【12か月の表つき】ジムの資金繰り表の作り方|開業後の資金の谷を見つける
ジムの資金繰り表は、開業の2か月ほど前から開業後10か月目までの12か月を1行1か月で並べ、毎月の入金・出金・月末の残高を書く表です。ジムは開業前に初期費用がまとめて出ていき、開業後は会員が増えるまで赤字が続くため、残高がいちばん少なくなる「資金の谷」が開業から数か月後に来ます。下の例では、谷は10か月目のマイナス289万円で、最初の資金計画では足りないことがわかります。数字はすべて計算のための例です。
開業前後12か月の資金繰り表の例(単位:万円)
| 月 | 会員数 | 月の収支(返済後) | 月末の残高 |
|---|---|---|---|
| 開業2か月前 | − | −1,200 | 1,300 |
| 開業1か月前 | − | −1,170 | 130 |
| 1か月目 | 80人 | −110 | 20 |
| 2か月目 | 116人 | −83 | −63 |
| 3か月目 | 150人 | −57.5 | −120.5 |
| 4か月目 | 168人 | −44 | −164.5 |
| 5か月目 | 184人 | −32 | −196.5 |
| 6か月目 | 200人 | −20 | −216.5 |
| 7か月目 | 215人 | −33.75 | −250.25 |
| 8か月目 | 229人 | −23.25 | −273.5 |
| 9か月目 | 243人 | −12.75 | −286.25 |
| 10か月目 | 256人 | −3 | −289.25 |
資金繰り表とは:損益とのちがいと、ジムで要る理由
損益の計算は「その月に利益が出たか」を見るのに対し、資金繰り表は「その月末に手元にいくら残るか」を見ます。ジムでは、内装やマシンの搬入の支払いが開業前に集中し、借入の元金の返済は利益ではなく手元のお金から出ていくため、損益だけを見ていると資金が足りなくなる月を見落とします。
日本政策金融公庫は、創業向けの書式として「資金繰り表」(Excel、簡易版はWordとExcel)と記入例を公開しています(2026年10月23日確認)。融資の相談で求められたときに出せるよう、公庫の様式に合わせた形で作っておくと手間が省けます。
| 資金繰り表の行 | ジムで入る中身 |
|---|---|
| 月初の残高 | 前の月の月末の残高 |
| 入金 | 月会費・入会金・物販の売上の入金、借入金の入金、自己資金の入金 |
| 出金(開業前) | 保証金・仲介手数料、内装工事、マシン搬入、システム導入、看板、開業前の広告 |
| 出金(毎月) | 家賃、マシンリース、人件費、光熱費、システム月額、清掃、保守、保険、広告、決済手数料 |
| 出金(返済) | 借入の元金と利息 |
| 月末の残高 | 月初の残高 + 入金 − 出金 |
月会費は、決済の方法によって売上が立った月と口座に入る月がずれることがあります。使う決済サービスの入金の時期を確かめ、入金の月で書いてください。
12か月の資金繰り表の作り方:5つの手順
上の例は、次の手順で作っています。数字を自分の物件・見積もり・料金に置き換えれば、同じ形で作れます。
- 開業前の資金を書く:自己資金と借入の額を、入ってくる月に入れる。
- 初期費用の支払い月を書く:見積書と契約の条件から、いつ何を払うかを月ごとに分ける。
- 会員数を月ごとに出す:今月の会員数 = 先月の会員数 ×(1 − 月の退会率)+ 今月の新規入会。
- 月の収支を出す:会員数 ×(月会費 − 会員1人あたりの変動費)− 月の固定費 − 借入の返済。
- 月末の残高をつなぐ:月初の残高に月の収支を足して、次の月の月初の残高にする。
例の前提では、損益分岐の会員数は 170万円 ÷ 7,500円 ≒ 227人で、8か月目に会員数がこれを超えて損益は黒字になります。それでも7か月目から返済が始まるため、返済後の収支は10か月目までマイナスが続き、残高は下がり続けます。会員数が落ち着く先は 月25人 ÷ 5% = 500人なので、その後は残高が回復していく計算です(数字はいずれも例)。
坪数・家賃・マシンの台数を入れると、初期費用と月の費用が自分の条件で計算できます。出てきた初期費用と固定費を、上の5つの手順の2と4に入れれば、自分のジムの資金の谷がどこに来るかを確かめられます。
開業費用・収支シミュレーションを無料で使う資金の谷を浅くする:表を見てから資金計画を直す
例では、最初の資金計画(自己資金500万円+借入2,000万円)のままだと、2か月目から残高がマイナスになります。資金繰り表は、この不足を開業前に見つけて直すための道具です。
| 直し方 | 資金繰り表のどこが変わるか | 注意すること |
|---|---|---|
| 運転資金を多めに用意する | 開業前の入金が増え、谷の底が上がる | 例では谷が−289.25万円なので、少なくともこれを埋め、さらに予備を足す |
| 返済の据置期間を長めにとる | 返済が始まる月が後ろにずれる | 据置期間中も利息の支払いはある。公庫の新規開業・スタートアップ支援資金は据置期間5年以内(2026年10月23日確認) |
| 開業前の予約を増やす | 1か月目の会員数が増え、谷が浅くなる | プレオープンの広告の費用も出金に入れる |
| 初期費用を減らす | 開業前の出金が減る | マシンのリース、居抜き物件。リースは月の固定費が増える |
| 固定費を見直す | 毎月の出金が減る | 人件費・広告を削りすぎると会員が増えにくくなる |
見込みより会員が少ない場合の表も作っておきましょう。例の新規入会を8割にして同じ計算をすると、谷はさらに深く、後ろにずれます。最も厳しい見通しでも残高がマイナスにならない資金計画にしておくと、開業後に資金が尽きる心配を減らせます。
よくある質問
資金繰り表は何か月分作ればよいですか?
少なくとも開業前の支払いが始まる月から、残高が回復に向かう月まで作ります。この記事の例では12か月で谷の底が見えましたが、会員の増え方が遅い業態や、返済の据置期間が長い場合は、24か月分作ると安心です。
資金繰り表はExcelの決まった様式がありますか?
決まった様式はありませんが、日本政策金融公庫が資金繰り表の様式(Excel)と簡易版、記入例を公開しています(2026年10月23日確認)。融資の相談に使うなら、その様式に合わせると話が通じやすくなります。
損益が黒字なのに資金が減るのはなぜですか?
借入の元金の返済は経費ではないため損益には出ませんが、手元のお金は減ります。例でも8か月目に損益は黒字になりますが、返済があるため残高は10か月目まで下がっています。
月会費の入金がずれる場合はどう書きますか?
資金繰り表は実際にお金が口座に入る月で書きます。決済サービスの入金サイクルを確かめ、売上の月と入金の月を分けて書いてください。
出典
- 日本政策金融公庫「各種書式ダウンロード(資金繰り表・月別収支計画書)」(2026年10月23日確認)
- 日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」(2026年10月23日確認)
- ジム開業ナビ「ジム開業の費用」試算モデル(2026年10月)
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