | 19.8 | 275 | 36.6 | 13.4 |
| 45〜54歳 | 135 | 52.7 | 19.0 | 164 | 36.4 | 12.8 |
| 55〜64歳 | 219 | 50.6 | 17.7 | 402 | 35.2 | 11.9 |
| 65〜74歳 | 443 | 47.5 | 16.1 | 640 | 33.9 | 11.2 |
| 75〜84歳 | 191 | 43.9 | 14.6 | 267 | 32.4 | 10.4 |
| 85歳以上 | 23 | 40.2 | 13.4 | 34 | 30.0 | 9.4 |
全身の筋肉量は、男性では30代後半から40代前半(35〜44歳の53.6kg)が最も多く、女性は18歳から50代前半まで36kg台でほぼ横ばいだった。その後は男女とも減少に転じる。一方、下肢の筋肉量は男女とも最も若い18〜24歳がいちばん多く、20代から一貫して減っていく。論文は、下肢が「20歳代ごろより加齢に伴い著明な減少」を示すと結論づけている。
20歳から80歳で何%減るのか
同じ論文は、年齢と筋肉量の関係を2次曲線の回帰式で表し、20歳時と80歳時の推定値を比べている(表2)。
| 部位 | 男性 20歳 | 男性 80歳 | 男性 減少率 | 女性 20歳 | 女性 80歳 | 女性 減少率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 全身 | 52.3kg | 43.5kg | 16.8% | 36.3kg | 32.3kg | 11.0% |
| 下肢 | 20.7kg | 14.3kg | 30.9% | 14.4kg | 10.3kg | 28.5% |
| 上肢 | 5.5kg | 4.6kg | 16.4% | 3.3kg | 3.2kg | 3.0% |
| 体幹部 | 26.1kg | 24.6kg | 5.7% | 18.6kg | 18.8kg | -1.0% |
減少率は下肢が最も大きく、男性で約3割、女性でも3割近い。体幹部はほとんど変わらない。全身の数字だけを見ていると「60年で1〜2割の減少」に見えるが、脚に限れば減り方はその倍近いということになる。論文はこの結果から、高齢期の健康づくりでは下肢の筋肉に注目した支援が必要だとしている。
InBodyの年代別平均では筋肉量とSMIはどう変わるか
より新しいデータとして、体成分分析装置を製造するインボディ・ジャパンが2025年9月に公式サイトで公開した「健康な日本人の男女別・年齢別の体成分データ」がある。2017年5月から2024年10月に測定されたデータの平均値で、収集先は主に健診、整体院、フィットネス施設、公共施設、同社社員と説明されている。測定機器はInBodyで、上の論文とは機器も方法も異なるため、数字を直接比べることはできない。
| 年代 | 男性 人数 | 男性 筋肉量 | 男性 SMI | 女性 人数 | 女性 筋肉量 | 女性 SMI |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 10代 | 690 | 51.8kg | 7.9 | 435 | 38.8kg | 6.4 |
| 20代 | 2,621 | 55.1kg | 8.1 | 2,313 | 36.3kg | 6.1 |
| 30代 | 2,334 | 54.6kg | 8.2 | 2,595 | 36.9kg | 6.2 |
| 40代 | 1,875 | 54.0kg | 8.2 | 1,958 | 37.7kg | 6.4 |
| 50代 | 1,629 | 52.8kg | 8.1 | 1,898 | 37.0kg | 6.3 |
| 60代 | 960 | 50.3kg | 7.9 | 1,001 | 35.6kg | 6.1 |
| 70代 | 702 | 46.0kg | 7.4 | 763 | 33.6kg | 5.9 |
SMIの単位はkg/m²。男性の筋肉量は20代の55.1kgが最も多く、70代では46.0kgと約9kg少ない。女性は40代の37.7kgが最も多く、70代は33.6kgだった。同社は、男性の70代の約25%、女性の60代の約25%、70代の約40%がSMIのサルコペニア基準値を下回っていたと分析している。なお、この集計は健診やフィットネス施設などで測定した人のデータであり、運動習慣のある人や健康意識の高い人が多く含まれている可能性がある。
40〜79歳の約3.8万人で骨格筋指数は何%減ったか
