【用語を解説】ピラティスのアーティキュレーションとは?背骨を順に動かす
レッスンで「背骨を一つずつ動かして」と言われて、意味がよくわからなかった人に向けた記事です。アーティキュレーションの意味、使う種目、うまくできないときのコツをまとめました。
結論:アーティキュレーションとは、背骨の骨(椎骨)を一つずつ順番に動かすように、丸めたり伸ばしたりすることです。
- 背骨を一本の棒のように動かさず、全体に分けて動かす意識を指します
- ブリッジ(ペルビックカール)やロールアップなどの種目で使われます
- 一気に動いてしまう場所に気づくことが、体の使い方を知る手がかりになります
- 腰や首に痛みがある人、骨の病気がある人は医師に相談してから行いましょう
アーティキュレーションの練習(ペルビックカール)
この記事でわかること
- アーティキュレーションの意味と、関連する用語
- アーティキュレーションを使う代表的な種目5つと難しさ
- うまくできないときのコツと、よくあるつまずき
- 痛みや骨の病気がある人の注意点
ピラティスのアーティキュレーションの意味
アーティキュレーション(articulation)は、英語で「関節」「つなぎ目」に関わる言葉です。ピラティスでは主に、背骨の関節を一つずつ動かすことを指します。「スパイナル・アーティキュレーション」とも呼ばれます。
背骨は小さな骨が積み重なってできています。そのため、丸める・反らす・ひねるといった動きを、一か所だけでなく全体に分けて行えるのが理想とされます。
ピラティスで意識するのは、筋力・体幹の安定・柔軟性・筋肉のコントロール・姿勢・呼吸です(Wellsら, 2012)。伝統的な原則としては、次の6つが挙げられています。
- センタリング
- 集中
- コントロール
- 正確さ
- 流れ
- 呼吸
アーティキュレーションは、このうち「コントロール」「正確さ」「流れ」を背骨で練習するものと考えるとわかりやすくなります。関連する用語は次のとおりです。
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| アーティキュレーション | 背骨などの関節を一つずつ順番に動かすこと |
| セグメンタル(分節的) | 背骨をいくつかの部分に分けて、順に動かすこと。ほぼ同じ意味で使われる |
| ロールアップ・ロールダウン | 背骨を順に丸めて起き上がる・下りる動き |
| ニュートラル | 背骨の自然なカーブを保った姿勢。アーティキュレーションの出発点になることが多い |
| インプリント | 骨盤を少し後ろに傾け、腰を床に近づけた姿勢 |
アーティキュレーションを使う代表的な種目
背骨を一つずつ動かす意識は、マットでもマシンでも多くの種目で使われます。代表的なものは次のとおりです。
| 種目 | 背骨の動き | 難しさの目安 |
|---|---|---|
| ペルビックカール(ブリッジ) | お尻から背中を下から順に持ち上げ、上から順に戻す | 初心者向け |
| ロールダウン(立位・座位) | 頭から順に背骨を丸めて前に倒れ、下から順に起き上がる | 初心者向け |
| スパインストレッチフォワード | 座って、頭から順に背骨を丸めて前へ | 初心者〜中級 |
| ロールアップ | あお向けから頭・肩・背中の順に丸まって起き上がる | 中級 |
| ロールオーバー | 脚を頭の方へ運び、お尻・腰・背中の順に床からはがす | 上級。首への負担に注意 |
FITPEAK編集部では、上の表の「難しさの目安」に沿って、初心者向けの2種目から始めることをすすめています。
- ペルビックカール(ブリッジ):あお向けで、床の感覚を手がかりにできる
- ロールダウン:頭と首だけの小さな動きから始められる
- 慣れたら、スパインストレッチフォワード、ロールアップの順に進む
ロールオーバーは首への負担に注意が必要な上級の種目です。指導者に見てもらえる場で行いましょう。
マシンでも同じ考え方が使われます。リフォーマーで背中を丸めたまま動く種目や、キャデラック・バレルで背骨を丸める・反らす種目です。
マシンのばねは、動きを支えたり抵抗をかけたりします。そのため、マットでは一気に動いてしまう場所を、ゆっくり確かめやすくなることがあります。マットとマシンの違いはマットピラティスとマシンピラティスの違いにまとめています。
アーティキュレーションがうまくできないときのコツ
最初から背骨を一つずつ感じられる人は多くありません。「一気に動く場所がある」と気づけること自体が練習の第一歩です。
