【研究で検証】脂肪燃焼は20分からは嘘?分けて運動しても効果はある
「運動は20分以上続けないと脂肪燃焼が始まらない」という説は、正確ではありません。運動を始めた直後から、脂肪も糖もエネルギーとして使われていて、その割合が運動の強さや時間によって少しずつ変わっていくだけです。また、同じ合計時間なら、続けて行っても、10分ずつなどに分けて行っても、健康への効果はほぼ変わらないという研究のまとめがあります。体脂肪を減らしたいなら、「20分」にこだわるより、1日の活動量の合計と食事を見直すことが大切です。
「20分説」のよくある誤解と、研究でわかっていること
- 20分たつまでは糖だけを使う
- 20分を過ぎると急に脂肪が燃え始める
- 短い運動を分けて行っても意味がない
- 最初から脂肪も糖も使われている
- 使う割合は強さや時間で少しずつ変わる
- 合計時間が同じなら、分けても効果はほぼ同じ
「脂肪燃焼は20分から」は嘘?何が誤解なのか
体は運動中、主に糖(炭水化物)と脂肪をエネルギーとして使っています。「20分」という数字がひとり歩きしていますが、ある時間を境に脂肪の利用が急に始まるわけではありません。研究でわかっていることを整理すると、次のとおりです。
| 研究 | わかったこと(要約) |
|---|---|
| 運動の強さ・時間と、脂肪・糖の使われ方(Romijnら, 1993) | 強さが上がるほど糖の利用が増えた。体脂肪の分解は軽い強さで最も高かった。同じ強さで2時間運動すると、血液中から運ばれる脂肪などの利用が時間とともに少しずつ増えた |
| 脂肪の利用を高める運動と食事のまとめ(Achten・Jeukendrup, 2004) | 運動の強さと時間は、脂肪がどれだけ使われるかを決める大事な要素。脂肪の利用は軽い〜中くらいの強さで増え、強くなりすぎると減る |
つまり、運動を続けるほど脂肪を使う割合が少しずつ増えることはあっても、「20分未満ではまったく脂肪が使われない」ということではありません。小さな研究(Romijnらの研究は鍛えた5人が対象)もふくまれるため、数字をそのまま一般の人に当てはめることもできません。
短い運動を分けても効果はある?研究でわかっていること
「続けて30分」と「10分×3回」のように、同じ合計時間を1回で行う場合と分けて行う場合を比べた研究もあります。
| 研究 | 対象と方法 | 結果(要約) |
|---|---|---|
| 研究のまとめ(Murphyら, 2019) | 19研究・1,080人。同じ強さ・合計時間で、1回で行う場合と1日の中で分けて行う場合を比較 | 体力、血圧、血中の脂質、インスリン、血糖では差がなかった。体重の変化は、分けて行うほうがわずかに大きかった(-0.92kg、5研究) |
| 体重が多めの女性の試験(Jakicicら, 1995) | 56人を20週間、1日1回で行う群と10分ずつ分けて行う群に分けた | 分けて行う群は運動した日数が多かった。体重の減り方も大きい傾向だったが、統計的にはっきりした差ではなかった |
Murphyらは、「大人は1回で続けて行っても、短い時間に分けて行っても、同じような健康効果が得られる可能性が高い」とまとめています。忙しくてまとまった時間がとれない人は、10分ずつでも体を動かす意味があると考えてよいでしょう。
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」も、成人に歩行と同じ程度以上の身体活動を1日60分以上(1日約8,000歩以上)行うことをすすめており、運動だけでなく家事や通勤などの生活の中の活動もふくめて考えています。
体脂肪を減らすために大切なこと
運動中にどれだけ脂肪が使われたかと、体脂肪が実際に減るかどうかは、同じではありません。運動中に糖を多く使っても、1日全体や長い期間で見て、とるエネルギーより使うエネルギーが多ければ体脂肪は減っていきます。
| 見直すこと | 公的な目安・ポイント |
|---|---|
| 1日の活動量の合計 | 成人は歩行と同じ程度以上の活動を1日60分以上(厚生労働省)。短い時間の積み重ねでもよい |
| 筋力トレーニング | 週2〜3日(厚生労働省)。有酸素性の活動と組み合わせるとさらに健康効果が期待できるとされている |
| 座りすぎ | 座りっぱなしの時間が長くなりすぎないように注意する(厚生労働省) |
| 食事 | とるエネルギーの量を見直す。極端な制限は避ける |
食事と運動を自分だけで調整するのが難しい人は、食事のアドバイスと運動の両方を受けられるパーソナルジムを使う方法もあります。サポート内容や料金の違いはダイエット向けパーソナルジムのおすすめで比べています。
運動の強さの目安と注意点
Achten・Jeukendrupのまとめでは、運動中の脂肪の利用が最も高くなる強さは、一般の人では最大酸素摂取量の47〜52%程度だったと紹介されています。ただし、これは運動中の燃料の割合の話で、その強さで運動すれば体脂肪がいちばん減るという意味ではありません。
- 厚生労働省のガイドは、全身持久力を高める運動として、主観的に「ややきつい」と感じる程度の強さをすすめています。
- 運動の前に体調を確かめ、胸の痛み、動悸、めまい、強い空腹感やふるえなどが出たら、すぐに中止しましょう(厚生労働省)。
- 心臓病・高血圧・糖尿病などの持病がある人、ひざや腰に痛みがある人、妊娠中の人は、運動を始める前に医師に相談してください。
よくある質問
20分未満の運動は意味がないのですか?
意味がないわけではありません。研究のまとめでは、同じ合計時間なら分けて行っても健康効果はほぼ同じとされています。厚生労働省のガイドも、生活の中の短い活動をふくめて1日の活動量を考えています。
空腹で運動すると脂肪がよく燃えますか?
Achten・Jeukendrupのまとめでは、運動前に炭水化物をとると運動中の脂肪の利用が下がり、6時間以上何も食べていないと高まると紹介されています。ただし、運動中の脂肪の利用と体脂肪の減り方は別の話です。空腹での運動はふらつきや低血糖につながることがあり、糖尿病の薬を使っている人は特に注意が必要なので、医師に相談してください。
有酸素運動と筋トレ、どちらを先にすればいいですか?
順番による体脂肪の減り方の違いについて、はっきりした結論は今回確認できませんでした。厚生労働省は、筋トレと有酸素性の活動を組み合わせることをすすめています。続けやすい順番で行いましょう。
脂肪燃焼に最適な心拍数はありますか?
脂肪の利用が最も高くなる強さには個人差があり、研究では最大酸素摂取量に対する割合で示されています。誰にでも当てはまる心拍数の数字はないため、「ややきつい」と感じる程度を目安にしましょう。
1日何分運動すればいいですか?
厚生労働省は、成人に歩行と同じ程度以上の身体活動を1日60分以上、高齢者には40分以上を目安として示しています。いまより少しでも多く体を動かすことから始めましょう。
出典
- Romijn JA, et al. Regulation of endogenous fat and carbohydrate metabolism in relation to exercise intensity and duration. Am J Physiol. 1993
- Achten J, Jeukendrup AE. Optimizing fat oxidation through exercise and diet. Nutrition. 2004
- Murphy MH, et al. The Effects of Continuous Compared to Accumulated Exercise on Health: A Meta-Analytic Review. Sports Med. 2019
- Jakicic JM, et al. Prescribing exercise in multiple short bouts versus one continuous bout. Int J Obes Relat Metab Disord. 1995
- 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」
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