ボディビルの審査方法とは?順位点の付け方を団体別に比較【2026】
ボディビルの順位は、審査員の順位から最高と最低を除いた合計で決まる。JBBF日本選手権2026の審査結果表で実際の計算を確かめ、IFBB、IFBBプロリーグ、NPC Worldwideの審査員数、絞り込み、決勝の点の扱いの違いを公式規則で比べた。
ボディビルの順位は、複数の審査員が選手全員に1位から順位をつけ、最高と最低の順位を除いた合計(順位点)が小さい選手ほど上位になる方式で決まる。除く数や予選と決勝の点の扱いは、JBBF、IFBB、IFBBプロリーグなど団体ごとに異なる。
2026年10月21日 公開|KINNIKU TIMES 編集部
本記事は、JBBF(日本ボディビル・フィットネス連盟)の2026年度審査規程と競技ルールマニュアル、10月11日の日本選手権の審査結果一覧表、国際団体IFBBの2026年版男子ボディビル規則、IFBBプロリーグとNPC Worldwideの公式ルールを10月21日時点で確認してまとめた。規定ポーズの種類や見どころはボディビルの勝敗はどう決まる?で解説しているので、本記事は「点数の付け方」と「団体ごとの違い」に絞る。
ボディビルの審査は何で順位が決まるのか
ボディビルの採点は、体操のように「何点」をつける方式ではない。IFBBの2026年版男子ボディビル規則によると、各審査員は選手全員に1位から最下位までの順位をつけ、同じ順位を2人以上につけてはならない。集計係はそれを集計表に写し、審査員が9人なら最も高い順位2つと最も低い順位2つを、9人未満なら1つずつを除いて、残りを足し合わせる。この合計が小さい選手ほど上位になる。
極端な評価を除くのは、1人の審査員の判断が順位を大きく動かさないようにするためだ。合計が同じになったときは「Relative Placement(相対順位)」という方法で決める。同点の選手どうしについて審査員1人ずつの順位を比べ、より上位をつけた審査員の数が多い選手を上にする方法である。この同点処理は、IFBBプロリーグとNPC Worldwideのルールでも採用されている。
実例:2026年JBBF日本選手権の順位点
JBBFが公開した10月11日の日本選手権(男子ボディビル)の審査結果一覧表では、審査員はA〜Gの7人で、予選審査と決勝審査それぞれに各審査員の順位と小計が載っている。上位と中位の選手の数字を抜き出すと次のようになる。
| 最終順位・選手 | 予選(審査員A〜G) | 予選小計 | 決勝(審査員A〜G) | 決勝小計 | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1位 扇谷開登 | 2・1・1・1・1・1・1 | 5 | 2・1・1・1・1・1・1 | 5 | 10 |
| 2位 刈川啓志郎 | 1・2・2・2・3・2・2 | 10 | 1・2・2・2・2・2・2 | 10 | 20 |
| 3位 寺山諒 | 4・3・3・3・2・3・3 | 15 | 4・3・3・3・3・3・3 | 15 | 30 |
| 8位 加藤直之 | 8・9・8・8・10・8・8 | 41 | 8・9・7・8・10・8・8 | 41 | 82 |
| 9位 江川裕二 | 9・8・11・9・11・9・9 | 47 | 9・8・10・9・11・9・9 | 46 | 93 |
扇谷の予選は7人中6人が1位、1人が2位をつけた。最高の2と最低の1を1つずつ除くと残りは1が5つで、小計は5になる。加藤の予選は、最も低い評価の10と最も高い評価の8を1つ除いた5つ(9・8・8・8・8)の合計で41だ。表の数字はすべて、7人のうち最高と最低を1つずつ除いた5人分の合計と一致する。最終順位は予選小計と決勝小計を足した合計で決まり、2位の刈川は予選で審査員Aから1位を得たが、合計では扇谷に及ばなかった。
団体別の審査方法の比較
同じ順位点方式でも、審査の段階や点の扱いは団体によって違う。各団体が公開している規則で確認できた内容を表にした。公式の規則に記載がない項目は「記載なし」とした。
| 項目 | JBBF(国内) | IFBB(国際・アマチュア) | IFBBプロリーグ(プロ) | NPC Worldwide(ZeniXなど) |
