【歴史から解説】ピラティスのクラシカルとコンテンポラリーの違い
ピラティスのクラシカルとコンテンポラリーの違いは、ひとことで言うと「考案者ジョセフ・ピラティスが教えた形をできるだけそのまま受け継ぐか(クラシカル)」「その後の運動やリハビリの考え方を取り入れて形を変えていくか(コンテンポラリー)」という方針の違いです。どちらが正しい・優れているという決まりはなく、公的な定義もありません。スタジオや指導者によって中身はさまざまなので、名前だけで選ばず、体験で教え方を確かめましょう。痛みや持病がある人は、どちらの流派でも始める前に医師に相談してください。
クラシカルとコンテンポラリーの比較(一般的な傾向)
- 考案者の種目と順番を重視
- 決まった流れで進めることが多い
- 器具もオリジナルに近い寸法を重視
- 「伝統を受け継ぐ」考え方
- 種目を目的や体に合わせて変える
- 運動科学やリハビリの考えを取り入れる
- ニュートラルの姿勢を重視することが多い
- 「発展させる」考え方
なぜ流派が分かれたのか(ピラティスの歴史から)
Pilates Method Allianceがまとめた歴史によると、ジョセフ・ピラティスは1920年代にアメリカへ渡り、ニューヨークでスタジオを開いて、ダンサーをはじめ多くの人に教えました。1934年に著書『Your Health』、1945年に『Return to Life Through Contrology』を出しています(Pilates Method Alliance「The History of Pilates」)。
ジョセフから直接学んだ人たちは「第一世代」の指導者と呼ばれ、その後それぞれの土地で教えを広げました。同じ資料には、1967年にジョセフが亡くなったあと、スタジオを引き継いだ指導者がいたことや、ニューメキシコ、カリフォルニア、パリなどへ移った指導者たちがそれぞれ教え続けたこと、1980年代には第二世代の指導者による養成プログラムが各地で生まれたことが書かれています。さらに、2000年の裁判で「Pilates」という言葉は特定の団体の商標ではなく、運動方法の一般的な名前と判断されました。
| 時期 | できごと(Pilates Method Allianceの資料より) |
|---|---|
| 1920年代 | ジョセフ・ピラティスがアメリカに渡り、器具と種目を発展させる |
| 1934年・1945年 | 著書『Your Health』『Return to Life Through Contrology』を出す |
| 1967年 | ジョセフが亡くなる。第一世代の指導者が各地で教えを続ける |
| 1980年代 | 第二世代の指導者が全国で教え、養成プログラムが現れ始める |
| 2000年 | 裁判で「Pilates」は運動方法の一般的な名前と判断される |
このように、多くの指導者がそれぞれの考えで教えを広げたことが、「元の形を大切にする流れ」と「新しい知識を取り入れて変えていく流れ」が生まれた背景と考えられています。
クラシカルとコンテンポラリーの主な違い
以下は一般的な傾向で、同じ「クラシカル」「コンテンポラリー」と名のっていても、スタジオによって内容は大きく違います。
| 項目 | クラシカル | コンテンポラリー |
|---|---|---|
| 種目の選び方 | 考案者が教えた種目を中心に行う | 目的や体の状態に合わせて種目を足したり変えたりする |
| レッスンの流れ | 決まった順番で流れるように進めることが多い | その日の目的に合わせて組み立てることが多い |
| 姿勢の考え方 | 骨盤や背骨をやや丸めた形を使う教え方もある | 背骨の自然なカーブ(ニュートラル)を重視することが多い |
| 器具 | オリジナルに近い寸法やスプリングを重視することがある | メーカーごとのさまざまな器具を使う |
| 向いている人の例 | 決まった流れを身につけたい人、伝統的な形を学びたい人 | 体の悩みに合わせた内容を受けたい人、リハビリ後の運動を考えている人 |
研究の世界では、ピラティスは「筋力、体幹の安定、柔軟性、筋肉のコントロール、姿勢、呼吸を意識する運動」とおおむね共通して説明されています。一方で、昔から言われてきた「センタリング・集中・コントロール・正確さ・流れ・呼吸」という原則が取り上げられていた論文は平均23%で、腰痛を対象にした論文では呼吸以外の原則はほとんど触れられていなかったと報告されています(Wellsら, 2012)。研究や医療の場では、伝統的な形よりも目的に合わせた形が使われることが多いことがうかがえます。
自分に合う流派・スタジオの選び方
- 目的から考える:決まった流れを身につけたいならクラシカル寄り、体の悩みに合わせてほしいならコンテンポラリー寄りのスタジオが合うことがあります。
- 体験で教え方を見る:レッスンの流れ、声かけ、体の状態をどれくらい聞いてくれるかを確かめましょう。
- 指導者の学んだ団体を聞く:どの養成プログラムで学んだかを聞くと、教え方の方針がわかることがあります。
- 器具を確かめる:リフォーマーだけか、チェアやキャデラックなどもあるか。
- 痛みや持病がある人:流派に関係なく、始める前に医師に相談し、レッスンの前にインストラクターへ伝えましょう。
マシンのスタジオを比べるときは、マシンピラティスのおすすめで比べています。ピラティスの基本はピラティスとは?にまとめています。
| 体験で聞いてみたいこと | わかること |
|---|---|
| レッスンはどんな流れで進みますか? | 決まった順番か、目的に合わせて組み立てるか |
| インストラクターはどこで学びましたか? | 教え方の方針 |
| 体の悩みに合わせて種目を変えてもらえますか? | どれくらい個別に対応してもらえるか |
よくある質問
クラシカルとコンテンポラリー、初心者にはどちらがいいですか?
どちらでも始められます。大切なのは流派の名前より、初心者に合わせた説明があるか、体の状態を聞いてくれるかです。体験で確かめましょう。
クラシカルのほうが「本物」なのですか?
考案者の形を大切に受け継いでいるという意味では伝統的ですが、どちらが本物という決まりはありません。2000年の裁判でも、「Pilates」は運動方法の一般的な名前と判断されています。
効果に違いはありますか?
流派ごとの効果の違いをはっきり比べた研究は見当たりません。ピラティスの効果について研究でわかっていることはピラティスの効果にまとめています。
マットとマシンの違いとは別の話ですか?
別の話です。クラシカルにもコンテンポラリーにも、マットとマシンの両方があります。マットとマシンの違いはマットピラティスとマシンピラティスの違いを参考にしてください。
出典
- Pilates Method Alliance「The History of Pilates」
- Wells C, et al. Defining Pilates exercise: a systematic review. Complement Ther Med. 2012
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