【3つの研究で解説】マラソンにパーソナルトレーニングは効く?筋トレの根拠と選び方
マラソンのためにパーソナルトレーニングを使うのは、走るための土台づくりとして根拠があります。筋力トレーニングを加えると、同じ速さで走るときのエネルギー効率(ランニングエコノミー)が良くなった研究があります。
ただし、対象は競技レベルのランナーです。市民ランナーにも同じ結果が出るかは、確かではありません。
マラソンと筋トレの研究で、言えること・言えないこと
- 競技レベルの走者で、ランニングエコノミーの改善(Balsalobre-Fernández ら、2016年)
- 24件のまとめで、ランニングエコノミーは2〜8%改善する傾向(Blagrove ら、2018年)
- スポーツ全般では、筋トレで傷害が減る傾向(Lauersen ら、2014年)
- 初心者や市民ランナーで同じ効果が出るか
- フルマラソンのタイムが何分縮むか
- どの種目が最適か
研究でわかること:ランニングエコノミーと走力
| 研究 | 対象 | 結果 |
|---|---|---|
| Balsalobre-Fernándezら(2016年、J Strength Cond Res) | 最大酸素摂取量が高い中長距離ランナー93人(5件の試験) | 筋トレでランニングエコノミーが改善。効果の大きさは標準化平均差−1.42 |
| Blagroveら(2018年、Sports Med) | 中長距離ランナー、24件の試験の系統的レビュー | ランニングエコノミー、1.5〜10kmのタイム、スプリント能力が改善する傾向。最大酸素摂取量や体組成は、多くが変わらなかった |
| Lauersenら(2014年、Br J Sports Med) | スポーツ全般、25試験・26,610人のメタ分析 | 筋トレをした群の傷害の相対リスクは0.315(約3分の1)。運動プログラム全体では、使い過ぎによる傷害も減る傾向(0.527) |
ランニングエコノミーとは、同じ速さで走るときに使う酸素の量が少ないほど効率がよい、という指標です。研究では、走る速さをそろえて、使った酸素の量を測っています。
筋トレが速く走る力に結びつくしくみは、ここで紹介した論文からは確かめられません。数字はあくまで、研究に参加した人たちの平均です。
注意点があります。1件目と2件目の対象は、競技として走る中長距離ランナーです。Blagroveらの条件は、6か月以上の経験がある人でした。マラソンを初めて走る人の結果とは限りません。
研究で使われたトレーニングの例
Balsalobre-Fernándezらがまとめた試験では、次のような内容が使われていました。これは研究の条件であり、おすすめの処方ではありません。
| 項目 | 研究で使われた内容 |
|---|---|
| 頻度 | 週2〜3回 |
| 期間 | 8〜12週 |
| 下半身の種目 | 2〜4種目 |
| 強度 | 多くは1回だけ持ち上げられる重さの40〜70%(低〜中程度) |
| その他 | ジャンプ(200回まで)と短い全力走(5〜10本) |
厚生労働省の「身体活動・運動ガイド2023」も、筋トレは週2〜3日が目安とし、筋肉を休める休息日も重要だと書いています。走る日との組み合わせは、トレーナーと相談して決めましょう。
パーソナルで確かめておくこと
- 出たい大会の日付と、今の走行距離を最初に伝える
- 過去のケガや、今ある痛みを伝える
- 走る日と筋トレの日を、どう分けるか決めてもらう
- ランニングのフォームや練習内容まで見てもらえるのか、筋トレだけなのかを確かめる
- 体験で、疲れが残らない強さに調整してもらえるか聞く
- トレーニングの日は、翌日の練習に影響しない強さにするかを決める
ジムは、筋トレだけでなく、ランナーの指導経験があるかを聞いて選びましょう。比較はパーソナルジムのおすすめが参考になります。
向かない場合と、気をつけたい点
- 膝や足首などに痛みがある人は、トレーニングの前に医師へ相談してください。痛みの原因は、自己判断せず受診して確かめます
- 胸の痛み、動悸、めまいが走ったあとに出る人は、運動を中止して医師に相談します
- 大会直前に、慣れない種目や重い重量を増やすのは避けたほうが安心です。この点の公的な目安は、見つかりませんでした
- 筋トレを足しても、走る練習の代わりにはなりません。練習の量と質も、あわせて考えます
ガイドは、運動中に胸の痛みや動悸、めまい、関節や筋肉の強い痛みを感じたら、直ちに中止するよう求めています。
マラソンは長い距離を走る競技です。体調に不安がある人は、練習を始める前に医師の確認を受けましょう。
よくある質問
初めてのフルマラソンでも、パーソナルは役立ちますか?
初めての人を対象に、タイムが縮むことを確かめた研究は、今回見つかりませんでした。ただし、スポーツ全般で筋トレが傷害を減らす傾向はあります。走る量の増やし方は、練習計画で決めましょう。
マラソンの練習に、筋トレは必要ですか?
必須とは言えません。ただし、競技レベルのランナーでは、筋トレでランニングエコノミーが改善する研究があります。市民ランナーの場合は、確かな結論が見つかりませんでした。
週に何回、筋トレをすればいいですか?
研究では週2〜3回が多く使われました。国のガイドも、筋トレは週2〜3日を推奨しています。走る量との兼ね合いは、人によって違います。
筋トレをすると、体重が増えて遅くなりませんか?
Blagroveらのレビューでは、体組成は多くの研究で変わりませんでした。ただし、個人ごとの変化は、食事や練習量で違います。
パーソナルとランニングクラブ、どちらがいいですか?
目的で選びます。筋力やフォームを見てほしいならパーソナル、走る仲間や練習メニューがほしいならクラブという分け方があります。両方使う人もいます。
出典
- Balsalobre-Fernández C ほか(2016)J Strength Cond Res
- Blagrove RC ほか(2018)Sports Med
- Lauersen JB ほか(2014)Br J Sports Med
- 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」(2026年10月確認)
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