【贈与とみなされない注意】ジムの開業資金を親から借りるときの契約書
ジムの開業資金を親から借りるときは、契約書を作り、決めたとおりに返済して記録を残すことが、贈与とみなされないための基本です。国税庁のタックスアンサー(No.4420、令和8年4月1日現在法令等、2026年10月23日確認)は、親子間の貸し借りでも、返済能力や返済状況からみて本当に貸借と認められれば借入金そのものは贈与にならないとしています。一方で「ある時払いの催促なし」「出世払い」のような約束は、借入金そのものが贈与として扱われます。個別の判断は税務署や税理士に確認してください。
親からの借入:貸借と贈与の分かれ目
- 契約書で金額・返済方法・期日を決めている
- 決めたとおりに振込で返している
- 事業の収入から返せる計画がある
- 利息の定めがある
- 「ある時払いの催促なし」
- 「出世払い」
- 形だけの貸借で返していない
- 無利子(利息相当分が贈与とされる場合)
国税庁の考え方:何が「本当の貸し借り」か
国税庁のタックスアンサー No.4420 の内容を、そのまま整理すると次のとおりです(2026年10月23日確認)。根拠は相続税法第9条と相続税法基本通達9-10とされています。
| 場面 | 国税庁の扱い |
|---|---|
| 親子・祖父母と孫など特殊の関係がある人どうしの金銭の貸借 | 借入金の返済能力や返済状況などからみて真に貸借と認められれば、借入金そのものは贈与にならない |
| 無利子などの場合 | 利子に相当する金額の利益を受けたとして、その利益相当額が贈与として扱われる場合がある |
| 実質は贈与なのに形式上貸借にしている場合 | 借入金そのものが贈与として扱われる |
| 「ある時払いの催促なし」「出世払い」 | 借入金そのものが贈与として扱われる |
ポイントは、契約書があるかどうかだけでなく、実際に返せる計画があり、実際に返しているかで判断されることです。ジムは開業から会員が損益分岐に届くまで赤字になりやすいため、最初の数か月は返済を少額にする、据置期間を設けるなど、事業の計画に合った返し方を決めておくと説明がしやすくなります。
契約書に書くことと、印紙税
家族間でも、金銭消費貸借契約書を作っておくと、税務署や金融機関に借入であることを説明する材料になります。最低限、次の項目を決めて書面にしておきましょう。
| 項目 | 決めておくこと | ジム開業での考え方 |
|---|---|---|
| 当事者・日付 | 貸す人・借りる人の氏名、契約日 | 法人で借りるなら、借りる人を会社にするか社長個人にするかを決める |
| 金額・使いみち | 借りる金額と受け取る方法 | 振込で受け取り、開業資金に使ったことを通帳で追えるようにする |
| 返済の方法 | 毎月の返済額、返済日、返済口座、最終の期日 | 損益分岐に届くまでは少額、その後に増やすなど、計画と合わせる |
| 利息 | 利率と支払い方 | 無利子にする場合は、利息相当分が贈与とされる場合があることを税理士と確認する |
| 繰り上げ・遅れたとき | 早く返す場合、返済が遅れた場合の扱い | 会員の集まりが遅れたときの見直し方も決めておく |
金銭消費貸借契約書は、印紙税の第1号文書(消費貸借に関する契約書)に当たり、記載された契約金額で税額が決まります。国税庁のタックスアンサー No.7101(2026年10月23日確認)による主な区分は次のとおりです。
| 契約書に書いた金額 | 印紙税額 |
|---|---|
| 50万円を超え100万円以下 | 1,000円 |
| 100万円を超え500万円以下 | 2,000円 |
| 500万円を超え1,000万円以下 | 1万円 |
| 1,000万円を超え5,000万円以下 | 2万円 |
返し方の例と、融資との組み合わせ
親からの借入は、銀行や日本政策金融公庫からの融資と組み合わせることもある資金です。ジム開業ナビの試算モデル(2026年10月)では、パーソナルジム15坪の初期費用は1,305万円、24時間ジム30坪は2,370万円です(マシンはリース、税・借入の返済は含まず、物件・地域・見積もりで変わります)。家族からの借入と融資の両方を返していけるかを、計算で確かめておきます。
- 例:親から300万円を借り、1年目は月1万円、2年目以降は月3万円を返す。1年目に12万円、残り288万円を月3万円で返すと96か月(8年)かかる。
- 融資の返済と家族への返済を合わせた額を、毎月の固定費に足して損益分岐の会員数を計算し直す。
- 返済は現金手渡しではなく振込にし、通帳に記録を残す。
融資の審査で、家族からの借入を自己資金としてどう見るかは、金融機関の判断です。借入であれば返済の負担があることも含めて見られるため、契約書と返済計画を添えて正直に説明しましょう。贈与として受け取る場合は、暦年課税の基礎控除額が年110万円で、超える場合は翌年2月1日から3月15日までに申告と納税が必要です(国税庁 No.4402、2026年10月23日確認)。相続時精算課税という別の仕組みもあり、どちらが合うかは税理士に相談してください。
家族からの借入と融資を合わせた返済額を、月の費用に足して計算してみましょう。坪数・家賃・マシンの台数を入れると、初期費用と損益分岐の会員数がわかります。
開業費用・収支シミュレーションを無料で使う家族と決めておきたいこと:お金以外の約束
家族からの借入は、税務だけでなく、家族関係にも関わります。開業前に、次の点を話し合って書面に残しておくと、あとで行き違いが起きにくくなります。
- 事業がうまくいかなかったとき:閉店した場合の返済の続け方。
- 経営への関わり方:貸した人がジムの経営に口を出すのか、出さないのか。
- 法人の場合の扱い:会社に貸すのか、株を持ってもらう(出資)のか。出資は返済の義務がない代わりに、会社の持ち分になる。
- 相続のとき:返済の途中で貸した人が亡くなった場合、残りの貸付金は相続財産になりうる。きょうだいなど、ほかの家族にも伝えておく。
契約書の文面や、贈与・相続の扱いは、税理士・弁護士に相談しながら決めてください。この記事は一般的な仕組みの説明で、個別の判断をするものではありません。
よくある質問
親から開業資金を借りるのに契約書は必要ですか?
国税庁の案内に契約書を作る義務は書かれていませんが、返済能力や返済状況から本当の貸借かを判断するとされており、契約書と返済の記録は借入であることを示す材料になります。
無利子で借りても大丈夫ですか?
国税庁の案内では、無利子などの場合は利子に相当する金額が贈与として扱われる場合があるとされています。利率をどうするかは、税理士に確認して決めてください。
親から110万円以下なら贈与でも問題ありませんか?
暦年課税では、1年間にもらった財産の合計が基礎控除額110万円以下なら贈与税はかからず、申告もいりません(国税庁 No.4402)。ほかにもらった財産があれば合計で判断されるため、注意してください。
返済が遅れたら贈与になりますか?
一度の遅れで直ちに決まるものではありませんが、返さない状態が続くと、本当の貸借かどうかが疑われる材料になります。返済が難しくなったら、条件の見直しを話し合い、書面に残しましょう。
出典
- 国税庁 タックスアンサー No.4420「親から金銭を借りた場合」(2026年10月23日確認)
- 国税庁 タックスアンサー No.4402「贈与税がかかる場合」(2026年10月23日確認)
- 国税庁 タックスアンサー No.7101「不動産の譲渡・土地の賃貸借・消費貸借・運送等に関する契約書」(2026年10月23日確認)
- ジム開業ナビ「ジム開業の費用」試算モデル(2026年10月)
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