【開示事項の一覧表】フランチャイズの法定開示書面とは?|中小小売商業振興法と見方
フランチャイズの法定開示書面とは、中小小売商業振興法にもとづいて、本部が契約の前に加盟希望者へ渡し、中身を説明しなければならない書面のことです。加盟金、商品の販売条件、経営指導、商標、契約の期間・更新・解除などの事項が法律と省令で決まっています。ただし、この法律が直接かかるのは主に小売・飲食のチェーンで、ジムのようなサービス業の本部は、公正取引委員会のガイドラインや業界団体の自主基準にそった書面で開示していることがあります。
開示のルールを決めている3つのもの
| 根拠 | 主な対象 | 性質 |
|---|---|---|
| 中小小売商業振興法・同施行規則 | 特定連鎖化事業(小売・飲食のチェーンなど) | 書面の交付と説明の義務。従わないと勧告・公表がありうる |
| 公正取引委員会「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方」 | すべての業種のフランチャイズ | 開示が望ましい事項と、独占禁止法上問題になりうる行為を示す |
| 日本フランチャイズチェーン協会の開示自主基準 | 協会の会員の本部(法の対象外の本部も含む) | 「フランチャイズ契約の要点と概説」の作成と事前の説明 |
中小小売商業振興法の開示義務:誰に、何がかかるか
中小小売商業振興法の第11条(e-Gov法令検索で2026年10月23日確認)は、「特定連鎖化事業」を行う者が、加盟しようとする者と契約を結ぶ前に、決められた事項を書いた書面を渡し、その中身を説明しなければならないと定めています。
特定連鎖化事業は、連鎖化事業のうち、加盟者に特定の商標・商号などを使わせ、加盟のときに加盟金・保証金などのお金を取る定めがあるものです。連鎖化事業は、同じ法律の第4条で「主として中小小売商業者に対し、定型的な約款による契約に基づき継続的に、商品を販売し、又は販売をあつせんし、かつ、経営に関する指導を行う事業」とされています。
日本フランチャイズチェーン協会は、この法律の対象を「いわゆる小売・飲食のフランチャイズチェーン」と説明しています(2026年10月23日確認)。ジムは会員にサービスを売る事業なので、本部によってはこの法律の直接の対象にならない場合があります。自分が検討している本部がどの立場で書面を作っているかは、本部に聞いて確かめましょう。
本部が第11条に従っていないと認められるとき、主務大臣は従うよう勧告でき、勧告に従わないときはその旨を公表できます(第12条)。
法定開示書面に書かれる事項の一覧
法律の第11条第1項と、中小小売商業振興法施行規則の第10条・第11条(e-Gov法令検索で2026年10月23日確認)で、書面に書く事項が決まっています。主なものを、加盟を考える人が読むときの目線で並べると次のとおりです。
| 分類 | 書面に書かれる事項 |
|---|---|
| 本部のこと | 名称・住所・従業員数・役員、資本金と主要株主、ほかの事業、直近3事業年度の貸借対照表と損益計算書、事業を始めた時期 |
| 店の数 | 直近3事業年度の加盟店の数の推移(各年度末の数、新しく開いた数、解除された数、更新された数・更新されなかった数) |
| 収支 | 立地条件が似た加盟店の直近3事業年度の収支(売上高・売上原価・本部に定期的に払うお金・人件費など)と、似ていると判断した根拠 |
| 訴訟 | 直近5事業年度に、本部が加盟者を訴えた件数と、加盟者から訴えられた件数 |
| お金 | 加盟金・保証金などの額、性質、払う時期と方法、返還の有無と条件/定期的に払うお金の額や算定方法 |
| 営業 | 営業時間・営業日・休業日、周辺に同じような店を出すかどうかの規定 |
| 制限 | 契約中・終了後の競業の禁止や制限、知った情報の開示の禁止 |
| 契約 | 契約期間、更新の条件と手続き、解除の要件と手続き、解除で生じる損害賠償金の額や算定方法 |
| そのほか | 指導の内容と回数、研修の有無と内容、商標の使用条件、店の構造・内外装の特別な義務、違反したときのお金の額 |
公正取引委員会のガイドラインと協会の自主基準
公正取引委員会の「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方」(令和3年4月28日改正、2026年10月23日確認)は、日本フランチャイズチェーン協会の説明では、小売・飲食に限らず全ての業種のフランチャイズに適用されます。ガイドラインは、契約前に開示が望ましい事項として、次のようなものを挙げています。
