【手順と注意点】リフォーマーのチェストエクスパンションのやり方|効く場所
リフォーマーのチェストエクスパンションは、キャリッジ(動く台)の上でひざ立ちになり、ストラップを持った両腕を体の横から後ろへ引き、そのまま顔を左右に向けてから戻す種目です。胸の前を開き、背中の上のほうと腕の後ろ側を使う練習として、レッスンに入ることが多い種目です。スプリングは軽めで行うのが一般的で、ひざや肩に痛みがある人は無理をせず、持病や痛みがある人は医師に相談してください。
チェストエクスパンションの流れ(基本の形)
チェストエクスパンションとは?どんな種目か
チェストエクスパンション(Chest Expansion)は、英語で「胸を広げる」という意味の名前のとおり、胸の前を開きながら腕を後ろへ引く種目です。リフォーマーでは、キャリッジにつながるストラップ(持ち手)を使い、スプリングの重さに逆らって腕を動かします。
ピラティスは、体幹の安定・筋力・柔軟性・筋肉のコントロール・姿勢・呼吸を意識する運動と整理されていて、マットだけでなく専用の器具を使うこともあるとされています(Wellsら, 2012)。チェストエクスパンションは、そのうち「姿勢」と「腕を動かしても体がぶれないコントロール」を練習しやすい種目です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 姿勢 | キャリッジの上でひざ立ち(ストラップの付いている側を向く) |
| 動き | 腕を伸ばしたまま後ろへ引き、顔を左右に向けてから腕を戻す |
| 主に意識する場所 | 背中の上のほう、肩の後ろ側、腕の後ろ側、胸の前の広がり |
| 体幹の役割 | 腕を引いても上体が後ろに倒れないよう、おなかで支える |
| スプリング | 軽めにすることが多い(スタジオによって違う) |
| ほかの形 | マットの上で立って、バンドを使って行うやり方もある |
基本のやり方(5つの手順)
キャリッジは動く台なので、乗り降りや姿勢づくりは落ち着いて行いましょう。初めてのときは、インストラクターにスプリングの強さとひざの位置を決めてもらうと安心です。
- ひざ立ちになる:ストラップの付いている側を向いて、キャリッジの上にひざ立ちになります。ひざは腰幅に開き、太ももを床に対してまっすぐ立てます。ひざが痛い場合は、マットやタオルを敷けるかを聞いてみましょう。
- ストラップを持つ:両手でストラップの持ち手を持ち、腕を体の前に下ろします。この時点でストラップが少し張るように、ひざの位置を前後に調整します。
- 腕を後ろへ引く:息を吸いながら、ひじを伸ばしたまま、腕を体の横を通して後ろへ引きます。肩をすくめず、胸の前が広がる感覚を意識します。腰を反らせて腕を引かないようにしましょう。
- 顔を左右に向ける:腕を後ろに保ったまま、顔を右に向け、左に向け、正面に戻します。首だけを回し、胸や骨盤は正面に向けたままにします。
- ゆっくり戻す:息を吐きながら、スプリングに引っぱられないよう、ゆっくり腕を前へ戻します。次は顔を左から向けて、左右を交互に数回くり返します。
| 確かめるところ | 目安 |
|---|---|
| 上体 | 腕を引いても、頭からひざまでがほぼ一直線のまま |
| 腰 | 反りが強くならない。おなかを軽く引き込んで支える |
| 肩 | 耳から遠ざけるように下げている |
| 腕 | ひじを曲げず、手のひらは体のほうか後ろへ向けている |
| 首 | 顔を向けるとき、あごが上がったり下がったりしない |
| 戻し | キャリッジやストラップが勢いよく戻らない |
よくある間違いと、やさしい形への変え方
チェストエクスパンションは動きが小さく見えますが、腕を後ろへ引くときに腰や首でがんばってしまう人が多い種目です。次の表で自分の形を確かめてみましょう。
| よくある間違い | 起こりやすいこと | 直し方 |
|---|---|---|
| 腰を反らせて腕を引く | 腰に負担を感じやすい | 腕を引く幅を小さくし、おなかで上体を支える |
| 上体が後ろに倒れる | ひざや太ももの前が疲れる | スプリングを軽くするか、ひざの位置を調整する |
| 肩がすくむ | 首や肩が張る | 肩を下げ、わきの下から腕を動かす意識を持つ |
| 顔と一緒に胸も回る | 体がねじれ、ぐらつく | 胸と骨盤は正面に残し、首だけを回す |
