メンズフィジークのポージング、規定4方向とウォーキングを団体別に解説
メンズフィジークのポージングを、IFBB規則、JBBFの競技ルールマニュアル、FWJとSSAの公式ページから解説する。クォーターターン4方向の手・脚・上半身の形、Iウォーク、団体ごとの違い、審査員の着眼点、練習のポイントをまとめた。
メンズフィジークのポージングの基本は、フロント・サイド・バック・サイドの4方向を右回りで見せる「クォーターターン」だ。JBBFは歩いて登場するIウォークを加え、FWJはフロントとバックの2ポーズで審査する。
2026年10月21日 公開|KINNIKU TIMES 編集部
メンズフィジークは、ボディビルのような力強い規定ポーズを取らず、腰に手を当てた立ち姿で体の形とバランスを比べる競技である。立ち方が単純に見えるぶん、手の位置、重心、上半身のひねり方の差がそのまま見た目の差になる。本記事は、国際団体IFBBのメンズフィジーク規則(2024年版)、公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟(JBBF)の2026年度版競技ルールマニュアル、FWJとサマースタイルアワード(SSA)の公式ページを10月21日時点で確認し、ルールに書かれている動き方と審査の着眼点をまとめた。
メンズフィジークのポージングは団体でどう違うのか
まず、審査の流れと規定のポーズを団体別に比べる。IFBBとJBBFは4方向のクォーターターン、FWJは2方向、SSAは4方向に加えて各方向での自由な動きを認める。
| 団体 | 規定のポーズ | ウォーキング | 審査の流れ |
|---|---|---|---|
| IFBB | クォーターターン(フロント→右→バック→右→フロント) | 規則に個人ウォーキングの記載なし | 予選(15人超で選抜ラウンド)→ラウンド1で比較審査→上位6人が決勝ラウンド2(クォーターターンを番号順と逆順で2回) |
| JBBF | クォーターターン(フロント・左サイド・バック・右サイド) | 予選・決勝ともIウォーク(予選は進行によりクォーターターンのみの場合あり) | ピックアップ(12人以下は行わない)→予選で上位6人を選出→決勝で6人の順位付け |
| FWJ | フロントとバックの2ポーズ(プラスクラスはダブルバイセップスを加えた4ポーズ) | 入場時にセンターラインでフロント・バック・ボディビルポーズ(可)のプレゼンテーション | 規定ポーズ以外の動きや過度なムービングは減点 |
| SSA | フロント・サイド(左右)・バックの規定ポーズを右回りで | 部門ページに記載なし | 各方向で規定ポーズを取った後、次のアナウンスまでその向きで自由にムービング可 |
JBBFのマニュアルはポーズ図に「IFBBルールより」と記しており、基本の形はIFBBと共通である。FWJとSSAは独自の規定を持つため、出場する団体の規定に合わせて練習を変える必要がある。
クォーターターンの4方向、それぞれのポイント
IFBBの規則の付録1と、JBBFのマニュアルの「ポーズのポイント」から、各方向の立ち方を整理する。
| 向き | IFBB規則の記述 | JBBFマニュアルの記述 |
|---|---|---|
| フロント | 片手を腰に当て、4本の指を体の前に置く。片脚を少し横へ。もう一方の手は体の横に下ろし、肘を軽く曲げ、手のひらを開いて指をそろえる。膝は伸ばし、腹筋と広背筋を軽く締める | 腰に当てる手は親指以外の4本の指が見えるように添える。重心は片方の足に乗せる |
| サイド(左側を審査員に向ける) | 上半身を少し審査員側に向け、顔は審査員を見る。左手を左腰に、右腕は体の中心線より少し前に下ろす。審査員に近い左脚は膝を軽く曲げて足裏を床につけ、遠い右脚は膝を曲げて後ろへ引き、つま先立ち | 左手を腰に当て右足を後ろに引き、骨盤を横に向けたまま上半身をひねる。顔は正面。上半身を極端に傾けたり、正面を向きすぎたりしない |