- 動きを小さくする:ブリッジならお尻を少し浮かせるだけ、ロールダウンなら頭と首だけ、と範囲をしぼります。
- ゆっくり数える:「1、2、3…」と数えながら、一つの数で少しだけ進む意識で動きます。
- 床の感覚を使う:あお向けの種目では、背中が床に触れる・離れる感覚で、どこが動いているかがわかります。
- 呼吸を止めない:息を吐きながら丸めると教えることが多いですが、まずは止めずに続けることを優先します。
- 見てもらう:自分では一気に動く場所に気づきにくいため、指導者に背中を見てもらうとわかりやすくなります。
| よくあるつまずき | 考えられること | 試したいこと |
|---|---|---|
| ブリッジでお尻と腰が同時に上がる | 骨盤を傾ける動きがわかりにくい | 骨盤を傾けるだけの練習を先にする |
| ロールアップで反動を使ってしまう | 背中を丸めたまま支える力がまだ足りない | ひざを曲げる、手で太ももを支える |
| 首や肩に力が入る | 背骨の上のほうで動きを止めている | 目線をおなか側に向け、肩を下げる |
| 背中の一部が床に「ドン」とつく | その部分が動きにくい | 動きを小さくして、その場所でゆっくり止まる |
床で行う基本のブリッジなど、自重でできる種目の形は3D種目図鑑でも確かめられます。ただし、背骨を一つずつはがすペルビックカールとは意識する点が違うので、ピラティスの練習は指導者の説明を優先してください。
アーティキュレーションで注意したい人
背骨を丸めたり反らしたりする動きが多いため、次に当てはまる人は始める前に確認が必要です。
- 腰や首に痛みやしびれがある人は、背骨を丸める・反らす種目を始める前に医師に相談してください。
- 骨粗しょう症など骨の病気がある人、背骨の手術を受けたことがある人は、背骨を丸める動きに制限があることがあります。医師に相談し、指導者にも伝えましょう。
- 妊娠中・産後の人は、あお向けの姿勢やおなかに力を入れる種目について医師に相談してから行いましょう。
腰痛とピラティスの研究をまとめた報告もあります(Yamatoら, 2015)。ほとんど運動しない場合より痛みは軽くなりましたが、ほかの運動より優れるとは言えないとされています。
アーティキュレーションの練習だけで腰痛がよくなるとは考えないようにしましょう。くわしくはピラティスは腰痛・姿勢に効果ある?で解説しています。
よくある質問
アーティキュレーションは何のために練習するのですか?
背骨のどこが動きやすく、どこが動きにくいかに気づくためです。体を思いどおりにコントロールする練習になります。特定の効果が研究で確かめられているわけではないので、「体の使い方を知る練習」と考えるのが現実的です。
背骨は本当に一つずつ動いているのですか?
厳密には一つずつではありません。実際には、となり合う骨は一緒に動きます。「一つずつ」は、動きを細かく分けて感じるためのイメージとして使われる言い方です。
体がかたくてもできますか?
できます。動く範囲が小さくても、順番に動かす意識があれば練習になります。痛みのない範囲で行いましょう。
レッスンでよく聞く「ロールダウン」も同じ意味ですか?
同じ意味ではありません。ロールダウンは種目や動きの名前で、アーティキュレーションはその動き方を表す言葉です。ロールダウンは、背骨を順に丸めて下りるアーティキュレーションの代表的な練習の一つです。
まとめ
- アーティキュレーションは、背骨を一つずつ順に丸めたり伸ばしたりする動き方です
- ペルビックカールやロールダウンなど、初心者向けの種目から練習できます
- 一気に動く場所に気づくことが、練習の第一歩です
- 動きを小さくし、呼吸を止めずに、ゆっくり数えながら行います
- 腰や首に痛みがある人、骨の病気がある人は医師に相談してください
背中の動きを指導者に見てもらいたい人は、スタジオ選びから始めましょう。FITPEAKでは14社の料金を6か月の総額で比べたマシンピラティスのおすすめをまとめています。近くのスタジオはジムナビでも探せます。
出典
- Wells C, et al. Defining Pilates exercise: a systematic review. Complement Ther Med. 2012
- Yamato TP, et al. Pilates for low back pain. Cochrane Database Syst Rev. 2015
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