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【新研究】ハムストリングの筋力は断面積でわかる?超音波20人で相関0.91

公開 ・ KINNIKU TIMES 編集部 ・ 読了目安 9分
ハムストリングの筋力測定。うつ伏せで膝を15度曲げ、膝を曲げる力を測る様子
SUMMARY|この記事の要約

ハムストリングの筋力は、太もも中央の断面積で説明しやすい。3筋の合計断面積と筋力の相関は、20人の測定で0.91だった。

2026年10月公開の観察研究で、筋を太くすれば筋力が上がるという因果は示していない。

ハムストリングの筋力は、太もも中央の断面積と強く相関した。20人の超音波測定で、3筋の合計断面積と膝を曲げる力の相関は0.91だった。2026年11月2日(月)時点で、2026年10月27日公開の論文が確認できた。

トップ画像:Karaca Yilmazらの論文(PLOS One)の図3より(CC BY 4.0、改変なし)。うつ伏せで膝を15度曲げ、膝を曲げる力を測る様子である。

ハムストリングの筋力は、太もも中央の筋の断面積で説明しやすい。3筋の合計断面積と筋力の相関は0.91だった。

  • 対象は健康な若い成人20人で、うち女性8人、男性12人である
  • 太もも中央での合計断面積と筋力の相関は0.91だった
  • 半膜様筋は、太ももの下側25%の位置でも相関0.907と高かった
  • 太ももの上側75%では、有意な関連が見られなかった

ハムストリングを鍛える種目の選び方を読む
KINNIKU TIMESの記事に移動します(2026年11月確認)

論文は、トルコのイスタンブール・キュルテュル大学の研究チームによる。掲載誌は総合誌のPLOS Oneで、論文番号はe0361496である。

注意点が1つある。研究は観察の1回測定であり、筋を太くすれば筋力が上がるという因果を示したものではない。

太ももの25%・50%・75%の位置で半腱様筋・半膜様筋・大腿二頭筋長頭を超音波で測る位置を示した図
図:超音波で断面積などを測った位置。画像:Karaca Yilmaz et al.(2026)PLOS Oneより(CC BY 4.0、改変なし)

ハムストリングの筋力は断面積でどこまで分かるのか:相関0.91の中身

断面積とは、筋を輪切りにしたときの面積である。超音波の画像から測る。値が大きいほど、筋が太いことを意味する。

研究チームは、半腱様筋、半膜様筋、大腿二頭筋長頭の3筋を測った。この3筋が、いわゆるハムストリングである。

測ったのは、太もも中央(50%)の断面積である。これと、膝を曲げる力(等尺性の最大筋力)との関係を調べた。

3筋を足し合わせた合計断面積と筋力の相関は0.91だった。相関は1に近いほど、2つの値が一緒に動くことを示す。

筋 測定位置 相関
3筋の合計 中央50% 0.911
半膜様筋 中央50% 0.815
半腱様筋 中央50% 0.802
大腿二頭筋長頭 中央50% 0.615

※論文の表3から編集部が抜粋した。値はいずれも有意(p<0.01)である。本文の記述に食い違いがあり、表と要旨の値を採用した。

表のとおり、単独の筋でも相関は高かった。とくに半膜様筋と半腱様筋は、0.8を超えた。

一方、大腿二頭筋長頭は0.615と、やや低かった。ハムストリングの中で、筋力との関係には差があったことになる。

断面積と性別を合わせると、筋力の89%を説明できた

研究チームは、複数の値を同時に使う重回帰分析も行った。筋の断面積に加えて、性別も入れた。

この式は、筋力のばらつきの89%を説明した(決定係数0.89)。ただし、20人のデータで作った式である。ほかの人に当てはまるかは、確かめられていない。

式の中で、はっきり効いていたのは3つである。半膜様筋の断面積、半腱様筋の断面積、性別だった。大腿二頭筋長頭は、式の中では有意ではなかった。

太ももの中央の断面積と膝を曲げる力の関係を示した散布図
図:中央50%の断面積と膝を曲げる力の散布図。画像:Karaca Yilmaz et al.(2026)PLOS Oneより(CC BY 4.0、改変なし)

図は、断面積が大きい人ほど、力が大きい傾向を示している。点が右上がりに並んでいる筋が、有意な関係の見られた筋である。

性別の差も大きかった。筋力の平均は、女性が165ニュートン、男性が302ニュートンだった。この差は有意だった。

項目 平均
全体(20人) 247ニュートン
女性(8人) 165ニュートン
男性(12人) 302ニュートン

※膝を15度曲げた姿勢での、等尺性の最大筋力。論文の表1から抜粋した。

ただし、論文は性別の扱いに慎重である。この研究は、性差を調べる設計ではなかった。式の中の性別は、ばらつきを調整する要素と読むのが妥当である。

測る位置で結果は変わる:太ももの下側25%と上側75%

多くの研究は、太もも中央だけを測ってきた。この研究は、下側(膝に近い25%)と上側(付け根に近い75%)も測り、位置による違いを調べた。

測る位置は、坐骨結節から膝の関節の線までの距離で決めた。その25%、50%、75%の点である。

測定位置 対象 相関
下側25% 半膜様筋 0.907
下側25% 3筋の合計 0.802
下側25% 大腿二頭筋長頭 0.271(有意でない)
上側75% 半膜様筋 −0.289(有意でない)