さらに大規模なものに、京都大学の山田実氏らがGeriatrics & Gerontology International誌(2014年)に発表した横断研究がある。40〜79歳の健康な男性16,379人、女性21,660人の骨格筋量を生体電気インピーダンス法で測り、身長の2乗で割った骨格筋指数(SMI)に換算して年齢との関係を調べた。
| 40歳から79歳までの減少率 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 全身のSMI | 10.8% | 6.4% |
| 腕のSMI | 12.6% | 4.1% |
| 脚のSMI | 10.1% | 7.1% |
| (参考)内臓脂肪面積の増加率 | 42.9% | 65.3% |
この研究でも、男性のほうが女性より減り方が大きかった。同時に内臓脂肪面積は年齢とともに増えており、重回帰分析ではSMIが内臓脂肪型肥満と負の関連を示した。つまり「体重は変わらないのに中身が筋肉から脂肪に入れ替わる」という変化が、中高年で起きやすいことを示している。谷本氏らの研究では脚の減少が目立ち、山田氏らの研究では男性の腕の減少率が脚を上回ったが、両研究は年齢層・指標(筋肉量の実測値か身長補正したSMIか)・機器が異なるため、結果の違いはそのまま矛盾とは言えない。
体組成計の「筋肉量」と「骨格筋量」はどう違うのか
年齢別の平均を自分の数値と比べる前に、表示されている数字が何を測ったものかを確かめる必要がある。家庭用の体組成計や施設のInBodyに出てくる「筋肉量」は、医学でいう骨格筋(手足や体幹を動かす筋肉)の量とは一致しない。
タニタは公式サイトで、同社の体組成計の筋肉量は「骨格筋・平滑筋(内臓)・心筋とこれらの筋肉に含まれる水分量および浮腫等の余剰水分量」を含んだ値だと説明している。InBodyも結果用紙の解説資料で、結果用紙の「筋肉量」は骨格筋量ではなく、体重から体脂肪量と骨ミネラル量を除いた部分(Soft Lean Mass)だとしている。そのうえでInBodyは、随意筋である骨格筋量や、四肢の筋肉量を身長の2乗で割った骨格筋指数(SMI)を別の項目として示す。
| 用語 | 中身 | 主な使われ方 |
|---|---|---|
| 筋肉量(タニタ) | 骨格筋・平滑筋・心筋と、それらに含まれる水分・余剰水分 | 家庭用体組成計の表示 |
| 筋肉量(InBody) | 体重から体脂肪量と骨ミネラル量を除いた部分(Soft Lean Mass) | InBody結果用紙の表示 |
| 骨格筋量 | 手足・体幹を動かす随意筋の量 | InBodyの研究項目など |
| 四肢骨格筋量(ASM) | 腕と脚の骨格筋(除脂肪軟組織)の量 | サルコペニアの診断 |
| 骨格筋指数(SMI) | 四肢骨格筋量÷身長(m)の2乗 | サルコペニアの診断・比較 |
筋肉量の数字は水分を含むため、測る時間帯や食事・入浴・運動の前後で変わりやすい。短期間で1〜2kg増えたり減ったりしても、筋肉そのものが増減したとは限らない。研究や医療で最も基準に近いとされるのは、DXAで四肢の除脂肪軟組織量を測る方法だ。
筋肉量が少ないのはどこから?サルコペニアの基準
平均より少ないことと、医学的に「少なすぎる」ことは別の話だ。後者の目安として日本で使われているのが、アジアサルコペニアワーキンググループ(AWGS)の診断基準である。2019年版(AWGS 2019、J Am Med Dir Assoc 2020年)は、身長で補正した筋肉量(SMI)の基準を、DXAで男性7.0kg/m²未満・女性5.4kg/m²未満、生体電気インピーダンス法(BIA)で男性7.0kg/m²未満・女性5.7kg/m²未満とし、握力は男性28kg未満・女性18kg未満を筋力低下とした。
2025年11月にはNature Aging誌に改訂版のAWGS 2025が公表された。日本サルコペニア・フレイル学会の告知をまとめた地域医療振興協会の資料によると、65歳以上の基準は2019年版から変わらず、新たに50〜64歳の基準が設けられ、診断は「低筋力+低筋肉量」の2項目で行う形に改められた(身体機能は診断項目から外れた)。BMIで補正した筋肉量の基準も加わっている。
| 項目(AWGS 2025) | 年齢 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|---|
| 握力 | 65歳以上 | 28kg未満 | 18kg未満 |
| 握力 | 50〜64歳 | 34kg未満 | 20kg未満 |
| SMI(BIA) | 65歳以上 | 7.0kg/m²未満 | 5.7kg/m²未満 |
