【6段階】ジムのフランチャイズ本部の立ち上げ方|開示と契約の注意
自分のジムのフランチャイズ本部を立ち上げるには、直営店で「再現できる型」を作り、商標を登録し、マニュアル・研修・システムを一つのパッケージにまとめ、契約書と加盟希望者への開示書面を整えてから募集する、という順番で進めます。公正取引委員会の「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方」は小売・外食だけでなくサービス業も含めて示されたもので、加盟金・ロイヤルティ・中途解約の条件・予想売上の根拠などの開示が望ましいとされています。契約と開示の中身は、フランチャイズに詳しい弁護士に確認してください。
ジムのフランチャイズ本部を立ち上げる6つの段階
ジムのフランチャイズ本部の立ち上げ:まず直営で型を作る
フランチャイズは、本部が作った「商売のやり方」を加盟店に使ってもらい、その対価として加盟金やロイヤルティを受け取る仕組みです。日本フランチャイズチェーン協会(JFA)は、本部が加盟店に与えるものとして、商標・サービスマーク・チェーン名を使う権利、本部が開発した商品やサービス・経営のノウハウを使う権利、継続的な指導や援助を受ける権利を挙げています(2026年10月23日確認)。
つまり、売るのは「自分のジムと同じ結果を、別の人が別の場所で出せるやり方」です。直営店が1店舗だけ、またはオーナーの力で回っている状態では、型として渡せるものがありません。
| 型として確かめること | 見る数字・中身 |
|---|---|
| 利益が続くか | 直営店の損益が、季節の波を越えて黒字か |
| 場所が違っても出せるか | 立地の違う複数の直営店で、似た数字が出ているか |
| 人が違っても出せるか | オーナー以外の店長の店でも数字が出ているか |
| 加盟店に利益が残るか | 加盟金・ロイヤルティを払ったあとの加盟店の利益と回収期間 |
最後の項目が抜けやすい点です。本部の取り分を足すと加盟店の利益がどれだけ減るかを、直営店の数字で計算しておきます。
商標とパッケージ:渡すものを形にする
加盟店に使ってもらう店名やロゴは、商標登録で守ります。商標法第19条では、商標権の存続期間は設定の登録の日から10年で、更新登録の申請で更新できるとされています(e-Gov法令検索、2026年10月23日確認)。JFAは、加盟を考える人に、本部の商標が登録されているかを特許庁と工業所有権情報・研修館の検索で確かめるよう案内しています。本部を立ち上げる側も、出願の前に同じ検索で似た商標がないかを調べ、弁理士に相談してください。
| パッケージの中身 | ジムでの例 |
|---|---|
| マニュアル | 入会対応・清掃・設備の点検・事故の対応・退会の対応の手順 |
| 研修 | オーナー研修、店長研修、トレーナーの指導の型 |
| システム | 会員管理・予約・決済・入退館の仕組み |
| 出店の基準 | 物件の広さ・天井の高さ・商圏の条件、内装の仕様 |
| 集客の型 | 開業前の広告、Webの作り方、料金表 |
| 支援 | 開業までの段取り、開業後の数字の見方と相談 |
契約と開示:公正取引委員会の考え方に沿って作る
公正取引委員会の「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方」(令和3年4月28日改正、2026年10月23日確認)は、小売業・外食業だけでなく各種のサービス業も含めて、加盟者の募集と契約で問題になりうる行為を示しています。加盟希望者に開示することが望ましいとされる事項のうち、ジムの本部が特に準備しておくものを整理します。
| 開示が望ましい事項(考え方より) | ジムの本部が用意するもの |
|---|---|
| 加盟に際して徴収する金銭の性質・金額・返還の有無と条件 | 加盟金・保証金・研修費の一覧と、返す・返さないの条件 |
| ロイヤルティの額・算定方法・徴収の時期と方法 | 定額か売上に対する率か、計算の元になる売上の定義 |
| 契約の期間、更新・解除・中途解約の条件と手続き | 中途解約のときに払うお金の計算方法 |
| 事業上の損失に対する補償の有無、経営不振のときの支援の有無 | 支援の中身と範囲 |
| 近隣への同じ種類の店の出店を可能とする条項・計画の有無 | テリトリーの考え方 |
