【医療法の注意つき】クリニックにジムを併設する前に分けて考える4点
クリニックにジムを併設する場合の出発点は、診療(医療)と運動指導(医療ではない自費のサービス)を、場所・契約・広告のそれぞれで分けて考えることです。
医療法には、医療法人が診療所を附置した疾病予防のための有酸素運動施設を設置できるという規定があり、国の基準に合う運動施設が制度として想定されています。一方で、診療所の広告は医療法で内容が制限されます。
併設の形は法人の種類と所在地で変わるので、保健所に先に相談してください。
診療と運動指導を分けて考える4つの場面
- 医師が診察・指示
- 保険診療の枠組み
- 医療広告の規制の対象
- 会員契約または回数券
- 料金は自由に設定
- 広告は景品表示法など
- 診察室と運動スペースの分離
- 更衣室・動線
- 個人情報の扱い
- 領収書・会計を分ける
- カルテと運動記録を混ぜない
- 運営主体を明確に
併設の基本:医療と運動指導を混ぜない
クリニックの患者が運動に興味を持つことは自然ですが、診察の延長で運動指導を行うと、どこまでが医療でどこからが自費のサービスかが曖昧になります。次の表のように、お金・契約・記録を分けておくと説明しやすくなります。
| 項目 | 診療 | 運動指導(自費) |
|---|---|---|
| 運営の主体 | 診療所(開設者) | 同じ法人か、別の事業者かを決める |
| お金の請求 | 診療報酬のルール | 自由設定(表示は正確に) |
| 契約 | 診療契約 | 会員規約・利用契約 |
| 広告 | 医療法の広告規制 | 景品表示法・特定商取引法など |
| 記録 | 診療録 | 運動記録・体組成の記録 |
医療法人が運動施設を持てるかどうかは、医療法第42条(2026年10月23日確認)に定めがあります。
医療法人の業務として挙げられているのは、疾病予防のための有酸素運動を行わせる施設の設置です。診療所が附置され、職員・設備・運営方法が厚生労働大臣の定める基準に適合することが条件です。
基準の中身や自治体への手続きは、所轄の保健所・都道府県に確認してください。
厚生労働省には「健康増進施設認定制度」のページもあります(同日確認)。
併設の形:誰が運動施設を運営するか
併設には、運営主体によって次のような形があります。どれが選べるかは、診療所の開設者が医療法人か個人か、土地・建物の契約はどうなっているかで変わります。
| 形 | 中身 | 確かめること |
|---|---|---|
| 同じ法人が運営 | 診療所の開設者が運動スペースも運営する | 医療法人の場合は定款の業務の範囲と、医療法第42条の基準 |
| 別会社が運営 | 運動スペースを別の事業者に貸す、または共同で運営する | 賃貸借契約の内容、運営責任の分け方、患者への説明 |
| 提携のみ | 近隣のジムを患者に紹介し、設備は持たない | 紹介の対価の扱い、患者の選択を妨げない案内 |
別会社に貸す形は、初期費用を抑えやすい反面、事故があったときの説明責任があいまいになりがちです。契約書に、誰が運動スペースの安全管理をするのか、救急のときにクリニックが対応する範囲はどこまでかを書いておくと、患者にも説明しやすくなります。
紹介の対価をやり取りする場合は、法令や指針に触れないか、弁護士と保健所に確認してください。
広告の注意:診療所のサイトにジムを載せるとき
医療法第6条の5(2026年10月23日確認)は、医業や診療所に関する広告で、虚偽の広告をしてはならないと定めています。他の病院・診療所と比べて優良である旨の広告や、誇大な広告もできません。
また、広告できる事項は法で列挙された範囲に限られます。厚生労働省の「医療法における病院等の広告規制について」のページには、医療広告ガイドラインやウェブサイト等の事例解説書が掲載されています(同日確認)。
- 診療所のホームページの中にジムの案内を載せる場合、その部分が医療広告として扱われるかどうかは、内容と載せ方で判断が分かれます。保健所に確認します
- 運動指導の効果を「病気が良くなる」と受け取れる形で書かない。医療行為と誤解される表現は避けます
- 体験談・ビフォーアフターの写真を載せる場合の扱いは、ガイドラインを読んだうえで保健所に確認します
運動スペースの広さと機器の台数を入れると、初期費用と月の費用が計算できます。診療とは別の収支として、何人の会員が必要かを確かめてください。
必要な会員数を無料で試算する費用の考え方:別会計で採算を見る
併設のメリットは、診療所の患者に運動の場を案内しやすいことです。ただし収支は別に見ます。
ジム開業ナビの試算モデル(2026年10月)の近い形は、パーソナルジム15坪・マシン4台です。初期費用1,305万円、月の費用187万円、損益分岐は会員46人です。指導を行うスタッフの人件費も月の費用に含まれます。
マシンはリース、税・借入の返済は含まず、実際の費用は物件・地域・見積もりで変わります。
損益分岐の会員数は「毎月の固定費 ÷(月会費 − 会員1人あたりの変動費)」で出せます。クリニックの賃料の一部を運動スペースに割り振る場合は、割り振りの考え方を税理士と決めておきます。
よくある質問
クリニックにジムを併設するのに許可はいりますか?
運動指導そのものに特別な営業許可は確認できませんでしたが、医療法人の運動施設の設置、建物の用途、消防の届出などは別に確認が必要です。保健所・消防署・自治体に確認してください。
医師が運動指導をしてもよいですか?
医師の診察としての指導と、自費の運動指導は別です。どちらとして行うのかを患者に説明できるようにし、保険診療との線引きは保健所・所轄の厚生局に確認してください。
患者に運動を勧めるのは広告になりますか?
診察の中で医師が必要と判断して勧めることと、不特定多数に向けた広告は別です。広告にあたるかは内容と媒体で変わるため、ガイドラインを確認し保健所に相談してください。
出典
- e-Gov法令検索「医療法」第6条の5・第42条(2026年10月23日確認)
- 厚生労働省「医療法における病院等の広告規制について」(2026年10月23日確認)
- 厚生労働省「身体活動・運動の推進」(健康増進施設認定制度)(2026年10月23日確認)
- ジム開業ナビ「ジム開業の費用」試算モデル(2026年10月)
あわせて読む
このジムの近くで、一緒にトレーニングする仲間を探せます
同じジムに通う人どうしで、補助やフォームチェックをし合える合トレ相手を見つけられます。写真・レベル・自己紹介を登録すると、同じ県の仲間と「合トレしたい」でつながり、チャットで日時を決められます。連絡先はお互いが承認するまで出ません。
公式LINEを友だち追加すると、合トレナビのURLが届きます(無料)。18歳以上・合トレ目的の方のみ。