【提案書1枚から】ジムの法人営業|近隣企業に会員を増やす進め方
ジムの法人営業は、近隣の企業を「働く人の運動不足」という共通の困りごとで訪ね、法人向けの料金と使い方を1枚の提案書にして渡すのが基本です。いきなり大きな契約を目指さず、担当者に体験してもらう小さな一歩から始めると話が進みます。
法人会員は月会費の入金が安定しやすい一方、利用が少ないと解約されやすいため、利用を増やす案内まで含めて設計します。
法人営業の進め方(訪問から契約・定着まで)
法人営業の前に整理すること
法人営業を始める前に、「誰に」「何を」「いくらで」提供するかを決めます。個人向けの料金表をそのまま持っていくと、担当者が社内で説明しにくくなります。
| 決めること | 中身 | 考え方 |
|---|---|---|
| 対象の企業 | 通える範囲・従業員数・勤務時間帯 | ジムが空いている時間に来られる会社を選ぶ |
| 提供の形 | 従業員が個人で入会する割引/会社が一括で契約 | 手続きが軽いほうが話が進みやすい |
| 料金 | 人数に応じた割引、入会金の扱い | 割引は損益分岐の会員数と比べて決める |
| 使える時間 | 平日昼・夜、土日 | 混む時間に偏らないようにする |
| 窓口 | 連絡先・請求先・利用状況の共有の方法 | 担当者の手間を減らす |
割引を決めるときは、損益分岐の会員数で確かめます。損益分岐の会員数は「毎月の固定費 ÷(月会費 − 会員1人あたりの変動費)」です。
例として固定費が月150万円、変動費が1人1,000円のとき、月会費8,000円なら約215人が必要です。法人割引で6,000円なら300人が必要になります(数字は計算のための例)。
法人会員が増えても、その分の割引を一般会員の売上で補う形にならないか確かめましょう。
提案書に書くこと:働く人の運動の事情と、公式資料
担当者が知りたいのは、「なぜ従業員にジムなのか」と「手間とお金がどれくらいか」です。公的な資料を根拠に添えると、社内で説明しやすくなります。
| 提案書の項目 | 書くこと | 根拠にできる資料(2026年10月23日確認) |
|---|---|---|
| 運動の必要性 | 成人の運動量の目安 | 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」成人版 |
| 働く人の事情 | 働き盛り世代は運動の時間が取りにくい | スポーツ庁「スポーツエールカンパニー」のページ |
| 企業の取り組みの位置づけ | 従業員の健康を経営の視点で考える | 経済産業省「健康経営」のページ |
| 安全への配慮 | 初めての人への健康確認と案内 | 厚生労働省ガイドの安全に行うためのポイント |
厚生労働省の成人版の推奨事項では、次の3つが推奨されています。
強度が3メッツ以上の身体活動を週23メッツ・時以上(歩行またはそれと同等以上の強度の活動を1日60分以上)、息が弾み汗をかく程度の運動を週60分以上、筋力トレーニングを週2〜3日です。
スポーツ庁のページでは、20代〜50代の働き盛り世代は週1回以上のスポーツ実施率が全体の平均より低く、時間がないことを理由に挙げる人が多いと説明されています。
同ページによると、2026年は1,635社が「スポーツエールカンパニー」に認定されています。こうした事実を並べたうえで、自分のジムの「仕事帰りに30分で使える」といった強みを結びつけます。
訪問から契約までの具体的な動き方
法人営業は、一度の訪問で決まることはまれです。段階ごとに「次にもらう返事」を決めておくと、話が止まりにくくなります。
| 段階 | やること | 次にもらう返事 |
|---|---|---|
| 初回の連絡 | 手紙・メール・訪問で、体験の案内を渡す | 担当者の名前と、話を聞いてもらえる日 |
| 面談 | 運動の事情の資料と、ジムの強みを5分で説明 | 担当者本人の体験の日 |
| 体験 | 担当者、次に希望者に使ってもらう | 感想と、社内で希望しそうな人数 |
| 提案 | 提案書と見積もりを出す | 社内の検討の期限 |
| 契約 | 申込書・利用規約・請求方法を取り交わす | 利用開始日 |
| 定着 | 利用が少ない人へ声かけ、担当者に利用状況を伝える | 半年後の見直しの面談 |
営業の連絡では、先方の個人情報を扱います。
名刺や問い合わせで得た連絡先は、個人情報保護法(第21条、e-Gov法令検索、2026年10月23日確認)に沿って扱います。取得したときに利用目的を通知または公表し、書面で直接受け取る場合はあらかじめ明示します。
従業員の体験の記録も同様です。
また、従業員の健康状態は企業に共有しません。担当者に伝えるのは、利用回数など本人が同意した範囲にとどめます。
法人会員が増えたとき、月会費の平均や会員数が落ち着く先がどう変わるかを試算できます。月の新規入会・退会率・月会費を入れ、「新規入会を増やす」の打ち手で法人からの入会を足した場合の利益を確かめてください。
収益改善シミュレーションで法人会員を増やしたときの売上を試算する契約後に解約されないための仕組み
法人契約は、使われなければ解約される可能性が高くなります。契約が決まってからが本番です。
- 入会時に、通う曜日と時間を一緒に決めてもらう
- 最初の1か月は、2週目・4週目に利用状況を見て声をかける
- 担当者には、月に一度、利用人数など本人が同意した範囲の数字を伝える
- 半年に一度、担当者と見直しの面談をし、料金や使える時間を相談する
退会する従業員が出たときは、理由を聞いて記録します。「異動した」「時間が合わない」など理由が分かれば、法人全体の見直しの材料になります。法人契約の契約書は、解約の条件・請求の方法・個人情報の扱い・事故の責任を書き、弁護士に確認しましょう。
よくある質問
ジムの法人営業は、小さなジムでもできますか?
できます。大企業を狙うより、近くの10〜50人規模の会社から始めるほうが、担当者に会いやすく、体験も組みやすくなります。ジムが空いている時間に来られる会社を選びます。
法人向けの料金はどれくらい割り引けばよいですか?
決まりはありません。割引後の月会費で、損益分岐の会員数がどれだけ増えるかを計算し、一般会員の売上を圧迫しない範囲で決めます。割引の代わりに、入会金の扱いや使える時間で差をつける方法もあります。
企業の福利厚生として扱われるかどうかは、どう調べますか?
税務上の扱いは企業ごとの事情で変わります。提案の段階では断定せず、「会社の税理士・社会保険労務士に確認してください」と案内します。
従業員の健康情報は、企業に伝えてよいですか?
病歴などは要配慮個人情報に当たり、本人の同意なしに取得も共有もできません。企業には、本人が同意した範囲の利用回数などにとどめ、健康状態は伝えないようにしましょう。
出典
- スポーツ庁「スポーツエールカンパニー」(2026年10月23日確認)
- 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」(2026年10月23日確認)
- 経済産業省「健康経営」(2026年10月23日確認)
- e-Gov法令検索「個人情報の保護に関する法律」第21条(2026年10月23日確認)
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