【プライバシーポリシーの8項目】ジムの個人情報の取り扱い|法律で必要なこと
ジムの個人情報の取り扱いは、まず「何を、何のために集めているか」を一覧にし、利用目的を特定して公表・明示することから始まります。個人情報保護法では、利用目的をできる限り特定すること(第17条)、書面で本人から直接取得するときは利用目的を明示すること(第21条)、安全管理のための措置をとること(第23条)、本人の同意なく第三者に提供しないこと(第27条)などが定められています(e-Gov法令検索、2026年10月23日確認)。会員の病歴などの健康情報は「要配慮個人情報」で、取得には本人の同意が必要です。
ジムが扱う個人情報と、気をつける度合い
| 情報 | 主な使い道 | 注意の度合い |
|---|---|---|
| 氏名・連絡先・生年月日 | 会員管理、連絡、年齢確認 | 基本 |
| 口座・カードの情報 | 月会費の決済 | 高 漏えいすると財産的被害のおそれ |
| 健康状態・病歴・服薬 | 安全な運動の提供、緊急時の対応 | 特に高 要配慮個人情報 |
| 入退館の記録 | 利用状況の把握、防犯 | 基本 |
| 防犯カメラの映像 | 防犯、事故の確認 | 高 掲示と保存期間 |
| 体組成・トレーニング記録・写真 | 指導、成果の確認 | 高 SNS掲載は別に同意 |
個人情報保護法でジムに必要なこと:5つの基本ルール
会員の名前や連絡先を会員システムで管理していれば、小さなジムでも個人情報取扱事業者として個人情報保護法のルールが適用されます。ジムの運営に関係する主な条文を整理します(e-Gov法令検索、2026年10月23日確認)。
| ルール | 条文の要点 | ジムですること |
|---|---|---|
| 利用目的の特定 | 利用目的をできる限り特定する(第17条)。目的の範囲を超えて扱わない(第18条) | 「会員管理・会費の請求・安全な運動の提供・お知らせの送付」など具体的に書く |
| 取得時の通知・明示 | 取得したら利用目的を通知または公表。書面で直接取得するときはあらかじめ明示(第21条) | 入会申込書・Web申込画面に利用目的を載せる |
| 要配慮個人情報 | 病歴などは原則として本人の同意なく取得できない(第20条第2項) | 健康状態の申告書に同意欄を設ける |
| 安全管理・監督 | 安全管理措置(第23条)、従業者の監督(第24条)、委託先の監督(第25条) | アクセス権限、パスワード、スタッフ研修、システム会社との契約 |
| 第三者提供の制限 | 本人の同意なく第三者に提供しない(第27条)。業務の委託などは第三者に当たらない | 提携先への会員情報の提供は同意を取る。決済代行・会員システムへの委託は委託先の監督で対応 |
このほか、保有個人データについて、事業者の名称・住所・代表者名、利用目的、開示などの請求の手続きなどを本人が知り得る状態に置くこと(第32条)、本人から開示の請求があれば応じること(第33条)も定められています。これらをまとめて書いたものが、Webサイトに置く「プライバシーポリシー(個人情報の取り扱い方針)」です。
プライバシーポリシーに書く項目と、ジムでの書き方
プライバシーポリシーは、法律で求められる事項を会員が読んでわかる形にまとめたものです。ジムで書く項目と、書き方の例を挙げます。文面は自分のジムで実際に扱う情報に合わせ、弁護士に確認してください。
- 事業者の名称・住所・代表者の氏名(法人の場合)
- 取得する情報の種類(氏名・連絡先・生年月日・決済情報・健康状態・入退館記録・カメラ映像・写真など)
- 利用目的(会員管理、会費の請求、安全な運動の提供、緊急時の対応、防犯、お知らせ・キャンペーンの案内、サービス改善のための統計)
- 健康状態など要配慮個人情報の扱い(同意を得て取得し、指導と安全管理にだけ使う)
- 第三者提供と委託(同意なく第三者に提供しないこと、会員システム・決済代行などに委託していること)
- 安全管理のためにしていること(アクセス権限の管理、スタッフの研修など)
- 開示・訂正・利用停止などの請求の受け付け方法と窓口
- 問い合わせ窓口
