【研究の範囲で解説】ピラティスで睡眠の質は変わる?時間帯と注意点
ピラティスと睡眠の関係は、研究では「睡眠の質がよくなったという結果が多い」段階です。運動の種類を比べた分析では、ピラティスは睡眠の質の点数が改善したグループに入りましたが、研究ごとの差が大きく、確かさには限界があります。眠りのためには、寝る直前を避けて、続けられる頻度で行うことが大切です。眠れない状態が続くときは、医師に相談してください。
眠りのための運動のポイント(国のガイドより)
ピラティスで睡眠はよくなる?研究でわかっていること
運動と睡眠の研究は多く、国も運動習慣を眠りのためにすすめています。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、適度な運動習慣を身につけることは良い睡眠の確保に役立つとされ、運動習慣がない人は「睡眠で休養がとれている感覚」が低いことがわかっていると書かれています(健康づくりのための睡眠ガイド2023)。
ピラティスについては、運動の種類ごとに睡眠の質への影響を比べた分析があります。86件のランダム化比較試験(参加者7,276人)をまとめた2025年の研究では、有酸素運動・筋力トレーニング・ヨガ・ピラティスなどのどの運動も、運動をしない群と比べて睡眠の質の点数が改善したという結果でした。この分析の中では、ピラティスが最も上位に順位づけられています(Wangら, 2025)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 研究の種類 | ネットワークメタ分析(複数の運動をまとめて比べる方法) |
| 集めた研究 | ランダム化比較試験86件、参加者7,276人 |
| 比べた運動 | 有酸素運動、筋力トレーニング、その2つの組み合わせ、ヨガ、ピラティス、中国の伝統的な運動 |
| 結果 | どの運動も、運動をしない群より睡眠の質の点数が改善。順位づけではピラティスが最上位 |
| 読み方の注意 | 参加者の年齢や持病、運動の期間は研究ごとに違う。順位は「確実に一番」という意味ではない |
順位づけは、元になった研究の数や質に左右されます。ピラティスの研究は有酸素運動に比べて数が少なく、病気のある人を対象にしたものも含まれます。「ピラティスなら必ずよく眠れる」とは言えず、「運動の一つとして、睡眠の質がよくなったという報告がある」と受けとめるのが現実的です。
ピラティスが眠りに関わると考えられる理由
なぜ運動が睡眠に関わるのかは、すべてが解明されているわけではありません。国のガイドやこれまでの研究から、次のような点が考えられています。
- 日中に体を動かす:睡眠ガイド2023では、日中の身体活動の量や強さが眠りの必要量や質に影響するとされています。
- 体温の変化:運動で体の深部の温度が上がり、その後に下がっていく流れが寝つきに関係すると説明されています。
- ゆっくりした呼吸:ピラティスは呼吸に合わせて動く運動と整理されています(Wellsら, 2012)。ゆっくりした呼吸とリラックスの関係を調べた研究もありますが、ピラティスの呼吸そのものが眠りをよくすると確かめた研究ではありません。
- 習慣になりやすさ:予約制のレッスンは通う日が決まるため、生活のリズムをつくるきっかけになることがあります。
眠りのためのピラティスの取り入れ方
運動の時間帯について、e-ヘルスネットでは、日中だけでなく夕方の運動にも睡眠を改善する効果があるとしたうえで、寝る直前の運動は交感神経を高ぶらせるため、寝る2〜4時間前までに行うようすすめています(e-ヘルスネット「快眠と生活習慣」)。
| 時間帯 | 考え方 | 向いている形 |
|---|---|---|
| 朝〜昼 | 日中に体を動かす量を確保しやすい | 出勤前や昼休みのレッスン、自宅で15分ほど |
| 夕方〜夜の早い時間 | 睡眠の改善に役立つという報告がある | 仕事帰りのスタジオのレッスン |
| 寝る2〜4時間前より後 | 強い運動は寝つきを妨げることがある | 激しい種目は避け、軽く体を伸ばす程度に |
| 寝る直前 | 体を休める時間にする | 呼吸を整える、ゆっくり体を伸ばす |
頻度は、睡眠ガイド2023でも「週1回より複数回のほうが効果的だが、まず習慣をつくることが大切」とされています。レッスンが週1回でも、ほかの日に散歩や軽い筋力トレーニングを足すと、1週間の活動量を増やせます。国のガイドでは、大人に筋力トレーニングを週2〜3日行うことがすすめられています(健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023)。
スタジオに通うなら、通いやすい時間帯にレッスンがあるかを先に確かめましょう。仕事帰りの時間帯のレッスンが多いスタジオもあります。スタジオ選びはマシンピラティスのおすすめで比べています。
運動だけで解決しようとしないことも大切
睡眠は、運動のほかに、光・入浴・食事・カフェインやお酒などの影響も受けます。睡眠ガイド2023は、生活習慣や寝室の環境を見直しても十分に改善しない場合は、医師に相談するようすすめています。いびきや呼吸が止まる、気分の落ち込みが続くなど、病気がかくれていることもあるためです。
- 眠れない、途中で何度も起きる状態が続くときは医師に相談する
- 持病がある人、妊娠中の人は、運動を始める前に医師に相談する
- 適正な睡眠時間には個人差があるが、大人は6時間以上が目安とされている(睡眠ガイド2023)
- 寝る前のスマートフォンやカフェインなど、ほかの習慣もあわせて見直す
よくある質問
ピラティスは夜にやると眠れなくなりますか?
強度が高い運動を寝る直前に行うと、寝つきを妨げることがあるとされています。夜に行う場合は、寝る2〜4時間前までに終えるのが目安です。寝る直前は、呼吸を整える程度の軽い動きにとどめましょう。
寝る前のピラティスは効果がありますか?
寝る前に行う軽い運動と睡眠の関係は、まだ研究が十分ではありません。体を休める習慣として、ゆっくり呼吸しながら軽く体を伸ばすのはよいですが、「寝る前にやれば必ず眠れる」とは言えません。
週に何回やればいいですか?
決まった回数はわかっていません。国の睡眠ガイドでは、週1回より複数回のほうが効果的とされていますが、まず続けられる回数から始めることが大切です。頻度の考え方はピラティスは週何回で効果が出る?にまとめています。
ヨガとピラティスはどちらが睡眠によいですか?
2025年の分析ではどちらも睡眠の質の点数が改善し、順位ではピラティスが上でした。ただし、直接比べた研究は少なく、どちらがよいかは確かではありません。続けやすいほうを選ぶのが現実的です。
出典
- 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠と生活習慣」
- 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」
- Wang H, et al. The best approaches and doses of exercise for improving sleep quality: a network meta-analysis and dose-response relationship study. BMC Public Health. 2025
- Wells C, et al. Defining Pilates exercise: a systematic review. Complement Ther Med. 2012
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