|---|---|---|---|---|
| 審査員の数 | 日本選手権の結果表では7人 | 規則は9人の場合と9人未満の場合を定める | 記載なし | 記載なし |
| 除く順位 | 最高・最低を各1つ(結果表から確認) | 9人なら上下各2つ、9人未満なら上下各1つ | 記載なし | 記載なし |
| 絞り込み | 12人を超えるとピックアップ(規定4ポーズ) | 15人を超えると予選前の選抜ラウンドで上位15人に | 記載なし | 記載なし |
| 決勝の人数 | 日本選手権などは12人、日本クラス別などは6人 | 上位6人 | 記載なし | 記載なし |
| 最終順位の決め方 | 予選小計+決勝小計の合計 | 決勝は0点から始め、決勝の順位点だけで決める | オープン部門は予選と決勝が50%ずつ。他の部門は予選が100% | 予選が100%。決勝は確認ラウンドがある場合だけ採点 |
| 決勝の内容(男子ボディビル) | 1人60秒以内のフリーポーズ | 6人そろって規定7ポーズを2回(並びを入れ替えて)+ポーズダウン(採点なし) | 最長3分のフリーポーズ、比較、60秒のポーズダウン | 最長60秒のフリーポーズ。総合タイトルのみ60秒のポーズダウン |
大きな違いは、決勝の点の扱いである。JBBFの日本選手権では予選と決勝の小計を足すため、予選の差を決勝で取り戻すには決勝で相手を上回る必要がある。IFBBのアマチュア規則では、予選の上位6人が「0点」から決勝を始めるので、予選の点は決勝の顔ぶれを決めるだけで最終順位には残らない。IFBBプロリーグのオープン部門は予選と決勝を50%ずつ評価する。プロのクラシックフィジーク、メンズフィジークなど他の部門は予選の評価が100%で、ヘッドジャッジの判断で決勝の比較を採点対象の「確認ラウンド」とした場合だけ、その点が予選の点に置き換わる。
予選と決勝では何が行われるのか
JBBF:ピックアップ、予選、決勝の3段階
JBBFの2026年度競技ルールマニュアルによると、男子ボディビルは出場者が12人を超えるとピックアップラウンドを行い、規定4ポーズ(フロントダブルバイセップス、サイドチェスト、バックダブルバイセップス、アブドミナル&サイ)で絞り込む。日本選手権の結果表では、ピックアップは順位ではなく、審査員が選んだ選手に印をつけ、その数で通過者を決めている。予選はクォーターターンと規定7ポーズで12人に順位をつけ、決勝は1人60秒以内のフリーポーズで審査する。日本選手権の審査規程では、2025年の決勝進出者(1〜12位)は1次ピックアップ審査が免除されている。
IFBB(アマチュア):比較は3〜10人ずつ
IFBBの規則では、予選(ラウンド1)でまず規定4ポーズを10人以内のグループで行い、その後チーフジャッジが審査員の提案をもとに比較の組を決める。1回の比較は3人以上10人以下で、全選手が少なくとも1回は比較される。7人以下の部門ではラウンド1を行わないこともある。決勝(ラウンド2)では、予選の評価とは別に「新しい目で」審査するよう審査員に求めている。
IFBBプロリーグとNPC Worldwide:コールアウトが山場
プロの規則もNPC Worldwideの規則も、まず1人ずつ規定ポーズを行い、その後ヘッドジャッジが選んだ選手を並べて比べる「コールアウト」で順位を固める流れは共通している。審査員は大きさ、均整、筋肉の質のバランスである「トータルパッケージ」で採点する。日本でNPC Worldwideの大会を開くZeniXのよくある質問によると、確認ラウンドは基本的にプロショーで行われるもので、アマチュア大会では基本的に実施していない。
審査員は何を見て順位をつけるのか
IFBBの規則は、審査員に決まった手順で体を見るよう求めている。比較の際は、まずそのポーズで主に示される筋群を見て、次に頭から足先へと順に全身を見ていく。見るのは筋肉の量、発達のバランス、筋肉の密度と輪郭(ディフィニション)だ。さらに姿勢や骨格、肌の状態も評価に含まれ、2人の差がつけにくいときはこれらの点の欠点を探して差をつけるとしている。