| バック | 片手を腰に当て、もう一方の手は体の横に下ろす。片脚を少し後ろ・横へ引いてつま先立ち。広背筋は軽く締め、頭を上げる | 重心は片足に乗せ片手を腰に当てる。広背筋や僧帽筋に必要以上に力を入れず、両肩が上がりすぎたり、上体が反りすぎたりしないように |
| サイド(右側を審査員に向ける) | 左サイドの左右を入れ替えた形 | 右手を腰に当て左足を後ろに引く。上半身はレフトサイドと同様 |
IFBBの規則は、フロントとバックでは広背筋を「ボディビルダーのような最大収縮ではなく、自然に」見せるよう求めている。クォーターターンの間は動かずに静止することも明記されており、注意を受けても正しく立たない選手にはイエローカード、続ければレッドカードが出され、1枚ごとに順位が1つ下げられる。ステージ上でガムをかむことや飲み物を飲むことも禁じられている。
JBBFのIウォークとは
JBBFは、メンズフィジークの予選と決勝で、クォーターターンの前にIウォークを行う。マニュアルのビキニフィットネスの項では、IウォークについてIFBBルールから抜粋し、早すぎず遅すぎないペースで、優美な動きと自然なリズムでラインナップの位置まで自己表現するよう説明している。メンズフィジークの審査ポイントにも「スマートなウォーキングとバランスがとれたポージング」が挙がっている。なお予選のIウォークは、進行の状況によりクォーターターンのみになる場合がある。
FWJとSSAのポージングのルール
FWJはフロントとバックの2ポーズ
FWJのメンズフィジークのページによると、審査は規定2ポーズ(フロント、バック)で行う。片手を腰に添える、両手とも添える、両腕とも下ろすなど、自分の体に合ったポーズを取ることを推奨している。一方で、ムービング(過度な動き)や規定ポーズ以外の動きは減点、宙返りやバック転のような体操の動きは禁止だ。入場時のプレゼンテーションでは、センターラインでフロント、バックの順にポーズを取り、3つ目はボディビルポーズでもよい。プラスクラスだけは、フロントとバックのダブルバイセップスを加えた4ポーズが規定になる(脚の前後は不要で、パンツを上げて太ももを見せる必要もない)。
SSAは右回り、規定ポーズの後に自由な動き
SSAのフィジーク部門では、各方向の規定ポーズのアナウンスの後に、その向きの規定ポーズをいったんしっかり取ることが必須とされる。その後は次のアナウンスまで、その向きで自由にムービングやポージングをしてよい。規定ポーズは右回りで、左回りは減点対象、1ポーズ目に規定と違うポーズを取ることも減点になりうる。フロントは、肩幅より少し広く足を開き、左右どちらかに重心を7対3で乗せ、重心と反対側の手を腰に置く。サイドはへそを真横に向けたまま奥の肩が見えるように体をひねり、バックは肩幅より少し広く立って広背筋に力を入れ、顔は後ろを向いたまま少しあごを引く。ステージでの振る舞いについては、スタイリッシュガイ部門やスポーツモデル部門と違い「男らしく勇ましく、その中でも落ち着きあるパフォーマンス」を求めている。
審査員はメンズフィジークのどこを見るのか
IFBBの規則の付録2は、太もも以外の全身を評価対象とし、髪、全体の発達と形、バランスと左右対称性、肌の状態とトーン、自信をもって優雅に自分を見せる力を挙げる。縦のプロポーション(脚と上半身の長さ)と横のプロポーション(腰・ウエストと肩幅)が鍵とされ、筋肉が多すぎる、硬すぎる、乾きすぎ、絞りすぎの体は減点しなければならない。「これはボディビルの大会ではない」とわざわざ書かれている点が、この競技の性格をよく表している。評価は、ステージに歩いて上がった瞬間から降りるまでの全体で行われる。
