【撤退ライン3つ】ジム開業で借金するリスクは?返済込みの損益分岐で考える
ジム開業で借金をするリスクは、会員が集まらなくても家賃・リース料・返済が毎月出ていくことと、やめるときにも原状回復や契約の残りの支払いが残ることです。借入れそのものを避けるより、「返済を含めた損益分岐の会員数」を計算し、開業前に撤退ライン(資金の残り・会員数・期間)を数字で決めておくことが大切です。個人事業の借入れは個人の債務になり、法人でも代表者が保証人になることがあるため、保証の有無と範囲を契約前に確かめてください。
撤退ラインを決める3つの信号(決め方の例)
| 信号 | 見る数字 | 決めておく線の例 |
|---|---|---|
| 資金 | 手元資金 ÷ 毎月の赤字 | 残りが固定費の○か月分を切ったら |
| 会員数 | 実績 ÷ 計画の会員数 | 計画の○割を○か月続けて下回ったら |
| 期間 | 開業からの月数 | ○か月目までに単月黒字にならなければ |
借入で開業するリスクの中身
ジムは、物件・内装・マシンに先にお金を使い、会員の月会費で少しずつ回収する事業です。会員が計画どおりに増えないと、固定費と返済だけが続きます。どのリスクが誰にかかるかを整理しておきましょう。
| リスク | 起きること | 開業前に確かめること |
|---|---|---|
| 返済が続く | 売上が少なくても元金と利息を払う | 返済額、据置期間、返済の開始月 |
| 個人に返済義務が残る | 個人事業の借入れは個人の債務。法人でも代表者保証があれば個人に及ぶ | 保証人の有無、経営者保証を外す制度が使えるか |
| 固定費が下げにくい | 家賃・リース料は会員数に関係なくかかる | 賃貸借の期間・解約予告、リースの期間と中途解約の条件 |
| やめるにもお金がかかる | 原状回復、解約予告期間の家賃、残りのリース料 | 原状回復の範囲、解約時の精算方法 |
日本政策金融公庫には「経営者保証免除特例制度」があり、新たに事業を始める方も、法人と代表者の一体性の解消が一定程度図られていることを公庫が確認できる場合などに対象となります(2026年10月23日確認)。また、金融庁・中小企業庁は「経営者保証に関するガイドライン」を公表し、廃業時の基本的考え方も示しています。自分の借入れに当てはまるかは、金融機関や支援機関、弁護士に確認してください。
返済を含めた損益分岐を計算する
損益分岐の会員数は「毎月の固定費 ÷(月会費 − 会員1人あたりの変動費)」で出せますが、借入れをする場合は、毎月の元金の返済も手元のお金から出ていきます。元金の返済は費用ではないため損益計算には出てきませんが、資金繰りでは固定費と同じように効きます。
- 資金が減らない会員数 =(毎月の固定費 + 毎月の元金返済)÷(月会費 − 会員1人あたりの変動費)
- 例: 1,000万円を10年(120回)で元金均等に返す場合、元金の返済は月約8.3万円(利息は別)。月会費の手取りが1人6,500円なら、約13人分の会員が返済のために必要です(計算のための例)。
ジム開業ナビの試算モデル(2026年10月)では、パーソナルジム15坪・マシン4台の月の費用は187万円、損益分岐は46人、回収は32か月目です。24時間ジム30坪は月の費用202万円、損益分岐232人、回収17か月目です(マシンはリース、税・借入の返済は含まず、実際の費用は物件・地域・見積もりで変わります)。ここに返済を加えると、必要な会員数は増えます。据置期間がある場合は、据置が終わった月から必要な会員数が上がることも計画に入れておきます。
坪数・家賃・マシン台数・月会費を入れて、月の費用と損益分岐の会員数を試算できます。出てきた固定費に毎月の元金返済を足して上の式に入れると、資金が減らない会員数がわかります。
開業費用・収支シミュレーションを無料で使う撤退ラインを先に決める:決め方の手順
撤退ラインは、うまくいかなかったときに「もう少し頑張れば」と借入れを重ねないための線です。開業前の冷静なうちに、数字で決めて紙に残しておきます。
| 手順 | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 1. やめるときの費用を出す | 原状回復、解約予告期間の家賃、残りのリース料、会員への返金などを見積もる | この額は最後まで手元に残す |
| 2. 資金の線を決める | 手元資金が「やめる費用+固定費の数か月分」を切る時点を線にする | 線を割ってから考えるのでは遅い |
| 3. 会員数の線を決める | 計画に対する実績の割合と、続いた月数で決める | 入会数と退会率も一緒に見る |
| 4. 線に近づいたときの手を決める | 料金・営業時間・人員・広告の見直し、業態の変更、縮小、売却の検討 | 手を打つ順番も決めておく |
| 5. 相談先を決める | 金融機関、税理士、商工会議所・商工会、弁護士 | 返済が苦しくなる前に相談する |
共同経営や出資者がいる場合は、撤退ラインを全員で共有しておくと、判断の時期にもめにくくなります。追加の借入れをする場合も、撤退ラインを引き直す理由を説明できるかどうかを基準にしましょう。
やめるときにかかるお金:契約書で先に確かめる
撤退の費用は、物件とリースの契約でほぼ決まります。契約の前に、次の項目を書面で確かめてください。
- 賃貸借契約: 解約予告の期間(その間の家賃)、原状回復の範囲(床の補強・防音・シャワー設備など)、保証金の返還条件と償却の有無
- マシンのリース契約: リース期間、中途解約ができるか、解約時に残りのリース料をどう精算するか
- 会員との契約: 前払いの会費やチケットの返金方法、退会の受付方法
- 人の契約: 従業員・業務委託トレーナーとの契約の終わらせ方(社会保険労務士に確認)
- システム・広告: 予約システムや広告の契約期間と解約の条件
居抜きで次の借り手に引き継げる物件や、マシンを買い取ってもらえる契約なら、撤退の費用を小さくできることがあります。条件は物件・契約ごとに違うため、貸し主・リース会社・弁護士に確認しましょう。
よくある質問
ジム開業で借金をするのはやめたほうがいいですか?
一概には言えません。借入れで開業時期を早められる一方、返済が固定費のように効きます。返済を含めた損益分岐の会員数と、撤退ラインを決めたうえで、無理のない借入額かを判断しましょう。
ジムが失敗したら借金はどうなりますか?
借入れは事業をやめても残ります。個人事業なら個人の債務、法人でも代表者が保証人なら個人に返済を求められることがあります。返済が難しくなりそうなときは、早めに金融機関と弁護士・支援機関に相談してください。
借入額はいくらまでに抑えるべきですか?
決まった上限はありませんが、「返済を含めて資金が減らない会員数」が商圏から見て現実的な人数に収まるかを基準にすると判断しやすくなります。開業費用の試算で総額を下げられる項目も確かめましょう。
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日本政策金融公庫の経営者保証免除特例制度のように、条件を満たせば経営者保証が免除される制度があります(2026年10月23日確認)。対象になるかは公庫の窓口で確認してください。
出典
- 日本政策金融公庫「経営者保証免除特例制度」(2026年10月23日確認)
- 金融庁「経営者保証」関連ページ(2026年10月23日確認)
- ジム開業ナビ「ジム開業の費用」試算モデル(2026年10月)
- 日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」(2026年10月23日確認)
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