【令和8年度の金額表つき】ジムでスタッフを雇うときの助成金の考え方
ジムでスタッフを雇うときに検討できる雇用の助成金は、アルバイトや契約社員のトレーナーを正社員にする「キャリアアップ助成金」、就職が難しい人を雇う「特定求職者雇用開発助成金」「トライアル雇用助成金」、研修の「人材開発支援助成金」などです。どれも雇用保険の適用事業所であることが前提で、多くは「雇う・転換する前」に計画や届出が要ります。厚生労働省の令和8年度の案内(2026年10月23日確認)を見て、取り組みを始める前に労働局・ハローワークか社会保険労務士に確かめてください。
雇用の助成金の考え方:先に計画、あとで申請
- 雇用保険の適用事業所になる
- 就業規則・賃金規定を整える
- キャリアアップ計画などを出す
- ハローワーク等の紹介を受ける(コースによる)
- 決められた期間の賃金を払う
- 期限内に支給申請(原則2か月以内)
- 審査・実地調査に協力する
- 書類を整理・保管する
ジムが雇用の助成金を受けるための前提
厚生労働省の案内では、雇用関係助成金を受けられる事業主は、雇用保険適用事業所の事業主(支給申請日と支給決定日に雇用保険の被保険者がいること)、期間内に申請すること、審査に協力することが共通の前提です。そのうえで、助成金ごとの要件も満たす必要があります。
| 前提 | ジムで気をつけること |
|---|---|
| 雇用保険の適用事業所であること | トレーナーが全員業務委託(個人事業主)だと、雇用の助成金の対象にならない。雇用か委託かは働き方の実態で決まるため、契約の形を社会保険労務士と確かめる |
| 期限内の申請 | 支給申請期間は、原則として各助成金の要領に定める日の翌日から2か月以内。郵送は期間内に届く必要がある |
| 審査への協力 | 出勤簿・賃金台帳・雇用契約書などを整えて保管し、求められたら出す |
| 中小企業事業主の範囲 | サービス業は資本金5,000万円以下または常時雇用する労働者100人以下(小売業は5,000万円以下または50人以下) |
なお、以前あった「生産性要件」は2023年3月31日に廃止されています(厚生労働省、2026年10月23日確認)。また厚生労働省は、委託事業者を名乗って助成金の申請や無料査定を勧誘する書面について注意を呼びかけています。申請は自分で行うか、社会保険労務士に依頼してください。
ジムで検討しやすい助成金と金額
令和8年度の簡略版パンフレット(令和8年4月8日時点)とキャリアアップ助成金のリーフレット(令和8年4月8日版)から、ジムの採用・育成の場面で関係しそうなものをまとめました(2026年10月23日確認、中小企業の場合)。
| 場面 | 助成金・コース | 主な助成額(中小企業) |
|---|---|---|
| アルバイト・契約社員のトレーナーを正社員にする | キャリアアップ助成金 正社員化コース | 有期雇用から正社員:重点支援対象者は1人80万円(40万円×2期)、それ以外は40万円。無期雇用からは40万円・20万円 |
| 正社員にする制度を新しく作る | 同コースの加算(1事業所1回) | 正社員転換制度の新設20万円、勤務地限定・職務限定・短時間正社員の新設40万円など |
| 60歳以上の人などを紹介で雇う | 特定求職者雇用開発助成金 特定就職困難者コース | 高年齢者(60歳以上)・母子家庭の母等は1人60万円(短時間労働者は40万円) |
| 経験の浅い人を試行雇用する | トライアル雇用助成金 一般トライアルコース | 1人あたり月額最大4万円(最長3か月) |
| スタッフに研修を受けさせる | 人材開発支援助成金 人材育成支援コース | 10時間以上のOFF-JTなどで、賃金助成1人1時間800円、経費の一部(正規45%・非正規70%など) |
| いちばん低い時給を上げて設備投資をする | 業務改善助成金 | 設備投資等の経費の3/4〜4/5、上限は引き上げる額・人数に応じて30万円〜600万円 |
正社員化コースの重点支援対象者は、雇い入れから3年以上の有期雇用労働者、過去5年間に正規雇用の期間が合計1年以下などの条件に当たる人、派遣労働者・母子家庭の母等などです。新規学卒者で雇い入れから一定期間たっていない人は対象外とされています。
キャリアアップ助成金:トレーナーの正社員化で押さえる順番
