基礎代謝の平均は男性1,570・女性1,170kcal 年齢別の表と筋肉の影響
基礎代謝の平均を、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」の基礎代謝基準値と参照体重から年齢別・男女別の表で整理した。体重からの計算方法、推定式、年齢による低下の実態、筋肉1kgの代謝量と筋トレで上がる量の現実的な数字を論文で解説する。
基礎代謝の平均は、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」で30〜49歳男性1,570kcal/日、女性1,170kcal/日。筋肉1kgの安静時の代謝は約13kcal/日で、筋トレで上がるのは1日数十〜100kcal程度だ。
2026年10月21日 公開|KINNIKU TIMES 編集部
「基礎代謝が高い体になりたい」「年齢とともに代謝が落ちた」という声は多い。では日本人の基礎代謝の平均はどれくらいで、筋肉を増やすとどこまで変わるのか。本記事は、厚生労働省が2024年に公表した「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書のエネルギーの章(原文PDF)と、PubMedに収載された論文を確認し、数字を原典どおりに整理した。原典で確認できない数値は書いていない。
基礎代謝の平均は年齢・性別でどれくらいか
食事摂取基準は、日本人の基礎代謝の代表値を「基礎代謝基準値」として年齢区分ごとに示している。考え方は「体重1kg当たりの基礎代謝量基準値(kcal/kg体重/日)×参照体重(kg)=参照体重の場合の基礎代謝基準値(kcal/日)」である。参照体重とは、その年齢・性別の日本人の代表的な体重として基準が置いた値だ。18歳以上の値は次のとおり(報告書 表3より)。
| 年齢(歳) | 男性 体重1kg当たり(kcal/kg/日) | 男性 参照体重(kg) | 男性 基礎代謝(kcal/日) | 女性 体重1kg当たり(kcal/kg/日) | 女性 参照体重(kg) | 女性 基礎代謝(kcal/日) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 18〜29 | 23.7 | 63.0 | 1,490 | 22.1 | 51.0 | 1,130 |
| 30〜49 | 22.5 | 70.0 | 1,570 | 21.9 | 53.3 | 1,170 |
| 50〜64 | 21.8 | 69.1 | 1,510 | 20.7 | 54.0 | 1,120 |
| 65〜74 | 21.6 | 64.4 | 1,390 | 20.7 | 52.6 | 1,090 |
| 75以上 | 21.5 | 61.0 | 1,310 | 20.7 | 49.3 | 1,020 |
大人の基礎代謝は、男性でおおむね1,300〜1,600kcal/日、女性で1,000〜1,200kcal/日の範囲に収まる。男性の値が女性より高いのは、体重1kg当たりの値(23.7と22.1など)と、参照体重(63.0kgと51.0kgなど)の両方が大きいためだ。
体重1kg当たりで見ると、男性は18〜29歳の23.7から75歳以上の21.5まで、およそ1割下がる。一方、1日の値が30〜49歳で最も高いのは、この年代の参照体重(男性70.0kg)が18〜29歳(63.0kg)より重いからである。「30代になって代謝が急に落ちた」という実感は、少なくともこの表からは読み取れない。
子ども・10代の基礎代謝
同じ表には1歳からの値も載っている。体重1kg当たりの値は小さい子どもほど高く、1〜2歳男性で61.0、12〜14歳男性で31.0kcal/kg/日だ。1日の基礎代謝で最も高いのは15〜17歳の男性で1,610kcal/日、女性は12〜14歳の1,410kcal/日である。成長期の部活生が大人並みかそれ以上に食べる必要があるのはこのためだ。
| 年齢(歳) | 男性(kcal/kg/日) | 男性(kcal/日) | 女性(kcal/kg/日) | 女性(kcal/日) |
|---|---|---|---|---|
| 10〜11 | 37.4 | 1,330 | 34.8 | 1,260 |
| 12〜14 | 31.0 | 1,520 | 29.6 | 1,410 |
| 15〜17 | 27.0 | 1,610 | 25.3 | 1,310 |
基礎代謝基準値はどうやって決められたのか
報告書によると、基礎代謝量とは「覚醒状態で必要な最小源のエネルギー」である。早朝空腹時に、室温などが快適な状態で、仰向けに安静にして目を覚ました状態で測る。測定室に入って体から出る熱そのものを測る方法を直接法と呼ぶ。このほか、吐く息の酸素と二酸化炭素から消費量を計算する間接熱量測定という方法もある。
表の数字は、1980年以降に国内で測定された50の研究の結果をまとめたものだ。各研究の値を体重1kg当たりに直し、年齢区分ごとに重み付けをせずに平均した。65〜74歳の男性は前後の年齢層から内挿して算出した。70歳以上のデータは、高齢者施設に入所している全身状態の良い人を対象にした研究が主だったため、75歳未満の値も参考にして、75歳以上の男性を21.5kcal/kg/日、女性は50歳以上を一律に20.7kcal/kg/日とした、と報告書は説明している。
