プロテインの原料はどうやってパウダーになる?乳清・大豆からできるまでの製造工程を図解
ホエイ・カゼイン・ソイ・ピー、それぞれのプロテインパウダーが原料からどんな工程を経てできているのかを、図解と比較表で整理しました。
プロテインパウダーを毎日の生活に取り入れている方は多いものの、「そもそも何を原料に、どのような工程を経てあの粉末になっているのか」を知っている方は意外と少ないのではないでしょうか。スーパーやドラッグストアの棚に並ぶプロテインは、実は牛乳や大豆といった身近な食品を出発点にして作られています。プロテインナビでは今回、代表的なプロテインの原料と、原料から製品になるまでの一般的な製造工程を図解つきで整理します。製法の違いを知っておくと、パッケージの原材料表示を見たときの理解もぐっと深まり、自分に合った製品を選ぶ際の判断材料にもなります。
プロテインパウダーの主な原料
市販されているプロテインパウダーの原料は、大きく分けると「乳由来」「大豆由来」「えんどう豆由来」の3つが中心です。乳由来にはホエイ(乳清)とカゼインがあり、どちらも牛乳に含まれるタンパク質の一種です。大豆由来はソイプロテイン、えんどう豆由来はピープロテインと呼ばれ、どちらも植物性のタンパク質源として選ばれています。このほか、卵白や牛肉由来のプロテインなど、原料の種類は年々広がっています。原料が違えば、抽出・精製の工程や、一般的にいわれる消化吸収の傾向、味や溶けやすさの特徴も変わってくる点が特徴です。
ホエイプロテインができるまでの工程
ホエイは、もともとチーズを作る過程で生じる副産物です。生乳に乳酸菌や凝乳酵素を加えると、タンパク質が固まって固形分(カード)となり、そこから水分の多い液体部分が分離します。この液体部分がホエイ(乳清)で、ここにも一定量のタンパク質が溶け込んでいます。かつては廃棄されることも多かったホエイですが、限外ろ過などの膜処理技術によって水分やその他の成分を取り除き、タンパク質の含有率を高めていくことで、プロテインパウダーの原料として活用されるようになりました。最終的にはスプレードライ(噴霧乾燥)などの方法で乾燥させ、粉末状に加工されます。
ソイプロテイン・ピープロテインができるまでの工程
ソイプロテインは、大豆から食用油を搾油した後に残る「脱脂大豆」を原料として作られるのが一般的です。脱脂大豆からタンパク質を水などで抽出し、余分な繊維質や糖質を取り除いてから、ホエイと同様に乾燥・粉末化する工程を経ます。ピープロテインも考え方は同様で、えんどう豆からタンパク質を抽出・精製する工程を経て作られます。どちらも動物性原料を使わないため、乳製品が苦手な方や、植物性の食生活を意識している方、宗教上の理由で動物性食品を避けている方などに選ばれることが多い原料です。原料となる大豆やえんどう豆は、食用油や食品用のタンパク源として、もともと幅広く利用されてきた農産物でもあります。近年は、ソイ・ピーに加えて、玄米や大麻の種子(ヘンプ)などを原料にしたプロテインも登場しており、植物性プロテインの選択肢は少しずつ広がっている状況です。

製法の違いが生む「WPC」「WPI」などの区分
同じホエイを原料にしていても、精製の度合いによって呼び方が変わる点も、製造工程を知るうえで押さえておきたいポイントです。比較的シンプルな工程で作られるものはWPC(濃縮乳清タンパク質)、より精製工程を重ねてタンパク質含有率を高め、乳糖などをさらに取り除いたものはWPI(分離乳清タンパク質)と呼ばれるのが一般的です。さらに酵素処理などの工程を加えたものはWPH(加水分解乳清タンパク質)と呼ばれます。原料そのものは同じホエイでも、工程を重ねる分だけ製造コストが変わり、製品価格にも反映される傾向があります。一般的には、WPCよりもWPI・WPHのほうが工程数が多く、価格も高めに設定されることが多いとされています。どの製法を選ぶかは、価格・タンパク質含有率・乳糖の量など、自分が重視したいポイントに合わせて判断するとよいでしょう。
原材料表示の読み方のコツ
パッケージの原材料表示には、「乳清タンパク質」「分離大豆タンパク質」「えんどう豆タンパク質」といった形で、原料の種類が記載されています。表示の先頭に近いほど配合量が多い原料であるとされているため、複数の原料を組み合わせた「マルチプロテイン」タイプの製品を選ぶ際は、どの原料が主体になっているかを確認する目安になります。今回整理した製造工程の違いを踏まえて表示を読むと、なぜその原料が使われているのか、製品の特徴とあわせて理解しやすくなります。また、香料や甘味料、増粘剤などの添加物も同じ欄に記載されているため、原料表示は「タンパク質の由来」と「風味・口当たりの工夫」の両方を確認できる情報源といえます。
品質管理・保存性を高める工程