| 戻しが速い | キャリッジが大きく動き、姿勢がくずれる | 吐く息に合わせて、戻すほうをゆっくりにする |
ひざ立ちがつらい人は、リフォーマーの横に立ってストラップを持つ形や、マットの上で立ってバンドを使う形にかえて練習する方法もあります。顔を左右に向けるのがつらい場合は、腕の動きだけで行っても構いません。
マシンの種目を、形を見てもらいながら練習したい人は、スタジオ選びも大切です。マシンピラティスのスタジオはマシンピラティスのおすすめで比べています。
期待できることと、研究でわかっていること
チェストエクスパンション1種目だけの効果を調べた研究は見当たりません。そのため、ここではリフォーマーを使ったピラティス全体の研究を紹介します。
- 運動習慣のない若い女性24人を対象にした小さな研究では、リフォーマーを使ったピラティスを12週間(12回)行ったグループで、肩甲骨まわりを支える筋肉と腰の筋肉の筋力が上がったという結果でした(Dos Santosら, 2017)。ただし人数が少ない予備的な研究です。
- ピラティスと姿勢の研究をまとめた分析では、子どもや10代では背中や腰の角度に改善が見られたとする中程度の確かさの結果があった一方、大人については確かさが低く、さらに研究が必要とされています(Roqueら, 2024)。
「この種目で姿勢がよくなる」とは言い切れませんが、胸を開いて背中で腕を引く感覚をつかむ練習としては取り入れやすい種目です。厚生労働省は、大人に筋力トレーニングを週2〜3日行うことをすすめています(健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023)。
- 肩・首・ひざに痛みやしびれがある人、手術を受けたことがある人は、始める前に医師に相談してください。
- 妊娠中・産後の人は、ひざ立ちの姿勢やスプリングを使う運動について、医師に相談してから行いましょう。
- 途中で痛みや強い違和感が出たら、すぐに中止してインストラクターに伝えてください。
よくある質問
スプリングはどのくらいの強さにしますか?
スタジオやマシンによってスプリングの色や強さが違うため、決まった答えはありません。一般的には軽めで行うことが多く、上体が後ろに倒れたり腰が反ったりするなら軽くします。初めてのときはインストラクターに決めてもらいましょう。
マットでもチェストエクスパンションはできますか?
できます。立った姿勢でバンドを使い、腕を後ろへ引いて顔を左右に向ける形がよく使われます。キャリッジが動かないぶん、ひざ立ちのバランスに気をとられず、腕と胸の動きに集中しやすくなります。
猫背や巻き肩に効果がありますか?
この種目だけで姿勢が変わるとは言えません。ピラティスと姿勢の研究では、大人について確かさの低い結果が多いとされています。肩や首の痛みがある場合は、運動の前に医師に相談してください。
ひざが痛くてひざ立ちができません。
ひざの下にパッドやタオルを置ける場合もありますが、痛みがあるなら無理をしないでください。立って行う形や座って行う形にかえられることもあるので、インストラクターに相談しましょう。痛みが続くときは医師に相談してください。
出典
- Wells C, et al. Defining Pilates exercise: a systematic review. Complement Ther Med. 2012
- Dos Santos NT, et al. Increased strength of the scapular stabilizer and lumbar muscles after twelve weeks of Pilates training using the Reformer machine: A pilot study. J Bodyw Mov Ther. 2017
- Roque GC, et al. Are Pilates Exercises Effective in Improving Postural Misalignment? Systematic Review and Metanalysis. Musculoskeletal Care. 2024
- 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」
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