報告書は、参照体重から大きく離れた人に使う場合は注意が要るとしながらも、日本人の実測データを最大限に活かしている点を評価し、「現時点では最良」と判断した。なお、2025年版の公表後に用語の正誤表が出ており、「体重1kg当たりの基礎代謝量基準値」が正しい表記である。厚労省のサイトに掲載されているPDFは修正済みだ。
自分の基礎代謝はどう計算するのか
最も簡単なのは、自分の体重に、表の「体重1kg当たり」の値を掛ける方法だ。30〜49歳の男性で体重80kgなら、22.5×80=1,800kcal/日となる。
| 例(30〜49歳) | 計算 | 基礎代謝の目安(kcal/日) |
|---|---|---|
| 男性 60kg | 22.5×60 | 1,350 |
| 男性 70kg(参照体重) | 22.5×70.0 | 1,575(表では1,570) |
| 男性 80kg | 22.5×80 | 1,800 |
| 女性 45kg | 21.9×45 | 約986 |
| 女性 53.3kg(参照体重) | 21.9×53.3 | 約1,167(表では1,170) |
| 女性 60kg | 21.9×60 | 1,314 |
ただし、この方法には限界がある。報告書は、一般に体重が大きいほど体重当たりのエネルギー消費量は小さくなると述べている。参照体重より重い人では、上の計算は実際より高めに出る可能性がある。また報告書は、同じ体重でも体組成が違えば基礎代謝はある程度異なると考えられるとし、表の値を「絶対視しない」ことを求めている。
身長と年齢も使う推定式
報告書は主な推定式も表2で紹介している。日本人のデータから作られた国立健康・栄養研究所の式は次のとおりで、W は体重(kg)、H は身長(cm)、A は年齢(歳)だ。報告書は、妥当性が確認されている年齢幅を18〜79歳としている。
- 男性:(0.0481×W+0.0234×H-0.0138×A-0.4235)×1,000/4.186
- 女性:(0.0481×W+0.0234×H-0.0138×A-0.9708)×1,000/4.186
この式で30歳・身長170cm・体重70kgの男性を計算すると約1,555kcal/日、30歳・158cm・53kgの女性は約1,161kcal/日となり、表の参照値とほぼ同じになる。表2にはほかにHarris-Benedictの式、Schofieldの式、FAO/WHO/UNUの式も載っている。どの式も推定であり、同じ人でも式によって数十〜100kcal以上の差が出ることがある。
基礎代謝は年齢とともにどれだけ下がるのか
「年を取ると代謝が落ちる」は半分正しい。国際原子力機関(IAEA)の二重標識水法データベースを使い、生後8日から95歳までの総エネルギー消費量を分析したPontzerらの研究(Science、2021年)は、除脂肪量で補正したエネルギー消費量が20〜60歳の成人期には安定しており、60歳以降に下がると報告した。20代から50代にかけての代謝の低下は、体の中身が同じなら大きくないということだ。
一方で、体の中身は年齢とともに変わりやすい。Westcottのレビュー(Current Sports Medicine Reports、2012年)は、運動をしない大人は10年ごとに筋肉量が3〜8%失われ、安静時代謝量の低下と脂肪の蓄積を伴うとまとめている。中年期の代謝の低下に見えるものの多くは、筋肉が減って脂肪が増えるという体組成の変化として説明できる。年代別の筋肉量の目安は筋肉量の年齢別平均の記事で扱う。
筋肉を増やすと基礎代謝はどれだけ上がるのか
「筋肉をつければ痩せやすい体になる」とよく言われるが、筋肉そのものが安静時に使うエネルギーは意外に小さい。臓器・組織ごとの安静時の代謝量について、Eliaが1992年に示した値を、Wangらが131人の成人のMRIと間接熱量測定で検証した研究(American Journal of Clinical Nutrition、2010年)がある。
| 臓器・組織 | Eliaの値(kcal/kg/日) | 50歳超の補正値(kcal/kg/日) |
|---|---|---|
| 心臓・腎臓 | 440 | 426 |
| 脳 | 240 | 233 |
| 肝臓 | 200 | 194 |
| 骨格筋 | 13 | 12.6 |
| その他の臓器・組織 | 12 | 11.6 |
| 脂肪組織 | 4.5 | 4.4 |
Wangらは、Eliaの値が21〜50歳では妥当で、50歳を超える群では約3%過大だったと報告している。骨格筋は1kg当たり約13kcal/日で、脂肪組織(4.5kcal)の約3倍だが、肝臓や脳とは桁が違う。筋肉を2kg増やしても、筋肉そのものの代謝の増加は単純計算で約26kcal/日にとどまる。
筋トレの研究では1日約96kcalの増加