ジムでは、開業当初はアルバイトや契約社員のトレーナーで始め、会員が増えてから中心メンバーを正社員にする流れがよくあります。このときに検討できるのがキャリアアップ助成金の正社員化コースです。リーフレット(令和8年4月8日版、2026年10月23日確認)では、受給に次の3つが必要とされています。
| 順番 | やること | ジムでの注意 |
|---|---|---|
| 1. キャリアアップ計画 | 正社員に転換する前日までに作成・提出する | 転換が決まってから急いで出すと間に合わない。採用時から計画しておく |
| 2. 制度の規則化 | 正社員に転換する制度を就業規則などに定める | 開業時の就業規則に転換の規定を入れておく |
| 3. 正社員転換と賃金 | 転換後6か月の賃金を、転換前6か月より3%以上増やす | 歩合給の多いトレーナーは、賃金の比べ方を社会保険労務士と確かめる |
| 4. 支給申請 | 転換後6か月分の賃金を払った日の翌日から2か月以内 | 給与の締め日・支払日から申請期限を逆算してカレンダーに入れる |
また、助成金上の「正規雇用労働者」は、同じ事業所の正規雇用労働者に適用される就業規則が適用され、転換時点で「賞与または退職金の制度」と「昇給」が適用されている人に限られます。賞与・昇給の仕組みがないまま転換すると対象にならない場合があるので、制度づくりから進めましょう。
人件費を入れて月の費用と損益分岐の会員数を出すと、正社員を何人まで雇えるかの目安がつかめます。助成金は一時的な収入なので、毎月の人件費は会員の売上でまかなえる計画にしておきましょう。
開業費用・収支シミュレーションを無料で使う雇う前に決めておくこと:計画と書類
雇用の助成金は、「あとから気づいて申請する」と要件を満たせなくなることがある仕組みです。ハローワーク等の紹介で雇うことが条件のコースや、取り組みの前日までに計画の提出が要るコースがあります。採用を始める前に、次の点を決めておきましょう。
- 雇用か業務委託か:トレーナーとの契約の形。指揮命令や時間の拘束の実態で判断されるため、社会保険労務士に確認する。
- 就業規則と賃金規定:正社員転換の制度、賞与・昇給、短時間正社員などの区分。
- 採用の経路:ハローワークや職業紹介事業者の紹介を使うか。助成金によっては紹介が条件になる。
- 書類の整え方:雇用契約書・出勤簿・賃金台帳を、開業時から助成金の審査に耐える形で残す。
- 人件費の上限:ジム開業ナビの試算モデル(2026年10月)では、24時間ジム30坪の月の人件費は40万円、月の費用全体は202万円です(物件・地域・見積もりで変わります)。雇う人数はこの枠の中で考える。
助成金の要件や金額は年度ごとに見直され、取り組みを行った日で支給額や様式が変わることがあります。最新の支給要領と申請様式は厚生労働省のサイトで確かめ、詳しくは都道府県労働局・ハローワークに問い合わせてください。
よくある質問
開業したばかりのジムでも雇用の助成金は使えますか?
雇用保険の適用事業所で、各助成金の要件を満たせば、開業間もない事業主でも対象になりえます。ただし計画の提出や紹介の条件など、取り組みの前の手続きが必要なものが多いので、採用の前に労働局・ハローワークに確かめてください。
業務委託のトレーナーを雇用に切り替えると助成金の対象になりますか?
キャリアアップ助成金の正社員化コースは、有期雇用労働者・短時間労働者・派遣労働者などを正社員にする場合の制度です。業務委託から直接の正社員化が対象になるかはコースの要件で決まるため、社会保険労務士や労働局に確認してください。
パートのフロントスタッフにも使える助成金はありますか?
キャリアアップ助成金には、賃金規定等改定コースや短時間労働者労働時間延長支援コースなど、非正規雇用の処遇改善に向けたコースもあります。条件は各コースの案内で確かめてください。
助成金は申請すれば受け取れますか?
要件を満たし、審査で認められた場合に支給されます。書類の不備や期限切れで受けられないこともあるため、期限と書類の管理を最初から決めておきましょう。
出典
- 厚生労働省「令和8年度 雇用・労働分野の助成金のご案内(簡略版)」(令和8年4月8日時点)(2026年10月23日確認)
- 厚生労働省「キャリアアップ助成金」・正社員化コースのリーフレット(令和8年4月8日版)(2026年10月23日確認)
- 厚生労働省「事業主の方のための雇用関係助成金」(2026年10月23日確認)
- ジム開業ナビ「ジム開業の費用」試算モデル(2026年10月)
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