予想売上や予想収益を示す場合について、考え方は、類似した環境にある既存店の実績など根拠のある事実と合理的な算定方法に基づくことが必要とし、根拠と算定方法を示すべきとしています。既存店の平均などから作ったモデル収益を示す場合は、予想売上ではないことがわかるように明示すべきとされています。中途解約の違約金を十分に開示しない、あるいは徴収されないかのように見せることは、欺まん的顧客誘引(一般指定第8項)の判断の要素として挙げられています。
中小小売商業振興法第11条は、加盟金などを徴収する「特定連鎖化事業」の本部に、契約前の書面の交付と説明を義務づけています。JFAは、この法律の対象を小売・飲食のフランチャイズチェーンと説明し、公正取引委員会の考え方はすべての業種に適用されるとしています(2026年10月23日確認)。JFAの開示自主基準は、法律の対象にならない本部も対象にした基準として定められています。サービス業のジムでも、同じ水準の書面を用意しておくと、トラブルを防ぎやすくなります。
本部を作る前に、直営店の収益の柱がいくつあるかを確かめましょう。今やっている収益モデルにチェックを入れて数字を入れると、加盟店に渡せる「稼ぎ方」の中身と、まだ伸ばせる金額がわかります。
7つの収益モデル診断を無料で使う募集と開業後の支援:本部の仕事は契約の後が長い
加盟店の募集では、良い面だけでなく、加盟店が負う費用と、うまくいかなかったときの扱いを同じ重さで説明します。説明会の資料・Webの募集ページ・個別の面談で、数字と条件をそろえておきます。
- 契約前に開示書面を渡し、検討の期間を十分に取る
- 収益の見込みを示すなら、元になった既存店の実績と計算の方法を一緒に示す
- 開業までの段取り(物件・工事・採用・広告)の役割分担を書面にする
- 開業後は、店ごとの会員数・入会・退会率を定期的に見て、相談に乗る担当(スーパーバイザー)を置く
- 本部が仕入れ先や取引先を指定する場合は、その理由と条件を示す
考え方では、加盟者に契約の解約権を与えない、解約の場合に高額の違約金を課すといった点が、優越的地位の濫用にあたるかを判断する要素の一つとして挙げられています。本部の利益だけを考えた契約は、長い目で見るとチェーンの評判を下げます。
よくある質問
ジムのフランチャイズ本部は何店舗あれば始められますか?
法律で決まった店舗数はありません。ただ、場所や店長が違っても同じ結果が出ることを示すには、複数の直営店の実績があるほうが説明の根拠になります。
フランチャイズ本部を作るのに許可や登録は必要ですか?
フランチャイズ本部として一律に必要な許可は、確認した範囲では見当たりません。ただし契約の作り方と開示は公正取引委員会の考え方に沿う必要があり、業態ごとの届出(消防・建築など)は加盟店ごとに必要です。弁護士に確認してください。
加盟金やロイヤルティはどう決めますか?
本部の支援にかかる費用と、加盟店に残る利益の両方から決めます。直営店の数字で、加盟店の回収期間がどう変わるかを計算してから決めるのが基本です。
フランチャイズではなくライセンスやのれん分けではだめですか?
本部の支援の範囲や、店名・ノウハウの使わせ方で形を選べます。呼び方にかかわらず、実質がフランチャイズに当たれば公正取引委員会の考え方の対象になるので、形を決める前に弁護士に相談してください。
出典
- 公正取引委員会「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方」(2026年10月23日確認)
- e-Gov法令検索「中小小売商業振興法」第11条(2026年10月23日確認)
- e-Gov法令検索「商標法」第19条(2026年10月23日確認)
- 日本フランチャイズチェーン協会「FCビジネス導入の手引き1」(2026年10月23日確認)
- 日本フランチャイズチェーン協会「フランチャイズビジネス関連法令について」(2026年10月23日確認)
- 日本フランチャイズチェーン協会「JFA開示自主基準について」(2026年10月23日確認)
- 日本フランチャイズチェーン協会「商標の調べ方」(2026年10月23日確認)
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