【仕組み・人・資金】ジムの多店舗展開の進め方|店舗数ごとの仕事
ジムの多店舗展開は、「仕組み化(どの店でも同じ質で回る手順と数字の見方)」「人(店長とエリアを見る人の育成)」「資金(出店の順番と借入の返し方)」の3つを、店舗の数に合わせて作り直しながら進めます。2〜3店舗まではオーナーの目で回せても、それ以上は手順書と毎月の数字の比較がないと、店ごとの差が広がります。人を雇う人数が増えると、就業規則の作成・届出(常時10人以上)や店ごとの届出も増えるので、社会保険労務士・税理士と早めに体制を決めてください。
店舗の数で変わる経営の仕事
ジムの多店舗展開は「仕組み化」から始める
多店舗展開で最初に作るのは、どの店でも同じ質で回るための手順です。オーナーの頭の中にあるやり方を文書にし、店長が読めば同じことができる状態にします。
| 手順にする仕事 | 中身の例 | そろえる道具 |
|---|---|---|
| 入会の対応 | 見学の案内、料金の説明、規約の確認、決済の登録 | 説明の台本、会員管理システム |
| 開店・閉店・清掃 | 点検の順番、消耗品の補充、清掃の頻度 | チェック表 |
| 設備の点検 | マシンの日常点検、故障時の連絡先 | 点検表、保守契約の一覧 |
| 事故・けがの対応 | 連絡の順番、記録の残し方、AEDの位置 | 対応表、記録の様式 |
| 退会の対応 | 理由の聞き取り、引き止めの案内、手続き | 理由の分類表 |
手順と一緒に、店ごとに毎月そろえて見る数字を決めます。数字の名前と出し方が店ごとに違うと、比べられません。
- 会員数・月の新規入会・月の退会率
- 会員数が落ち着く先 = 月の新規入会 ÷ 月の退会率
- 損益分岐の会員数 = 毎月の固定費 ÷(月会費 − 会員1人あたりの変動費)
- 人件費の割合、広告費あたりの入会数
同じ業態の店を並べると、落ち着く先の会員数が損益分岐を下回る店がすぐにわかります。その店に、うまくいっている店のやり方を移すのが、多店舗ならではの強みです。
人:店長とエリアの担当を育てる
店舗が増えるほど、オーナーが直接見られる範囲は狭くなります。店長が育つ前に出店を急ぐと、オーナーが店から店へ移動するだけで一日が終わります。
| 役割 | 任せること | 育て方の例 |
|---|---|---|
| 店長 | シフト・入会・清掃・クレーム・店の数字 | 既存店で副店長を経験してから新店へ |
| エリアの担当 | 複数の店の数字の比較、店長の相談相手 | 実績のある店長から選ぶ |
| トレーナー | 指導の質、パーソナルの売上 | 指導の型を共通の研修にする |
| 本部の担当 | 採用・教育・広告・経理 | 店舗の数が増えてから役割を分ける |
人を雇う人数が増えると、法律で決まっている手続きも増えます。e-Gov法令検索で2026年10月23日に確かめた条文です。人数の数え方や、自分の店が当たるかは社会保険労務士に確認してください。
| 人数・場面 | 条文で決まっていること |
|---|---|
| 常時10人以上の労働者を使用する | 労働基準法第89条。就業規則を作り、行政官庁(労働基準監督署)に届け出る。変えたときも同じ |
| 常時10人以上50人未満の労働者を使用する事業場 | 労働安全衛生法第12条の2・労働安全衛生規則第12条の2。業種に応じて安全衛生推進者または衛生推進者を選ぶ |
| 雇用保険の事業所を置いたとき | 雇用保険法施行規則第141条。設置の日の翌日から10日以内に公共職業安定所に届け出る |
資金:出店の順番と、店ごとの届出
多店舗展開の資金は、1店舗ごとの初期費用と、新店が損益分岐に届くまでの赤字を、既存店の利益と借入でつなぐ形になります。新店を同時に何店も開くと、赤字の期間が重なり、資金が一度に減ります。1店舗が損益分岐を超えてから次を開く、という順番を基本にすると、資金の谷を浅くできます。
