【設備と運営が変わる】既存ジムの24時間ジム業態変更の進め方
既存のジムを24時間ジムに変える場合、変わるのは営業時間だけではありません。人の配置、入退室の管理、防犯、清掃、近隣対応のすべてが変わります。
ジム開業ナビの試算モデル(2026年10月)の24時間ジム30坪・マシン13台では、月の費用が202万円です。
その中に人件費40万円、システム月額5.3万円、清掃15万円、保険2万円が含まれます。いまの月の費用と並べて、増える項目と減る項目を洗い出し、会員数が何人増えれば回収できるかを確かめてから決めてください。
有人営業から24時間化したときの費用の動き(試算モデルの項目で整理)
24時間化で何が変わるか:項目ごとの確認
有人で営業しているジムは、受付のスタッフが入室の確認、会員対応、清掃、閉店作業を担っています。24時間化で無人の時間ができると、それぞれを仕組みに置き換える必要があります。
| 項目 | いまの運営 | 24時間化で必要になること |
|---|---|---|
| 入室 | 受付で確認 | ICカード・スマートフォン・顔認証などの入退室管理システム |
| 防犯 | スタッフの目 | 防犯カメラ、非常ボタン、警備会社との契約の検討 |
| 清掃 | 閉店後にスタッフ | 外注の頻度の見直し、利用者への簡易清掃の依頼 |
| 問い合わせ | 窓口対応 | 電話の転送、チャット、FAQの整備 |
| 近隣 | 夜間は静か | 夜間の音・駐輪・出入りへの配慮 |
| 契約・規約 | 営業時間ごと | 深夜帯の利用条件、会員区分の見直し |
建物側の確認も必要です。入居しているビルの規約で夜間の出入りが制限されていないかを確認します。消防や避難経路の扱いが変わらないかも、貸主と所轄の消防署に確認します。24時間運営とビルの規約は別の記事で整理しています。
人の配置:深夜の労働と無人運営のどちらにするか
24時間化の方法は、(1) 夜間も人を置く、(2) 夜間だけ無人にする、の二つに大きく分かれます。深夜に人を置く場合は、労働基準法第37条に注意します(2026年10月23日確認)。
午後10時から午前5時までの労働には、通常の賃金の計算額の2割5分以上の率で計算した割増賃金を支払う定めがあります。人件費に加えて、休憩や労働時間の管理も必要です。
| 人の配置 | 中身 | 費用と手間 |
|---|---|---|
| 夜間も有人 | 交代でスタッフを置く | 人件費が大きい。深夜の割増賃金と休憩の管理が必要 |
| 夜間は無人 | 入退室管理と防犯カメラで運営 | システム費と防犯の費用。緊急時の連絡体制が必要 |
| 時間帯でハイブリッド | 日中と夕方は有人、深夜早朝は無人 | シフトの組み方が複雑だが、人件費を抑えやすい |
どの形でも、会員がいつ・どのくらい使うかのデータが判断の材料になります。いま入退室の記録があるなら、時間帯別の来店数を集計し、夜間にどの程度の利用が見込めるかを数字で確かめます。
夜間の利用が少ないなら、24時間化ではなく、営業時間を朝と夜に延ばすだけにとどめる選択肢もあります。
坪数と機器の台数、人件費を入れて、24時間化した場合の月の費用と損益分岐の会員数を出してみてください。いまの会員数との差がわかります。
24時間化後の月の費用と損益分岐を無料で試算する無人にする場合は、無人の夜間帯の防犯とトラブル対応が課題になります。有人の時間と無人の時間を分ける「ハイブリッド型」にする例もあります。スタッフの勤務は日中に集め、夜間は仕組みで守る運営です。
回収の見方:増える会員で費用を上回れるか
24時間化の判断は、次の式で確かめます。
- 増やすべき会員数 = 24時間化で増える月の費用 ÷(月会費 − 会員1人あたりの変動費)
- 例(計算のための例): 追加の費用が月30万円、月会費8,000円、変動費800円なら、30万円 ÷ 7,200円 ≒ 42人
- 工事・システム導入の費用は、回収したい月数で割って、月の費用に足す
試算モデルの24時間ジム30坪では、損益分岐が232人、回収は17か月目です。マシンはリース、税・借入の返済は含まず、実際の費用は物件・地域・見積もりで変わります。
いまの会員数と立地で、夜間の利用が見込めるかを、既存会員のアンケートや周辺の人口・勤務先で確かめてください。
会員への伝え方も計画に入れます。次の点を事前に案内して、質問を受けます。24時間化の時期、無人の時間帯の使い方、緊急時の連絡先、防犯カメラの設置と掲示、既存会員の料金や会員区分の扱いです。
規約を変更する場合は、会員への通知の方法と時期を決め、同意の取り方を弁護士に確認してください。切り替え直後は問い合わせが増えるため、数週間は日中のスタッフを手厚くする運営も考えられます。
よくある質問
24時間化に必要な届出はありますか?
営業時間の変更だけで、特別な許可が必要とは確認していませんが、物件の規約、消防、防犯カメラの掲示などの確認が必要です。所轄の消防署・自治体・貸主に確認してください。
24時間化すると会員は増えますか?
一律には言えません。立地、競合、既存会員の生活時間で変わります。会員アンケートで夜間・早朝の利用希望を聞くことが、判断の第一歩です。
スタッフはどう配置を変えますか?
夜間を無人にする場合は、日中のスタッフの役割を、指導・会員フォロー・清掃の管理に移す例があります。労働時間や休憩の扱いは社会保険労務士に確認してください。
出典
- ジム開業ナビ「ジム開業の費用」試算モデル(2026年10月)
- e-Gov法令検索「労働基準法」第37条(2026年10月23日確認)
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