それでも、筋トレを続けた人の安静時代謝量は筋肉の増加分以上に上がることがある。MacKenzie-Shaldersらのシステマティック・レビューとメタ分析(Journal of Sports Sciences、2020年)は、18本の研究を統合し、レジスタンス運動(筋トレ)は対照群と比べて安静時代謝量を平均96.17kcal/日(95%信頼区間45.17〜147.16)増やしたと報告した。有酸素運動では有意な増加は見られなかった(81.65kcal/日、信頼区間はマイナスを含む)。ただし著者らは、研究ごとに測定方法がばらばらで、バイアスのリスクが高い研究も含まれると注意している。
Westcottのレビューも、10週間の筋トレで除脂肪量が1.4kg増え、安静時代謝量が7%上がり、脂肪が1.8kg減る可能性を挙げている。筋トレの効果は「筋肉が燃やす分」だけでなく、トレーニング後の回復や体組成の変化を含めた結果と考えられる。
| 根拠 | 増える量の目安 |
|---|---|
| 筋肉2kgぶんの組織の代謝(13kcal/kg/日で計算) | 約26kcal/日 |
| 筋トレの介入研究のメタ分析(MacKenzie-Shalders 2020) | 平均約96kcal/日(45〜147) |
| 10週間の筋トレの例(Westcott 2012) | 安静時代謝量 約7% |
つまり、筋トレで基礎代謝が上がるのは事実だが、その量は1日数十〜100kcal程度が現実的な見込みだ。ダイエットの主役は食事量と日常の活動量であり、基礎代謝の上昇は「長く続けると効いてくる上乗せ」と考えるのがよい。日常の活動で使うエネルギーはNEATとはの記事で解説している。
よくある質問
基礎代謝と安静時代謝は同じですか
厳密には違う。基礎代謝は早朝空腹時に仰向けで安静にして測る最小限のエネルギーで、安静時代謝はそれより条件がゆるく、食後の影響などを含むことがある。研究では安静時代謝量(RMR)で報告されることが多い。
体組成計に出る基礎代謝は正確ですか
家庭用の体組成計の基礎代謝は、身長・体重・年齢や推定した体組成から計算した値で、実測ではない。食事摂取基準も、どの推定式にも誤差があり、絶対視しないよう求めている。同じ機器で同じ条件で測り、変化の方向を見る使い方が向いている。
基礎代謝より少なく食べると危ないのですか
基礎代謝は1日の消費の一部にすぎず、実際の消費量は活動の分だけ多い。基礎代謝を下回るほどの食事制限は、たんぱく質などの栄養が不足しやすく、筋肉も減りやすい。必要量の計算はTDEEの計算の記事を参照してほしい。
女性の基礎代謝が男性より低いのはなぜですか
食事摂取基準の表では、体重1kg当たりの値も参照体重も女性のほうが小さい。体脂肪の割合が男性より高い傾向があり、体重当たりの筋肉が少ないことが一因と考えられる。
KINNIKU TIMESの視点
基礎代謝の平均を知る価値は、「自分の数字が高いか低いか」を競うことより、食事量を決める出発点を持つことにある。30〜49歳男性の1,570kcal/日、女性の1,170kcal/日という参照値は、1日の消費量(TDEE)を見積もる土台になる。体重が参照体重から大きく離れている人は、体重1kg当たりの値を掛けるか、身長と年齢も使う推定式で計算し、どちらも誤差を含む目安だと理解して使いたい。
筋トレに期待しすぎないことも大切だ。メタ分析で見えた上昇は平均で1日約96kcalで、筋肉そのものの代謝はさらに小さい。それでも、筋肉は10年ごとに数%ずつ失われうるもので、維持するだけで中年以降の代謝の低下を抑える意味がある。初心者は「代謝を上げるため」より「減らさないため」に週2〜3回の筋トレを続けるのが現実的だ。減量の仕組みは筋トレのダイエット効果、脂肪1kgのカロリー計算が合わない理由は1kg=7200kcalは本当か、体脂肪の見方は体脂肪率の目安にまとめた。体格に対する筋肉量の目安はFFMI計算、食事の配分はPFC計算で確かめられる。
出典
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」各論 エネルギー(PDF)
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 正誤表(PDF)
- Wang Z, et al. Specific metabolic rates of major organs and tissues across adulthood. Am J Clin Nutr. 2010(PubMed)
- Pontzer H, et al. Daily energy expenditure through the human life course. Science. 2021(PubMed)
- MacKenzie-Shalders K, et al. The effect of exercise interventions on resting metabolic rate. J Sports Sci. 2020(PubMed)
- Westcott WL. Resistance training is medicine: effects of strength training on health. Curr Sports Med Rep. 2012(PubMed)
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