| SMI(BIA) | 50〜64歳 | 7.5kg/m²未満 | 5.7kg/m²未満 |
| SMI(DXA) | 65歳以上 | 7.0kg/m²未満 | 5.4kg/m²未満 |
| SMI(DXA) | 50〜64歳 | 7.2kg/m²未満 | 5.5kg/m²未満 |
InBodyの年代別平均と比べると、男性70代の平均SMI(7.4)は65歳以上の基準7.0に近く、女性70代の平均(5.9)も基準5.7に近い。平均的な70代でも基準との差はわずかしかないということだ。ただしサルコペニアの診断は医療機関で筋力と筋肉量を合わせて行うもので、家庭用体組成計の数値だけで判断するものではない。握力の年代別の平均は握力の平均(年齢別)にまとめている。
よくある質問
筋肉量は何歳から減り始めますか
谷本氏らの研究では、全身の筋肉量は男性が40歳ごろ、女性が50歳ごろまで横ばいかわずかに増えた後に減少した。ただし脚の筋肉量は男女とも20代から減り始めていた。
体組成計の筋肉量が平均より少なければサルコペニアですか
そうとは限らない。家庭用体組成計の筋肉量は水分や内臓の筋肉も含む値で、サルコペニアの基準は四肢の骨格筋量を身長で補正したSMIと握力で判断する。気になる場合は医療機関で相談するのが確実である。
InBodyとタニタの数値を比べてもよいですか
比べないほうがよい。両社は筋肉量の定義と推定式が異なり、同じ人でも値が変わる。変化を見るときは同じ機器・同じ時間帯・同じ条件で測定を続けることが大切だ。
筋トレで年齢による減少は防げますか
研究では、高齢者でも筋力トレーニングによって筋力や身体機能が改善することが報告されている。年齢による減少をゼロにはできないが、減るペースを抑え、筋力を保つ手段として筋トレと十分なたんぱく質摂取が勧められている。
KINNIKU TIMESの視点
年齢別の表を並べて見えてくるのは、「全身の筋肉量は40〜50代まであまり減らないが、脚だけは20代から減っている」という事実だ。体組成計の全身の数値が横ばいだと安心しがちだが、上半身や体幹の数字が脚の減少を隠していることがある。部位別の値が出る機器なら、脚の筋肉量の推移を見るのがよい。
筋トレ初心者への助言は3つある。1つ目は、平均値を目標にしないこと。ここで挙げた平均は運動習慣のない人も含めた値で、平均並みであることは「十分」を意味しない。2つ目は、同じ体組成計で、朝の起床後・排尿後など条件をそろえて月1回程度測り、増減を傾向で見ること。3つ目は、脚のトレーニングを外さないことだ。スクワットやランジなど下半身の種目は、年齢による減少が最も大きい部位を直接鍛えることになる。
体脂肪率の目安は体脂肪率の目安と測り方、除脂肪体重の計算は除脂肪体重の計算と平均、InBodyの結果用紙の読み方はInBodyの見方で解説している。身長に対する筋肉の多さを数値で知りたい人はFFMI計算、筋力が同年代でどの位置かは筋トレ偏差値で確かめられる。必要なたんぱく質量はたんぱく質は体重1kgあたり何gかを参照してほしい。
出典
- 谷本芳美ほか「日本人筋肉量の加齢による特徴」日本老年医学会雑誌 47巻1号 52-57頁(2010年)
- Yamada M, et al. Age-dependent changes in skeletal muscle mass and visceral fat area in Japanese adults from 40 to 79 years-of-age. Geriatr Gerontol Int. 2014
- インボディ・ジャパン「健康な体づくりの目安に!男女別・年代別の体成分データ」
- インボディ・ジャパン「InBody770 結果用紙の見方」(PDF)
- タニタ「体組成計の測定項目の見かたについて」
- Chen LK, et al. Asian Working Group for Sarcopenia: 2019 Consensus Update on Sarcopenia Diagnosis and Treatment. J Am Med Dir Assoc. 2020
- Chen LK, et al. A focus shift from sarcopenia to muscle health in the Asian Working Group for Sarcopenia 2025 Consensus Update. Nat Aging. 2025
- 地域医療振興協会「新しいサルコペニア診断基準が公開されました」(PDF、2025年11月)
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