※論文の表3から抜粋した。下側25%では、半腱様筋も有意でなかった(相関0.231)。

下側25%では、半膜様筋の相関が0.907と高かった。合計断面積も0.802で、中央に近い値だった。

上側75%では、半膜様筋以外は断面積を測れなかった。筋が細くなったり、隣の筋と見分けにくくなったりしたためである。測れた半膜様筋も、筋力と有意な関係はなかった。

つまり、断面積と筋力の関係は、筋の長さのどこで測るかで変わる。論文は、複数の位置で測る意義を指摘している。

大腿二頭筋長頭の羽状角を測った縦断面の超音波画像
図:大腿二頭筋長頭の羽状角を測った超音波画像。画像:Karaca Yilmaz et al.(2026)PLOS Oneより(CC BY 4.0、改変なし)

筋の厚みと羽状角はどうだったか

断面積のほかに、筋の厚みと羽状角も測った。羽状角とは、筋線維が腱膜に対してつく角度である。

筋の厚みは、半腱様筋(相関0.702)と半膜様筋(0.698)で、筋力と有意に関係した。大腿二頭筋長頭は有意ではなかった。

羽状角は、関係が弱く、ばらついた。半膜様筋が0.524、大腿二頭筋長頭が0.451で、半腱様筋は有意でなかった。

この結果から、断面積が最も扱いやすい指標といえる。厚みや羽状角は、補助的な情報にとどまる。

どう測ったのか:研究の方法と信頼性

対象は18〜30歳の健康な成人20人である。平均年齢は22.2歳で、競技や高強度のトレーニングを日常的に行う人は除かれた。

筋力は、手で持つ測定器(ハンドヘルドダイナモメーター)で測った。うつ伏せで膝を15度曲げ、足首の近くに測定器を当てる。5秒間の最大努力を3回行い、平均を使った。

断面積は、超音波の装置と10〜12メガヘルツのプローブで測った。2人の検者が11人分を測り、一致度を調べている。

検者間の一致度(級内相関)は0.878〜0.999と高かった。測定のぶれは、小さかったといえる。

この研究が言えないこと:注意点と限界

研究には、読むときに押さえたい限界がある。

  • 対象は20人と少なく、若い健康な成人に限られる
  • 観察の1回測定で、筋を太くすれば強くなるとは示していない
  • 筋力は膝を15度曲げた等尺性のみで、動的な力は測っていない
  • 身体活動量は、きちんと評価されていない

とくに肉ばなれの予測には使えない。論文自身が、断面積だけで怪我のリスクを判断しないよう注意している。肉ばなれは、筋が伸びながら力を出す場面で起きやすいためである。

論文は、探索的な研究だと断っている。結果は慎重に読む必要がある。

よくある質問

ハムストリングが太い人ほど、膝を曲げる力は強いのか?

この研究の20人では、そうだった。3筋の合計断面積と筋力の相関は0.91である。ただし、観察の結果であり、因果は示されていない。

どの筋の断面積が、筋力と最も関係していたのか?

太もも中央では、半膜様筋(0.815)と半腱様筋(0.802)が高かった。大腿二頭筋長頭は0.615だった。下側25%の半膜様筋は0.907と高かった。

この結果は、肉ばなれの予防に使えるのか?

使えない。断面積と筋力の関係を見ただけで、怪我との関係は調べていない。論文も、断面積だけでリスクを判断しないよう求めている。

上側の太ももは、筋力と関係がないのか?

この研究では、有意な関係は見られなかった。ただし、上側は筋が細く、半膜様筋以外は測れなかった。関係がないとは言い切れない。

家で自分のハムストリングの断面積は測れるのか?

測れない。超音波の装置と、訓練を受けた検者が必要である。巻き尺で測る太もも周りは、脂肪も含むため、断面積とは別の値になる。

KINNIKU TIMESの視点:ハムストリングは太さと種目選びの両面で考える

今回の論文は、ハムストリングの太さが、膝を曲げる力の大きな部分を説明することを示した。ジムの記録では、この考え方が役に立つ。

ただし、論文は種目や回数を比べたものではない。ここからは、論文を読んだ編集部の整理であり、個別の指導ではない。

  • 脚の日は、スクワット系に加えて、膝を曲げる種目を入れる
  • 半腱様筋と半膜様筋は、膝を曲げる動きでも働く
  • 重量は無理に追わず、毎回同じ動きで記録を残す
  • 痛みがある日は、重い重量を避ける

迷ったら、脚の日にレッグカールのような種目を1つ足すとよい。向かない人もいる。ハムストリングに痛みや違和感がある人は、自己判断で重さを上げず、医療機関に相談したい。

種目の選び方は、ハムストリングを鍛える種目の記事で書いた。スクワットの深さと筋肥大の関係は、フルとハーフの比較記事が参考になる。お尻の筋肉との違いは、ヒップスラストとスクワットの比較記事も読める。

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脚の筋トレ記事で、ハムストリングの種目を確かめる
同じサイト内の記事です。無料で読めます(2026年11月確認)


出典

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