原料をパウダーに加工した後も、品質を安定させるための工程が続きます。乾燥後の粉末は、水分量や粒度(粒の細かさ)を検査したうえで、金属探知機や異物検査などの工程を経て製品化されるのが一般的です。また、開封後に湿気を吸うとダマになりやすいため、多くの製品では密閉性の高い容器や、乾燥剤を封入したパッケージが採用されています。アレルゲンの混入を防ぐための工場内でのライン管理や、ロットごとの成分検査も、品質を保つうえで欠かせない工程の一つです。製造工程を知っておくと、保存方法や開封後の取り扱いについても、より納得感を持って実践しやすくなるでしょう。

原料別の特徴比較
ここまで紹介した4つの原料について、由来と一般的な製法の特徴、よく言われる傾向を一覧表に整理しました。製品を選ぶ際の参考にしてください。
| 原料 | 由来 | 一般的な製法の特徴 | よく言われる傾向 |
|---|---|---|---|
| ホエイ | 生乳(チーズ製造の副産物) | 分離・濃縮・乾燥 | 比較的消化吸収が速いとされる |
| カゼイン | 生乳 | 凝固したカード側から抽出 | 比較的ゆっくり吸収されるとされる |
| ソイ | 大豆(脱脂大豆) | 抽出・精製・乾燥 | 植物性、乳成分不使用 |
| ピー | えんどう豆 | 抽出・精製・乾燥 | 植物性、アレルギー配慮の選択肢の一つ |
※表の内容は一般的に紹介されている傾向であり、すべての製品に当てはまるものではありません。
原料の生産背景について
ホエイ・カゼインは酪農によって生産される生乳から、ソイ・ピーは農産物である大豆・えんどう豆から作られています。生乳は本来、飲用や乳製品(チーズ・バター・ヨーグルトなど)の生産を目的に生産されており、ホエイはその過程で生まれる副産物を有効活用したものだといえます。一方、大豆・えんどう豆は食用油や食品用のタンパク源としてもともと幅広く利用されてきた農産物です。近年は、原料の生産背景や環境負荷に関心を持つ消費者も増えており、植物性タンパク質が選択肢の一つとして注目される理由の一つにもなっています。とはいえ、どの原料が優れているかは、体質や目的、味の好みによって変わるものであり、環境面だけで一概に決めつけられるものではありません。原料の背景に関心がある方は、パッケージや公式サイトに記載された情報をあわせて確認するとよいでしょう。
原料選びで気をつけたいポイント
牛乳由来のホエイ・カゼインは、乳糖不耐症の方やミルクアレルギーの方には合わない場合があります。そうした場合は、ソイプロテインやピープロテインなど植物性の原料を検討するのも一つの方法です。ただし、大豆アレルギーがある方はソイプロテインを避ける必要がありますし、えんどう豆にアレルギーがある方も注意が必要です。原料を切り替えたからといって、必ずしもすべての人に合うとは限らないため、初めて試す製品は少量から様子を見ることをおすすめします。持病がある方、妊娠中・授乳中の方、成長期のお子様がプロテインの利用を検討する場合は、原料の種類に関わらず、事前に医師や管理栄養士に相談することをおすすめします。
プロテインナビの視点
プロテインの原料は、乳由来のホエイ・カゼインと、大豆・えんどう豆由来の植物性タンパク質に大きく分けられます。どの原料も、生乳や豆類から不要な成分を取り除き、タンパク質を濃縮・乾燥させて粉末にするという大きな流れは共通しており、そのうえで精製度や仕上げ方によって細かな種類分けがされています。原料や製法の違いを知っておくと、パッケージの原材料表示を見たときに、なぜその原料・製法が選ばれているのかが理解しやすくなり、自分の体質や好み、目的に合った製品を選びやすくなるはずです。
よくある質問
Q. プロテインパウダーの原料は主に何ですか?
牛乳由来のホエイ・カゼイン、大豆由来のソイ、えんどう豆由来のピープロテインなどが代表的な原料です。このほか卵白や牛肉を原料にした製品、複数の原料を組み合わせたマルチプロテインタイプの製品もあります。
Q. ホエイプロテインはどうやって作られますか?
チーズ製造の際に生じるホエイ(乳清)を原料に、限外ろ過などの膜処理技術で濃縮し、スプレードライ(噴霧乾燥)などで乾燥させてパウダーにされるのが一般的な流れです。
Q. ソイプロテインの原料は大豆そのものですか?
多くの場合、食用油を搾った後に残る「脱脂大豆」からタンパク質を抽出し、精製・乾燥する工程を経て作られています。大豆をそのまま粉末にしているわけではありません。
Q. WPCとWPIは原料が違うのですか?
原料自体は同じホエイですが、精製工程の度合いによってWPC(濃縮)・WPI(分離)・WPH(加水分解)といった呼び方が分かれ、タンパク質含有率などの特徴に違いが出ます。
Q. 原料の生産背景は気にした方がいいですか?
近年は環境負荷などに関心を持つ方も増えており、植物性タンパク質が注目される理由の一つになっています。ただし、まずは自分の体質や目的に合う原料を選ぶことを優先するとよいでしょう。
Q. 乳糖不耐症やアレルギーがある場合はどうすればいいですか?
植物性のソイ・ピープロテインなどを検討する方法がありますが、大豆やえんどう豆にアレルギーがある方は原料をよく確認する必要があります。持病やアレルギーがある方、妊娠中・授乳中の方は、事前に医師や管理栄養士に相談することをおすすめします。