JBBFのマニュアルも、トータルパッケージでの審査、広い肩幅と丸み、引き締まった細いウエスト、ウエストから広がる広背筋、無駄な脂肪がないことを挙げる。具体的な着眼点として、前腕を含め腕が太すぎない、細いウエストから直線的に広がる背中、胸の厚みがありすぎない、ミッドセクションがはっきりして溝が深い、シンメトリーがしっかりしている、の5つを示す。過度に発達した筋肉、姿勢の悪さ、ステージ上のマナーの悪さは減点の対象になりうる。
ポージングの練習法
ルールの記述から、練習で押さえたい点を挙げる。
- 回る順番を体に覚えさせる。IFBBとSSAは右回りと明記し、JBBFもフロントの次にレフトサイド(左側を審査員に向ける)を置く。SSAは左回りを減点としている。フロント→左サイド→バック→右サイド→フロントの順を、号令に合わせて迷わず回れるようにする。
- 手と指の形をそろえる。腰に当てる手は親指以外の4本の指が見えるように、下ろす手は手のひらを開いて指をそろえる。小さな違いだが、IFBBの規則にもJBBFのマニュアルにも書かれている。
- 静止する時間を作る。IFBBはクォーターターンの間は動かないことを求め、FWJは過度なムービングを減点とする。ポーズを決めたら呼吸を整えて止まる練習をしたい。
- 力みすぎない。バックで広背筋や僧帽筋を締めすぎる、肩が上がる、上体が反るといった形は、JBBFのマニュアルが注意点として挙げている。
- 審査員の位置から撮る。正面と左右から動画を撮り、骨盤の向きと上半身のひねりが記述どおりになっているかを確かめる。
オリンピア3連覇のフランク・ゼインは毎日のポーズ練習を勧めている(フランク・ゼインのポーズ練習の記事)。初めて大会に出る人は初めてのフィジーク大会の記事で準備の流れを、服装はサーフパンツ規定の記事で確認してほしい。
よくある質問
メンズフィジークにフリーポーズはありますか
IFBBとJBBFのメンズフィジークには、ボディビルのような音楽に合わせたフリーポーズのラウンドはない。決勝もクォーターターン(JBBFはIウォークとクォーターターン)で審査される。SSAは各方向で規定ポーズを取った後に、その向きでの自由な動きを認めている。
フロントで両手を腰に当ててもいいですか
FWJは片手、両手、両腕を下ろすなど、体に合ったポーズを推奨している。IFBBとJBBFの記述は片手を腰に当てる形である。団体ごとに違うため、出場する大会の規定に合わせたい。
サイドポーズで顔はどこを向きますか
IFBBの規則は、上半身を少し審査員側に向け、顔は審査員を見るとしている。JBBFのマニュアルも「顔の向きは正面」と書く。SSAも顔は正面を向くとしている。
筋肉が大きすぎると不利になりますか
IFBBは筋肉が多すぎる体や硬すぎる体を減点するよう定め、JBBFも過度に発達したマッスル感は減点の対象になりうるとしている。より大きな体の選手向けに、IFBBとJBBFにはマスキュラーメンズフィジークという区分もある。
KINNIKU TIMESの視点
メンズフィジークのポーズは、ボディビルに比べて種類が少ない。そのため初心者は「立っているだけ」と考えがちだが、ルールを読むと、指の見せ方、重心の置き方、骨盤と上半身のひねり、広背筋の力の入れ具合まで細かく決められている。種類が少ないからこそ、一つひとつの完成度で差がつく競技だといえる。
日本で出場できる団体は複数あり、規定のポーズは同じではない。JBBFやIFBB系の大会ではクォーターターンを静かに正確に、FWJではフロントとバックの2ポーズで自分の体に合う手の位置を、SSAでは規定ポーズの後の自由な動きまで準備しておく必要がある。編集部の助言は、まず出場する団体を決め、その団体の公式ページやマニュアルの写真と見比べながら、審査員の位置から撮った動画で毎日確認することだ。体型の目安を知りたい人はメンズフィジークの体重制限の記事やFFMI計算も役に立つ。
出典
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