【定員19人が分かれ目】リハビリデイサービスの開業|指定・人員・設備
リハビリデイサービスの開業は、介護保険の「通所介護」(定員が少ない場合は「地域密着型通所介護」)の指定を受け、要介護の方に機能訓練を中心としたサービスを提供する事業を始めることです。民間のジムとは違い、都道府県や市町村の指定がなければ介護保険のサービスとして運営できず、人員・設備・運営の基準を満たす必要があります。介護保険法施行規則(2026年10月23日確認)は、通所介護と地域密着型通所介護を分ける利用定員の数を19人と定めており、定員をどう決めるかで指定の窓口も変わります。医師の指示のもとで行う医療のリハビリとは制度が違うため、名前の付け方や説明にも注意が必要です。
リハビリデイサービスの位置づけ(介護保険法による区分)
| 区分 | 中身(法律の定義から) | 指定・運営の主体 |
|---|---|---|
| 通所介護(利用定員19人以上) | 居宅要介護者を施設に通わせ、入浴・排せつ・食事等の介護その他の日常生活上の世話と機能訓練を行う | 都道府県知事(指定都市・中核市は市長)の指定 |
| 地域密着型通所介護(利用定員19人未満) | 同上で、利用定員が省令で定める数未満のもの | 市町村長の指定 |
| 通所リハビリテーション | 主治の医師が認めた居宅要介護者を介護老人保健施設・病院・診療所などに通わせ、理学療法・作業療法などのリハビリテーションを行う | 医療機関・介護老人保健施設などが行う |
| 民間の運動教室 | 介護保険を使わない運動の場 | 指定は不要。医療行為・介護保険のサービスは行わない |
リハビリデイサービスとは:介護保険の通所介護として始める
「リハビリデイサービス」は法律上の名前ではなく、通所介護の中で機能訓練に力を入れた事業所を指して使われる呼び方です。法律上は、介護保険法第8条の「通所介護」または「地域密着型通所介護」にあたり、入浴・排せつ・食事等の介護その他の日常生活上の世話と、機能訓練を行うサービスとして定義されています。
| 比べること | リハビリデイサービス(通所介護) | 民間のシニア向け運動教室 |
|---|---|---|
| 利用者 | 要介護認定を受けた居宅要介護者 | 誰でも(会員) |
| お金の出どころ | 介護保険からの支払いと利用者負担 | 利用者の月会費 |
| 始めるのに必要なこと | 都道府県等または市町村の指定 | 指定は不要 |
| 人員・設備 | 省令・条例の基準を満たす | 事業者が決める |
| 医療との関係 | 医療のリハビリ(通所リハビリテーション)とは別の制度 | 医療行為は行わない |
向いているのは、介護や医療の現場で働いた経験があり、制度の手続きと記録の仕事を続けられる人、地域のケアマネジャーや医療機関とつながりのある人、法人として事業を運営できる人です。介護保険法第70条は、申請者が都道府県の条例で定める者でないときは指定をしてはならないとしているため、個人で申請できるかを含めて、申請者の要件は指定権者に確認してください。
必要な人員と設備:基準から逆算して物件を探す
指定通所介護の人員・設備は「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」(厚生省令第37号)に定められ、都道府県等はこれをもとに条例で基準を決めます。物件を決める前に、この基準を満たせるかを確かめるのが順番です。
| 項目 | 省令に書かれていること(指定通所介護、2026年10月23日確認) |
|---|---|
| 生活相談員 | 提供時間帯に、専ら提供にあたる生活相談員の勤務時間数の合計を提供時間数で割った数が1以上 |
| 看護職員 | 単位ごとに、専ら提供にあたる看護職員が1以上 |
| 介護職員 | 利用者が15人までは1以上、15人を超える場合は超える部分を5で割った数に1を足した数以上(勤務時間数で計算)。常時1人以上を従事させる |
| 機能訓練指導員 | 1以上。日常生活を営むのに必要な機能の減退を防止するための訓練を行う能力を有する者 |
| 常勤・管理者 | 生活相談員または介護職員のうち1人以上は常勤。事業所ごとに専らその職務に従事する常勤の管理者を置く |
| 設備 | 食堂・機能訓練室・静養室・相談室・事務室。食堂と機能訓練室の合計面積は3㎡に利用定員を掛けた面積以上 |
面積の基準で計算すると、たとえば利用定員20人なら、食堂と機能訓練室の合計で3㎡ × 20人 = 60㎡(約18.2坪)以上が必要です。これに静養室・相談室・事務室・トイレなどが加わるため、物件はそれより広くなります。なお、利用定員19人未満の地域密着型通所介護の人員・設備は、別の省令(指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準)と市町村の条例で定められるため、市町村の介護保険担当で確認してください。
開業費用と収益の柱:介護保険の収入と自費のサービス
リハビリデイサービスは、ジム開業ナビの試算モデルの対象ではありません。介護保険の事業は、報酬の仕組みと人員の基準で収支の形が決まるため、ここでは金額を決めつけず、費用の項目と考え方を整理します。介護報酬の単価や加算の扱いは改定があるため、必ず最新の公式の資料で確かめてください。
| 費用 | 中身 | 確かめること |
|---|---|---|
| 法人の設立・指定申請 | 法人の設立、指定申請の書類づくり | 指定権者の申請の時期と事前相談の有無 |
