【計算式つき】ジムオーナーの給料はどう取る?個人と法人の違い
ジムオーナーの給料は、個人事業主か法人かで仕組みが違います。個人事業主は自分に給料を払う形にはならず、売上から経費を引いた残り(事業の所得)から生活費を引き出します。法人では役員報酬として決め、税務上は毎月同じ額を払う「定期同額給与」などの決まりに沿う必要があります。開業直後は会員数が損益分岐に届くまで赤字になることもあるため、「生活費を取っても黒字になる会員数」を先に計算し、その間の生活費を開業資金とは別に用意しておくのが基本です。
オーナーのお金の取り方:個人と法人の違い
- 自分への給料は経費にならない
- 残った利益から生活費を引き出す
- 家族に払う給与は、青色申告なら届出のうえで経費にできることがある
- 役員報酬として金額を決める
- 毎月同じ額などの決まりに沿うと損金になる
- 途中で額を変えられる時期に決まりがある
個人事業主のオーナー:給料ではなく「利益から引き出す」
個人でジムを開いた場合、オーナーが自分に払うお金は給料として経費にはなりません。税金の計算では、売上から経費を引いた事業の所得がそのままオーナーの所得になり、生活費はその中から引き出します。つまり「毎月いくら取るか」は、経費の計算ではなく、手元のお金の管理の問題になります。
| お金の動き | 税の扱い | 気をつけること |
|---|---|---|
| オーナーが生活費を引き出す | 経費にならない | 引き出しすぎると家賃やリースの支払いのお金が足りなくなる |
| スタッフに給与を払う | 経費になる | 源泉徴収や社会保険の手続きが要ることがある |
| 生計を一にする家族に給与を払う | 原則は経費にならない。青色申告なら「青色事業専従者給与」として認められることがある | 届出と、専ら事業に従事している等の要件がある |
国税庁のタックスアンサーNo.2075(2026年10月23日確認)では、青色事業専従者給与の届出書は、給与を必要経費にしたい年の3月15日まで、1月16日以後に新たに事業を始めた場合は開始した日から2か月以内に出すとされています。専従者は、その年の12月31日に15歳以上で、原則としてその年を通じて6か月を超える期間、事業に専ら従事している人です。家族に手伝ってもらう予定があるなら、開業してすぐに税理士に相談しましょう。
法人のオーナー:役員報酬は決め方と時期に決まりがある
会社にしてジムを経営する場合、オーナーは会社から役員報酬を受け取ります。国税庁のタックスアンサーNo.5211(2026年10月23日確認)では、役員に払う給与のうち、損金(会社の経費)に入れられるのは「定期同額給与」「事前確定届出給与」「一定の業績連動給与」のいずれかに当たるものとされています。ジムのような小さな会社では、毎月同じ額を払う定期同額給与が中心になります。
- 定期同額給与は、1か月以下の一定の期間ごとに払い、その事業年度の各支給時期の額が同じもの
- 額を変えるのは、原則として事業年度の初めから3か月を経過する日までの改定など、決まった場合に限られる
- 決まりに当たる給与でも、不相当に高額な部分は損金に入らない
開業した年は売上の見通しが立ちにくいので、最初の役員報酬を高くしすぎると、会社の手元のお金が減って支払いが苦しくなります。逆に低くしすぎると、オーナーの生活費が足りなくなります。どちらにしても年の途中で自由に変えにくいので、事業年度の初めに税理士と相談して決めてください。個人と法人のどちらで始めるかで税や社会保険の負担も変わります。
開業直後の考え方:生活費を取っても黒字になる会員数
オーナーの給料を考えるとき、まず計算したいのは「自分の生活費まで出せるのは会員が何人のときか」です。損益分岐の式に、オーナーの取り分を固定費として足して考えます。
- 損益分岐の会員数 = 毎月の固定費 ÷(月会費 − 会員1人あたりの変動費)
- 生活費まで出せる会員数 =(毎月の固定費 + オーナーの毎月の取り分)÷(月会費 − 会員1人あたりの変動費)
| 例の前提 | 計算 | 必要な会員数 |