ジム開業ナビの試算モデル(2026年10月)では、24時間ジム30坪・マシン13台で初期費用2,370万円、月の費用202万円、損益分岐232人、回収は17か月目です。マシンはリース、税・借入の返済は含まず、実際の費用は物件・地域・見積もりで変わります。たとえば3店舗を同じ形で開くなら、初期費用だけで 2,370万円 × 3 = 7,110万円の計算になります(計算のための例)。
| 店ごとに要る手続きの例 | 確かめたこと(2026年10月23日確認) | 確認先 |
|---|---|---|
| 防火対象物使用開始届 | 各市町村の火災予防条例による。例として仙台市は使用開始の7日前まで | 所轄の消防署 |
| 用途変更 | 特殊建築物の用途で200㎡を超える場合に確認申請が必要(建築基準法第6条・第87条) | 自治体・建築士 |
| 給与支払事務所等の開設の届出 | 国税庁の案内では、開設・移転・廃止の事実があった日から1か月以内 | 税務署・税理士 |
| 店内のBGM | JASRACの各種営業施設の手続き。BGMだけならオンライン申請あり | JASRAC |
店舗を増やす前に、1店舗あたりの収益の柱を増やしておくと、新店の赤字を支える力が大きくなります。今やっている収益モデルにチェックを入れて数字を入れると、まだ眠っている伸びしろが金額でわかります。
7つの収益モデル診断を無料で使う直営で増やすか、フランチャイズで増やすか
店舗の増やし方には、自分で出す直営と、加盟店を募るフランチャイズがあります。どちらにも向き不向きがあります。
- 店の質と料金を自分で決められる
- 利益はすべて自社に入る
- 出店の資金と人を自社で用意する
- 増やす速さは自社の資金と人で決まる
- 加盟店の資金で店舗が増える
- 本部には加盟金・ロイヤリティが入る
- 加盟希望者への情報開示と支援の体制が要る
- 公正取引委員会の考え方に沿った契約づくりが要る
フランチャイズ化には、手順書・研修・ブランドの管理がすでに整っていることが前提になります。直営の数店舗で仕組みが回ってから検討するのが順番です。
よくある質問
ジムの多店舗展開は何店舗目から仕組みが必要ですか?
オーナーが毎日すべての店を見られなくなった時点から必要です。目安として、2店舗目で店長に現場を任せる段階から手順書づくりを始め、3店舗目以降は店ごとの数字の比較を毎月の決まりにします。
多店舗展開すると利益は店舗の数だけ増えますか?
増える場合も、減る場合もあります。本部の人件費や移動、店ごとの差が出るためです。店ごとの損益と、本部の費用を分けて見ると、どこで利益が出ているかがわかります。
店長の給与はどう決めますか?
固定の給与に、店の数字(会員数・退会率など)に応じた手当を組み合わせる方法があります。雇用契約書と就業規則で条件を明らかにし、社会保険労務士に確認してください。
多店舗展開の資金はどう用意しますか?
既存店の利益、金融機関からの借入、マシンのリースを組み合わせます。新店を同時に開かず、1店舗ずつ損益分岐を超えてから次に進むと、資金の谷を浅くできます。
出典
- e-Gov法令検索「労働基準法」第89条(2026年10月23日確認)
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法」第12条の2(2026年10月23日確認)
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」第12条の2(2026年10月23日確認)
- e-Gov法令検索「雇用保険法施行規則」第141条(2026年10月23日確認)
- 国税庁「給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出」(2026年10月23日確認)
- 仙台市「防火対象物使用開始届出書」(2026年10月23日確認)
- e-Gov法令検索「建築基準法」(2026年10月23日確認)
- JASRAC「各種営業施設・教室等での演奏・上映」(2026年10月23日確認)
- ジム開業ナビ「ジム開業の費用」試算モデル(2026年10月)
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