JBBFの競技ルールマニュアルは、男子ボディビルの審査ポイントとして「トータルパッケージでの評価」「各部位それぞれの筋肉の発達度・バランス」「脂肪の薄さ」を挙げ、上下左右のバランスが悪いことを減点要因としている。クラシックフィジークやメンズフィジークでは見るポイントが異なり、違いはボディビル・クラシックフィジーク・メンズフィジークの違いで比べている。
| 団体の規則 | 審査の観点(公式の記載) |
|---|---|
| IFBB(2026年版) | 筋肉の量、発達のバランス、筋肉の密度と輪郭。姿勢、骨格、肌の状態も見る |
| JBBF(2026年度マニュアル) | トータルパッケージ、各部位の発達度とバランス、脂肪の薄さ。上下左右のバランスの悪さは減点 |
| IFBBプロリーグ/NPC Worldwide | 大きさ、均整、筋肉の質のバランスである「トータルパッケージ」 |
よくある質問
審査員ごとの順位は公開されますか
団体による。JBBFは日本選手権の審査結果一覧表で、審査員A〜Gそれぞれの順位と小計を公開している。ZeniXは大会後に公式サイトでスコアカードを公開しており、10月12日の大会のスコアカードには各クラスの最終順位が載っている。
予選で負けていても決勝で逆転できますか
できる場合がある。JBBFの日本選手権では予選小計と決勝小計の合計で順位が決まるため、決勝で相手を上回れば差を縮められる。IFBBのアマチュア規則では決勝は0点から始まるので、決勝の順位点だけで最終順位が決まる。
同点になったらどうなりますか
IFBB、IFBBプロリーグ、NPC Worldwideの規則は、Relative Placement(相対順位)で決めるとしている。同点の選手について審査員1人ずつの順位を比べ、より上位をつけた審査員が多い選手が上になる。
フリーポーズは採点されますか
JBBFの日本選手権では決勝審査がフリーポーズで、その順位点が合計に入る。IFBBの2026年版アマチュア規則では、男子ボディビルの決勝は規定ポーズとポーズダウンで行われ、ポーズダウンは採点しない。IFBBプロリーグのオープン部門では、フリーポーズを含む決勝が50%の比重を持つ。
KINNIKU TIMESの視点
順位点方式の特徴は、1人の審査員に高く評価されることより、多くの審査員から安定して上位をつけられることが勝ちにつながる点にある。日本選手権の扇谷の数字は、ほぼ全員から1位を得る強さを示している。観戦する人は、結果表で審査員ごとの順位のばらつきを見ると、接戦だったのか圧勝だったのかが読み取れる。
出場する人にとっては、出る団体の「決勝の扱い」を知っておくことが戦略に直結する。予選と決勝を足すJBBFでは予選から全力の仕上がりが必要で、決勝が0点から始まるIFBBの大会では決勝に向けた体の張りの維持が重要になる。フリーポーズの比重も団体で違う。どの団体に出るか迷っている人はボディビル大会の団体比較、プロを目指す人はIFBBプロになるには、日本でNPC Worldwideの大会を開く団体はZeniXとはで詳しく紹介している。日本選手権の結果の詳報は吹田3大会の結果にある。体の仕上がりの目安にはFFMI計算が使える。
出典
- JBBF「2026 第72回 日本選手権大会 選手権大会審査結果一覧表」(PDF)
- JBBF「2026年度 日本選手権大会 審査規程と注意事項」(PDF)
- JBBF「2026年度版 JBBF競技ルールマニュアル」(PDF)
- IFBB「IFBB Federation Rules Section 2: Men's Bodybuilding 2026 Edition」(PDF)
- IFBB Professional League「Pro Competition Rules」
- IFBB Professional League「NPC Worldwide Rules」
- ZeniX よくあるご質問「Confirmation Roundとは何ですか?」
- ZeniX「10月12日開催 ZeniX Powerhouse Gym Japan Classic スコアカード公開」
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