【6つの軸と計算式】ジムのターゲット設定|料金・立地・設備への反映
ジムのターゲット設定は、「年代・性別」だけでなく「いつ・どこから・何のために通うか」という生活の様子で決めるのが基本です。ターゲットが決まったら、料金(払える額と通う頻度)・立地(通り道と時間帯)・設備(使う種目と広さ)にそのまま反映させます。最後に、商圏にその人が何人いれば損益分岐に届くかを数字で確かめると、思い込みのターゲットを避けられます。
ターゲットから店の形を決める流れ
ターゲットの決め方:生活の様子で書く
「30代女性」のような書き方では、料金も設備も決まりません。同じ30代でも、子育て中で昼に通いたい人と、仕事帰りの夜に通いたい人では、合う店の形が違います。次の6つの軸で書き出すと、店の形に落とし込みやすくなります。
| 軸 | 書くこと | 例 |
|---|---|---|
| 生活 | 仕事・家族・住まい | 駅近の職場に勤め、郊外に住む会社員 |
| 時間帯 | 通える曜日と時間 | 平日の19〜22時、土曜の午前 |
| 移動 | どこから、何で来るか | 会社帰りに電車で、最寄り駅で降りずに途中下車 |
| 目的 | 何のために通うか | 体力をつけたい、気分転換をしたい |
| 経験 | 運動・ジムの経験 | 以前ジムに通ったが続かなかった |
| お金 | 月にいくらまで払えるか | 会費は月1万円以内にしたい |
ターゲットは1つにしぼるのが理想ですが、店の稼働を考えると、時間帯の違う2つ目のターゲットを持つのも一つの方法です。たとえば「夜の会社員」を主に、「昼の近所の人」を2つ目に置くと、昼の空いた時間を埋める打ち手が考えられます。
料金・立地・設備にどう反映するか
ターゲットを決めた意味は、店の形に反映させて初めて出てきます。主なターゲットの例ごとに、何を変えるかを並べました(いずれも考え方の例です)。
| ターゲットの例 | 料金 | 立地 | 設備 |
|---|---|---|---|
| 仕事帰りの会社員 | 月額定額で何度でも | 駅前・駅からの帰り道 | 夜に混む有酸素・マシンの台数を厚く |
| 子育て中で昼に通う人 | 平日昼だけの安いプラン | 住宅地・駐車場あり | 短時間で回れるサーキット型の配置 |
| 教わりながら始めたい人 | 回数制・コース制 | 人目を気にせず入れる2階以上の物件も候補 | 個室・少ない台数で広めの動ける場所 |
| 重さを扱う経験者 | 月額定額、深夜も使える | 車で来られる郊外も候補 | パワーラック・フリーウエイトを多く、床を補強 |
設備は費用にも直結します。ジム開業ナビの試算モデル(2026年10月)では、24時間ジム30坪・マシン13台の初期費用2,370万円のうち、床114万円、マシン搬入・設置92.6万円、シャワー・トイレ300万円などが含まれています。重さを扱う人をねらって床の補強を厚くする、昼の短時間利用の人をねらってシャワーを減らす、といった判断で費用が変わります。実際の費用は物件・地域・見積もりで変わります。
商圏の人数で確かめる
ターゲットを決めたら、そのジムが成り立つ人数がいるかを確かめます。地域の人口は、政府統計の総合窓口(e-Stat)の統計地理情報システム(jSTAT MAP など)で、地図の範囲を指定して調べられます(2026年10月23日確認)。年代別の人口を見て、ターゲットの年代がどれくらい住んでいるかをつかみます。
- 損益分岐の会員数 = 毎月の固定費 ÷(月会費 − 会員1人あたりの変動費)
- 会員数が落ち着く先 = 月の新規入会 ÷ 月の退会率
- 必要な月の新規入会 = 損益分岐の会員数 × 月の退会率
24時間ジム30坪の例で、必要な新規入会を見積もります。
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| 月の費用 | 202万円 |
| 損益分岐 | 232人 |
| 月の退会率 | 4%(例) |
| 232人を保つ新規入会 | 毎月約9〜10人(232 × 0.04 ≒ 9.3人) |
数字は、ジム開業ナビの試算モデル(2026年10月)です。退会率は計算のための例です。
商圏の中で、ターゲットに当たる人から毎月その人数を集められるかを考えます。届きそうにない場合は、ターゲットを広げるか、損益分岐の小さい形(広さ・台数を抑える)に変えます。
ターゲットに合わせた月会費と、見込める月の新規入会・退会率を入れると、会員数が落ち着く先と月の利益を試算できます。料金を変えた場合・新規を増やした場合の効果も比べられます。
収益改善シミュレーションを無料で使うターゲットを決めたあとの確かめ方
ターゲットは仮説です。開業前と開業後に、実際の人の動きで確かめます。
| 時期 | 確かめること | 方法 |
|---|---|---|
| 物件探しのとき | ターゲットの時間帯に人が通るか | 平日夜・休日など、通う時間帯に現地に立って数える |
| 開業前 | その料金で通いたいと思うか | ターゲットに近い知人に料金表を見せて聞く |
| 開業直後 | 入会した人がターゲットと合っているか | 入会時のアンケートで年代・時間帯・目的を聞く |
| 開業3か月後 | 続いているのはどんな人か | 時間帯別の利用と、退会の理由を記録して比べる |
入会した人がターゲットと違っていても、それが失敗とは限りません。続いている人の傾向がはっきりしてきたら、その人たちに合わせて料金・営業時間・言葉を寄せていくのも一つの判断です。アンケートで年代や連絡先を聞く場合は、利用目的を示してから記入してもらいます。
よくある質問
ジムのターゲットは1つにしぼるべきですか?
主なターゲットは1つにしぼるほうが、料金・設備・言葉を決めやすくなります。そのうえで、時間帯の違う2つ目のターゲットを置くと、空いた時間を埋める打ち手が考えやすくなります。
ペルソナとターゲットの違いは何ですか?
ターゲットは来てほしい人の集まり、ペルソナはその中の1人を名前や生活まで具体的に描いたものです。この記事の6つの軸を、1人の姿として書けばペルソナになります。
商圏はどれくらいの範囲で考えればよいですか?
ターゲットの移動の仕方で変わります。徒歩や自転車で来る人と、車で来る人では範囲が違うため、ターゲットの通り道と移動の時間から範囲を決め、その範囲の人口を調べましょう。
ターゲットを高齢の方にする場合の注意は?
運動を安全に始めてもらうための健康状態の確認が大切です。医療やリハビリ、介護保険のサービスと受け取られる内容にしないよう、提供する中身の線引きをはっきりさせ、必要に応じて自治体や医療機関に確認してください。
出典
- ジム開業ナビ「ジム開業の費用」試算モデル(2026年10月)
- 政府統計の総合窓口(e-Stat)「統計地理情報システム」(2026年10月23日確認)
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