- 加盟後の商品などの供給の条件(仕入先の推奨など)
- 経営の指導の内容・方法・回数・費用の負担
- 加盟時に払うお金の性質・金額・返還の有無と条件
- ロイヤリティの額・算定方法・払う時期と方法
- 決済の仕組みと条件、本部の融資の利率など
- 損失の補償の有無、経営不振のときの本部の支援
- 契約期間、更新・解除・中途解約の条件と手続
- 加盟店の周辺に出店できるかの条項と、出店の計画の有無
また、開示が不十分だったり、うそや大げさな内容だったりして、実際より著しく有利だと誤認させて加盟を勧めることは、独占禁止法の「ぎまん的顧客誘引」に当たりうるとされています。
日本フランチャイズチェーン協会は、中小小売商業振興法の対象にならない本部も対象にした開示自主基準を1999年5月に定め、会員の本部に「フランチャイズ契約の要点と概説」の作成と、加盟希望者への事前の説明・配布を働きかけ、協会への提出を義務付けているとしています(2026年10月23日確認)。
開示書面を読む前に、そもそもフランチャイズが自分に合う稼ぎ方かを確かめておくと、判断の軸がぶれません。質問に答えると、7つの収益モデルのうち向いているものがわかります。
7つの収益モデル診断を無料で使う開示書面の見方:読む順番と照らし合わせ方
開示書面は量が多いので、判断に効くところから読みます。
- 店の数の推移:新しく開いた店の数だけでなく、解除された数と更新されなかった数を見る
- 似た立地の収支:自分の候補地と条件が似ているか、似ていると判断した根拠を読む
- 訴訟の件数:件数があれば、どんな争いだったかを本部に聞く
- 解除と損害賠償:途中でやめるときのお金の計算方法に、自分の数字を入れてみる
- 本部の決算:直近3事業年度の損益が続けて赤字になっていないか
次に、説明会で聞いた話、モデル収支、契約書の条文と照らし合わせ、食い違いがないかを確かめます。食い違いがあれば書面で質問し、答えを書面でもらいましょう。書面の中身の評価や契約の判断は、弁護士に相談してください。ジム開業ナビの試算モデル(2026年10月)の24時間ジム30坪(初期費用2,370万円・月の費用202万円)と比べるときは、こちらがロイヤリティを含まない独立開業の試算であること、マシンはリース、税・借入の返済は含まないことに注意します。実際の費用は物件・地域・見積もりで変わります。
よくある質問
ジムのフランチャイズでも法定開示書面はもらえますか?
中小小売商業振興法が直接かからない本部でも、公正取引委員会のガイドラインや協会の自主基準にそって、同じような書面を用意していることがあります。契約の前に、開示書面にあたる資料をもらえるか、いつもらえるかを本部に確かめてください。
法定開示書面と契約書は何が違いますか?
開示書面は、契約を結ぶかどうかを判断するために、本部の概要や契約の要点を説明する書面です。契約書は、実際に結ぶ約束そのものです。両方の中身が合っているかを照らし合わせることが大切です。
開示書面の数字は将来の売上の約束ですか?
開示書面の収支は、既存の加盟店の過去の数字です。将来の売上を約束するものではありません。公正取引委員会のガイドラインも、平均値などから作ったモデル収益は厳密な予想ではないとわかるように示すべきとしています。
開示書面の中身に疑問があるときはどこに相談できますか?
日本フランチャイズチェーン協会の「フランチャイズ相談センター」は、加盟についての事前の相談を受け付けています(2026年10月23日確認)。契約の解釈など法的な判断が必要なことは、弁護士に相談してください。
出典
- e-Gov法令検索「中小小売商業振興法」第4条・第11条・第12条(2026年10月23日確認)
- e-Gov法令検索「中小小売商業振興法施行規則」第10条・第11条(2026年10月23日確認)
- 公正取引委員会「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方」(令和3年4月28日改正、2026年10月23日確認)
- 日本フランチャイズチェーン協会「フランチャイズビジネス関連法令について」(2026年10月23日確認)
- 日本フランチャイズチェーン協会「JFA開示自主基準について」(2026年10月23日確認)
- 日本フランチャイズチェーン協会「フランチャイズ相談センター」(2026年10月23日確認)
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