キャンペーンのメール配信は、プライバシーポリシーの利用目的に入れるだけでなく、特定商取引法の電子メール広告のルール(あらかじめ承諾を得る)にも合わせる必要があります。申込フォームで、お知らせメールを受け取るかどうかを選べるようにしておきましょう。
プライバシーポリシー・申込書の利用目的・健康情報の同意欄は、開業前にそろえる書類です。開業準備チェックリストで、個人情報まわりの準備を確かめられます。
開業準備チェックリストを無料で使う漏えいに備える:安全管理と、起きたときの報告
個人データの漏えいなどが起きたとき、一定の場合は個人情報保護委員会への報告と本人への通知が必要です(法第26条)。施行規則第7条(e-Gov法令検索、2026年10月23日確認)は、報告が必要な事態として次の4つを挙げています。
| 報告が必要な事態(施行規則第7条) | ジムで起こり得る例 |
|---|---|
| 要配慮個人情報を含む個人データの漏えい等 | 健康状態の申告書のデータが外部から見られる状態になった |
| 不正に使われると財産的被害が生じるおそれがある個人データの漏えい等 | カード情報や口座情報が流出した |
| 不正の目的をもって行われたおそれがある行為による漏えい等 | 会員システムへの不正アクセス、ランサムウェア |
| 本人の数が1,000人を超える漏えい等 | 会員名簿のファイルを誤って一斉送信した |
施行規則第8条では、事態を知った後速やかに報告し、さらに知った日から30日以内(不正の目的によるものは60日以内)に報告することとされています。会員システムの会社とは、漏えいが起きたときの連絡と対応の分担を契約で決めておきましょう。
日々の安全管理として、次のような対策が考えられます。
- スタッフごとにログインを分け、退職したらすぐにアカウントを止める
- 健康情報を見られる人を担当トレーナーと責任者に限る
- 受付の画面が会員から見えない位置にする。紙の申込書は鍵付きの場所に保管する
- 会員名簿をメールで送らない。送るときはパスワードと宛先を確認する
- 退会した会員の情報は保存期間を決めて削除する
なお、2026年7月17日に公布された改正個人情報保護法では、16歳未満の人の個人情報や、顔特徴データなどの扱いについて新しいルールが設けられました。施行は原則として公布の日から2年を超えない範囲内とされています(個人情報保護委員会、2026年10月23日確認)。子どもの会員や顔認証の入退室を扱うジムは、委員会の案内を定期的に確かめてください。
よくある質問
小さな個人経営のジムにも個人情報保護法は適用されますか?
会員の情報を名簿や会員システムで管理していれば、事業の規模にかかわらず個人情報取扱事業者としてルールが適用されます。プライバシーポリシーを用意し、利用目的を明示しておきましょう。
会員の写真をSNSに載せてもよいですか?
本人が写っている写真は個人情報に当たることがあり、肖像の扱いの問題もあります。掲載する前に本人の同意を取り、同意を取り消したいときの連絡方法も伝えておきましょう。
提携している整骨院や物販の会社に会員情報を渡してもよいですか?
本人の同意なく第三者に提供することは原則としてできません(第27条)。提携先への紹介は、本人の同意を得てから行います。会員システムや決済代行など業務の委託は第三者提供には当たりませんが、委託先を監督する義務があります。
退会した会員の情報はいつ消せばよいですか?
利用目的を達成して不要になった情報は、遅滞なく消去するよう努めることが求められています(第22条)。税務の帳簿など法令で保存が必要なものと分けて、保存期間を決めておきましょう。
出典
- e-Gov法令検索「個人情報の保護に関する法律」第17条〜第27条・第32条・第33条(2026年10月23日確認)
- e-Gov法令検索「個人情報の保護に関する法律施行規則」第7条・第8条(2026年10月23日確認)
- 個人情報保護委員会「令和8年 改正個人情報保護法について」(2026年10月23日確認)
- 個人情報保護委員会 Q&A Q1-13(防犯カメラ)(2026年10月23日確認)
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