|---|---|---|
| 固定費150万円、月会費8,000円、変動費500円 | 150万円 ÷ 7,500円 | 200人 |
| 上に、オーナーの取り分30万円を足す | 180万円 ÷ 7,500円 | 240人 |
| 取り分を40万円にする | 190万円 ÷ 7,500円 | 約254人 |
上の表の数字は計算のための例です。ジム開業ナビの試算モデル(2026年10月)では、24時間ジム30坪・マシン13台で月の費用202万円、損益分岐は会員232人、回収は17か月目です。試算の月の費用には人件費40万円が入っていますが、オーナー自身の生活費をそこに含めるかどうかは自分の運営の形で決めます。オーナーが店に立って人件費を減らすなら、そのぶんを取り分に回せる、という考え方もできます。マシンはリース、税・借入の返済は含まず、実際の費用は物件・地域・見積もりで変わります。
坪数・家賃・マシンの台数を入れると、毎月の費用と損益分岐の会員数がわかります。出てきた固定費に自分の生活費を足せば、生活費まで出せる会員数を上の式で計算できます。
開業費用・収支シミュレーションを無料で使う会員が増えるまでの生活費をどう用意するか
開業してから会員数が「生活費まで出せる人数」に届くまでの間は、ジムの利益だけで生活費をまかなえないことがあります。その期間の生活費を、開業資金とは分けて用意しておくと、ジムの運転資金に手をつけずに済みます。
| 用意のしかた | 考え方 | 注意点 |
|---|---|---|
| 生活費の貯え | 生活費 × 生活費まで出せる人数に届くまでの月数 | 届くまでの月数は少し長めに見ておく |
| 家族の収入・副業 | 開業直後だけ別の収入で生活費を支える | ジムの運営にかけられる時間が減る |
| 運転資金の融資 | 日本政策金融公庫の創業向け融資には運転資金もある | 借りたお金は返済が必要。生活費の穴埋めに頼りすぎない |
日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」(2026年10月23日確認)は、設備資金と運転資金の両方を対象にしており、返済期間は運転資金で10年以内(据置は5年以内)です。借入の返済は試算モデルの月の費用に含まれていないので、返済が始まったら、その額も「生活費まで出せる会員数」の式の固定費に足して考えます。
よくある質問
ジムオーナーの給料の相場はいくらですか?
オーナーの取り分は、ジムの会員数と費用、個人か法人か、オーナーが店に立つかで大きく変わるため、一律の相場は示せません。上の式で、自分のジムで生活費まで出せる会員数を計算するほうが、判断の材料になります。
個人事業主のジムオーナーは自分に給料を払えますか?
払うことはできても、自分への給料は経費になりません。事業の所得から生活費を引き出す形になります。家族への給与は、青色申告で届出をすれば経費にできる場合があります。
役員報酬は開業した年の途中で変えられますか?
国税庁の案内では、定期同額給与の改定は、原則として事業年度の初めから3か月を経過する日までなど、決まった場合に限られます。変える前に税理士に相談してください。
開業直後はオーナーの給料をゼロにしてもよいですか?
会社のお金を残すために取り分を減らすことはありますが、生活費が足りなくなるとジムの運営にも影響します。開業前に、取り分がゼロの期間をどれくらい続けられるかを決め、その分の生活費を用意しておきましょう。
出典
- 国税庁 タックスアンサーNo.5211「役員に対する給与」(2026年10月23日確認)
- 国税庁 タックスアンサーNo.2075「青色事業専従者給与と事業専従者控除」(2026年10月23日確認)
- 日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」(2026年10月23日確認)
- ジム開業ナビ「ジム開業の費用」試算モデル(2026年10月)
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