【血圧が最大15mmHg上昇】トレーニングベルトと総負荷量の関係
Share
ベルトを巻くと、いつもより重い重量が扱える。そう感じる人は多いでしょう。ただし、増えた重量が本当に安全に扱えている重さとは限りません。NSCAの見解と、記録の読み方を整理します。
トレーニングベルトは、健康な人の日常の練習では着用を推奨しないというのがNSCAの見解で、ベルトで増えた総負荷量は過信の可能性も考えて読みます。
- ベルト着用時は、血圧が最大15mmHg高くなったと報告されています
- ベルトがあると、約19%多く持ち上げようとする意思が示されました
- ケガの予防効果は、これまでケガのない人では確認されていません
- 高血圧や腰痛のある人は、着ける前に医師へ相談します
ベルトありの日となしの日を、総負荷量の前回比で並べて見られます。重量・回数・セットを入れるだけです。ダウンロードは無料です。
Souhukaでベルトありなしの総負荷量を比べるAndroid版はGoogle Playから。登録なしで試すならブラウザ版の総負荷量計算へ。
ベルトを着けた記録の見え方(仮の例)
- 100kg×5回×3セット
- 総負荷量 1,500kg
- 119kg×5回×3セット
- 総負荷量 1,785kg
この記事でわかること
- NSCAがベルトを勧めない理由
- 血圧と腰への影響の、研究の数字
- ベルトで増えた量を、どう読むか
- 弱点と、向かない人
トレーニングベルトで血圧が最大15mmHg上がる、NSCAの見解
NSCAの専門誌に載った、マッギル氏の2005年の論文が根拠です。論文は、ベルトが腹腔内圧と血圧を上げる一方、腰椎への負荷を必ずしも減らさないと論じています。
| 研究 | 主な結果 |
|---|---|
| ハンター他(1989年)。男性5人・女性1人 | ベルト着用時に血圧が最大15mmHg上昇 |
| マッギル他(1987年) | 腹腔内圧の上昇で、腰椎の圧縮荷重はむしろ増加 |
| ナケムソン他(1986年) | 直接測定でも、椎間板内の圧力が増加 |
| マッコイ他(1988年) | ベルトで約19%多く持ち上げようとした |
たとえば、安静時の収縮期血圧が120mmHgの人なら、最大15mmHg上がると135mmHgです。心拍数も有意に高くなっています。高血圧の人は、とくに注意が必要です。
「腰の負担が減る」は本当か
従来は、腹腔内圧が上がれば腰椎の圧縮荷重が減ると考えられてきました。論文は、この考えを誤りだと指摘しています。腹腔内圧を高めるには、腹壁の筋肉を余計に使う必要があり、腰椎の負荷は正味で増えるという結果です。
ただし、結果はベルトの種類で分かれます。グラナータ他(1997年)は、硬い整形外科用ベルトでは持ち上げ時のモーメントが増え、伸縮性のベルトでは脊柱への負荷全体が減ったと報告しました。ベルトの種類までは、本論文では十分に整理されていません。
ケガの予防効果は、それまでケガのない人では確認されていません。腰を痛めたことがある人の再発予防には、弱い根拠があるとされます。ベルト使用後の期間は、ケガのリスクが高まる可能性にも触れられています。
ベルトで増えた総負荷量を、どう読むか
マッコイ他(1988年)では、ベルトを着けた人は、着けない場合より約19%多く持ち上げようとしました。論文はこれを、安心感からの過信を支持する根拠と位置づけています。
| 条件 | 計算 | 総負荷量 |
|---|---|---|
| ベルトなし | 100×5×3 | 1,500kg |
| ベルトあり(19%増) | 119×5×3 | 1,785kg |
| 差 | 1,785−1,500 | 285kg(19%) |
100kgの19%増は、100×1.19=119kgです。5回・3セットなら、総負荷量は285kg増えます。数字は仮の例で、実際の記録ではありません。
この285kgの増加が、筋肉に効く刺激の増加とは限りません。体幹の弾性反跳による助けと、過信による重量の選び方が混ざっているためです。Souhukaでは、ベルトありの日となしの日を分けて記録し、前回比を別々に見られます。手計算なら登録なしで総負荷量を計算するブラウザ版も使えます。
弱点と、向かない人
NSCAの見解は、日常のトレーニングで常用することを勧めない、というものです。例外は、競技として極端な高重量を扱う場面に限られます。論文は2005年と古く、新しいベルトや研究はここに含まれません。
- 高血圧など持病がある人は、ベルトの可否を医師に相談してください
- 腰に不安がある人は、自己判断で着けず、専門家に相談してください
- 痛みがあるときは中止し、医師や理学療法士に相談してください
速度を重視するプライオメトリクスなどの練習には、ベルトは不向きとされています。また、ベルトを着けている最中にケガをすると、より重症になるおそれがあるとも述べられています。
体幹の安定性そのものを鍛えたい場合は、ベルトを使わずに体幹を鍛えることが勧められています。まず軽い重量で、体幹を締める感覚を身につけます。1RMの目安は1RM計算で確認できます。
よくある質問
トレーニングベルトは、着けたほうがよいですか
NSCAは、健康な人の日常の練習では着用を推奨していません。極端な高重量を扱う競技的な場面に限られます。
ベルトを着けると、腰への負担は減りますか
従来の考えは誤りだと、論文は指摘しています。腰椎の圧縮荷重は、正味で増えるという結果でした。ただしベルトの種類で結果が分かれます。
腰痛持ちの人は、ベルトを着けるべきですか
腰を痛めたことがある人の再発予防には、弱い根拠があるとされます。ただし強い推奨ではないため、自己判断せず専門家に相談してください。
ベルトを着けると、血圧は上がりますか
1989年の研究では、最大15mmHg高くなりました。高血圧の人は、医師に相談してください。
ベルトで総負荷量が増えたら、成長したと言えますか
言い切れません。約19%多く持ち上げようとする過信が混ざる可能性があります。ベルトありなしを分けて記録します。
まとめ
- NSCAは、日常の練習でのベルト常用を勧めていません
- ベルト着用時の血圧は、最大15mmHg高くなりました
- ベルトで増えた総負荷量は、過信も含めて読みます
- 高血圧や腰痛のある人は、医師に相談します
記録を始めると、前回の重量と回数が記録画面に出ます。ベルトありの日となしの日の総負荷量を、前回比で見比べられます。
Souhukaで記録を始めて前回比を見るAndroid版はGoogle Playから。登録なしで試すならブラウザ版の総負荷量計算へ。
出典
- McGill SM。「On The Use Weight Belts」NSCA Hot Topic Series(2005年3月、同年9月改訂)(2026年10月確認)
- KINNIKU TIMES「筋トレのベルトは本当に必要か」(上記論文の解説)(2026年10月確認)