【計算式つき】個室ジムの開業費用と1室あたりの売上の考え方
個室ジムの開業費用は、部屋の数・1室に置くマシン・間仕切りと空調の工事で大きく変わり、決まった相場は示せません。
目安として、ジム開業ナビの試算モデル(2026年10月)で近い形のパーソナルジム15坪・マシン4台は初期費用1,305万円、月の費用187万円です。
個室ジムでは、売上を「1室あたりの1時間の料金 × 埋まった時間」で考えます。部屋が増えると増える費用と、変わらない費用を分けて計算すると、何部屋で黒字になるかが見えてきます。
個室ジムの費用:部屋が増えると変わるもの・変わらないもの
- 間仕切りの工事
- 部屋ごとの空調・換気・照明
- 部屋ごとのマシン・ゴムマット
- 部屋ごとの鍵・連絡ボタン
- 家賃・共益費(広さで決まる)
- 予約・決済システムの基本料金
- 看板・開業前の広告
- 設計・デザイン
初期費用の目安:試算モデルから部屋に合わせて考える
試算モデルに個室ジムそのものはないため、近い形の数字を「近い形の参考」として使います。パーソナルジム15坪・マシン4台が、小さな物件にマシンを置く形として個室ジムに近い規模です。
| 近い形の参考(試算モデル 2026年10月) | 初期費用 | 月の費用 | 損益分岐 | 回収 |
|---|---|---|---|---|
| パーソナルジム 15坪・マシン4台 | 1,305万円 | 187万円 | 46人 | 32か月目 |
この試算の月の費用187万円には、指導を行うスタッフの人件費が含まれています。個室ジムは指導をつけない形が中心なので、人件費は小さくなる一方、売上は会員数ではなく「部屋が埋まった時間」で決まります。
マシンはリース、税・借入の返済は含まず、実際の費用は物件・地域・見積もりで変わります。
初期費用の項目は、24時間ジム30坪の内訳が参考になります。基本工事452万円、床114万円、壁112万円、天井44.8万円、照明79.7万円、間仕切り95.8万円、シャワー・トイレ300万円、システム導入25.5万円などです。
個室ジムでは、次の項目が変わります。
| 項目 | 24時間ジムとの違い | 見積もりで聞くこと |
|---|---|---|
| 間仕切り | 部屋の数だけ増え、音を通しにくい壁の仕様が要る | 壁の厚みと遮音の性能、天井裏の処理 |
| 空調・換気 | 部屋ごとに温度を調整できるようにする | エアコンの台数と電気容量 |
| シャワー・トイレ | 共用にして台数を抑えられるが、動線に配慮する | 給排水の工事の範囲と位置 |
| 鍵・連絡手段 | 部屋ごとに入室の管理と連絡ボタンが要る | 部屋数による追加料金 |
| マシン | 1室に置く種類を絞り、台数は部屋の数で決まる | リースか購入か、搬入の経路 |
1室あたりの売上の考え方:埋まった時間で決まる
個室ジムの売上は、次の式で見積もります。稼働率が上がるほど1室の売上は増えますが、営業時間のすべてが埋まることはまずありません。
- 1室の月の売上 = 1時間の料金 × 営業時間 × 営業日数 × 稼働率
- 店全体の月の売上 = 1室の月の売上 × 部屋数
- 損益分岐の稼働率 = 毎月の固定費 ÷(店全体の満室の売上 ×(1 − 売上に対する変動費の割合))
例として、1時間の料金2,000円、営業時間が1日14時間、30日営業、3室の店を考えます。満室の売上は1室あたり2,000円 × 14時間 × 30日 = 84万円で、3室で252万円です。
固定費が月120万円、変動費(決済手数料・消耗品)が売上の5%とします。売上 × 0.95 = 120万円となる売上は約126万円で、満室の252万円の約50%です。
つまり稼働率が約50%を超えると黒字になる計算です(数字はすべて計算のための例で、特定の店の実績ではありません)。
| 例の前提 | 満室の売上(月) | 損益分岐の稼働率 |
|---|---|---|
| 3室・1時間2,000円・固定費120万円 | 252万円 | 約50% |
| 3室・1時間2,500円・固定費120万円 | 315万円 | 約40% |
| 4室・1時間2,000円・固定費140万円 | 336万円 | 約44% |
稼働率は、時間帯によって大きく差が出ます。平日の昼や深夜は空きやすく、夜や休日は埋まりやすいのが一般的です。時間帯で料金を変える、月額の利用枠を設けて空きやすい時間を埋めるなど、売上を平らにする工夫を前提に計画を立てましょう。
稼働率は開業前にはわからないので、低めの数字でも黒字になる計画かを確かめておくと、資金繰りが楽になります。
部屋の数と1室の広さを決めたら、物件の坪数・家賃・マシンの台数を入れて、初期費用と毎月の費用を出してみましょう。出てきた固定費を上の式に入れれば、損益分岐の稼働率がわかります。
固定費を無料で試算する資金の用意と、費用を抑える考え方
個室ジムの初期費用を抑えるには、部屋の数を最初から増やしすぎないことが基本です。まず少ない部屋数で始め、稼働率が高く待ちが出てきたら増やす、という順序なら、空き部屋の家賃や設備のリースを払い続けるリスクを減らせます。
ただし、後から部屋を増やす工事は、営業しながらの作業になるため、将来増やせる配置にしておくことが前提です。
資金の用意では、日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」(2026年10月23日確認)が創業向けの融資の一つです。
限度額は7,200万円で、返済期間は設備資金20年以内・運転資金10年以内(据置はいずれも5年以内)、申込から決定まで平均3週間程度とされています。
自己資金の要件は制度ページにはなく、公庫のQ&Aでは自己資金の割合は平均で2割程度と案内されています。審査があり、事業計画書では上のような稼働率の前提を説明できることが求められます。
設備費の支払いが大きいときは、少額減価償却資産の特例が使える場合があります。基準は、2026年3月31日までに取得した資産は30万円未満、2026年4月1日以後に取得した資産は40万円未満です。
これは中小企業者等で青色申告をしている場合の特例で、年合計300万円の上限などの条件は国税庁で確認してください。税の扱いは税理士に相談しましょう。
よくある質問
個室ジムの開業費用はいくらですか?
部屋の数、1室に置くマシン、間仕切りと空調の工事、物件の家賃で変わるため、一律の金額は示せません。近い形の参考として、パーソナルジム15坪・マシン4台の試算モデル(2026年10月)では初期費用1,305万円です。
見積もりを取り、自分の条件で計算し直してください。
個室ジムは何室あれば黒字になりますか?
室数だけでは決まらず、1時間の料金、営業時間、稼働率、固定費で変わります。上の式で損益分岐の稼働率を出し、現実的な稼働率でそれを超えるかを確かめましょう。
個室ジムの料金はどう決めますか?
近くのレンタルスタジオや、他のジムの時間利用の料金を公式サイトで確かめたうえで、損益分岐の稼働率が高くなりすぎない料金に設定します。安くしすぎると、埋めなければならない時間が大きく増えます。
個室ジムの費用を抑えるコツはありますか?
最初の部屋数を絞る、マシンを購入ではなくリースにする、共用部分(更衣・トイレ)を最小限にするなどの方法があります。ただし、安全と防音に関わる工事は削らないようにしましょう。
出典
- ジム開業ナビ「ジム開業の費用」試算モデル(2026年10月)
- 日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」(2026年10月23日確認)
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