| 物件・内装 | 保証金・内装・バリアフリーの工事・浴室 | 設備の基準、消防・建築の手続き |
| 機能訓練の機器 | 訓練用の機器・平行棒など | 訓練の内容と、機能訓練指導員の意見 |
| 送迎車 | 車両・保険・運転者 | 送迎の範囲と台数 |
| 月の固定費 | 人件費(基準の人員)・家賃・システム・保険 | 常勤の人数と、利用者が少ない時期の人件費 |
通所介護の収入の中心は、介護保険から支払われる報酬と、利用者が支払う一部の負担です。基準第96条は、法定代理受領サービスに当たる場合、事業者は利用料の一部として、居宅介護サービス費用基準額から事業者に支払われる居宅介護サービス費の額を差し引いた額の支払を受けるとしています。開業前の計画では、次の2点を必ず計算しておきましょう。
- 1日の利用者数 = 利用定員 × 稼働率(ケアマネジャーからの紹介でどこまで埋まるか)
- 人員の基準を満たすための人件費 ÷ 1日の利用者数 = 利用者1人あたりの人件費
例として、定員20人で稼働率が50%なら1日10人です。基準の人員を置く人件費は利用者が10人でも20人でも大きくは変わらないため、稼働率が低い時期は1人あたりの人件費が重くなります(数字は計算のための例)。介護保険を使わない自費のサービス(保険外の運動教室など)を組み合わせる事業者もありますが、介護保険のサービスとの区分けと説明の仕方は指定権者に確認してください。
自費の運動教室やトレーニングスペースを併設する場合は、物件の坪数・家賃・マシンの台数を入れると、初期費用と月の費用が自分の条件で計算できます。介護保険の事業とは別に、どこまでの固定費を支えられるかを確かめましょう。
開業費用・収支シミュレーションを無料で使う指定と運営:医療・介護との線引きを守る
介護保険のサービスは、指定を受けたあとも運営の基準を守り続ける必要があります。届出の要否や中身は自治体で変わるため、下の表を確認の入口にして、指定権者(都道府県・指定都市・中核市・市町村の介護保険担当)、所轄の消防署、税理士・社会保険労務士・行政書士に確認してください。
| 項目 | 確かめたこと(2026年10月23日確認) | 確認先 |
|---|---|---|
| 指定 | 指定は事業所ごとに行う。申請者が都道府県の条例で定める者でないときは指定をしてはならない(介護保険法第70条)。地域密着型は市町村長が指定(第78条の2) | 指定権者の介護保険担当 |
| 定員の区分 | 通所介護と地域密着型通所介護を分ける利用定員の数は19人(介護保険法施行規則第10条の2) | 指定権者の介護保険担当 |
| 医療のリハビリとの区別 | 通所リハビリテーションは、主治の医師が認めた居宅要介護者を介護老人保健施設・病院・診療所などに通わせて行うもの(介護保険法第8条) | 保健所・指定権者 |
| 防火対象物使用開始届 | 各市町村の火災予防条例による。仙台市は使用開始の7日前まで | 所轄の消防署 |
| 用途変更の確認申請 | 特殊建築物の用途で200㎡を超える場合に必要。物件の用途の扱いは建築士・自治体に確認 | 自治体の建築指導課・建築士 |
「リハビリ」という言葉は医療の印象が強いため、広告やパンフレットでは、通所介護として機能訓練を行う事業所であることがわかる説明にし、医療行為や治療を行うかのような表現は避けましょう。利用者の健康状態や個人情報の扱い、職員の雇用や社会保険の手続きも多いため、早い段階で専門家と相談しておくと安心です。
よくある質問
リハビリデイサービスを開くのに必要な資格は?
開業する人自身に決まった資格があるわけではありませんが、指定通所介護の基準では、生活相談員・看護職員・介護職員・機能訓練指導員・管理者を置く必要があります。機能訓練指導員は「日常生活を営むのに必要な機能の減退を防止するための訓練を行う能力を有する者」とされており、具体的にどの資格が当たるかは指定権者に確認してください。
ジムやスタジオをリハビリデイサービスに変えられますか?
介護保険の指定を受けるには、人員・設備・運営の基準を満たす必要があります。食堂・機能訓練室・静養室・相談室・事務室などの設備が必要で、面積の基準もあるため、今の物件で満たせるかを指定権者に事前相談してください。
介護保険を使わずに高齢者向けの運動教室を開くことはできますか?
介護保険を使わない民間の運動教室なら、指定は不要です。ただし、介護保険のサービスや医療のリハビリと誤解されない名前と説明にし、医療行為は行いません。市町村の介護予防の事業との関わり方は、市町村の介護保険担当に確認してください。
出典
- e-Gov法令検索「介護保険法」第8条・第70条・第78条の2(2026年10月23日確認)
- e-Gov法令検索「介護保険法施行規則」第10条の2(2026年10月23日確認)
- e-Gov法令検索「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」第93条〜第96条(2026年10月23日確認)
- 厚生労働省「介護予防・日常生活支援総合事業」(2026年10月23日確認)
- 仙台市「防火対象物使用開始届出書」(2026年10月23日確認)
- e-Gov法令検索「建築基準法」(2026年10月23日確認)
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