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【魚の脂と筋肉】EPA・DHAの研究と魚定食11品の公式値

公開 ・ 筋メシナビ編集部 ・ 読了目安 14分
魚の脂と筋肉の話で例にした、大戸屋のしまほっけの炭火焼き定食。栄養学と外食の脂質
SUMMARY|この記事の要約
魚の脂(EPA・DHA)と筋肉の研究は、高齢者で上昇の報告がある一方、若い人の試験は条件で結果が分かれ、メタ分析の一部では有意な効果が見られません。個別の試験はすべて補給の試験です。やよい軒・大戸屋・すき家・松屋の魚の定食11品(抜粋・標準サイズ)は、脂質が8.8〜47.4g、食塩相当量が3.5〜7.1gでした。

魚の脂(EPA・DHA)は筋肉に関係するのかを、査読論文と厚生労働省の資料を実際に開いて確認しました。あわせて、魚の定食を外食で選ぶときの脂質・たんぱく質・塩分を、各社公式の栄養成分表で並べます。

外食の数字は2026年10月に確認した公式値で、価格は店舗により異なります。サプリメントの試験結果を、魚の定食を食べた場合の効果として書くことはしません。

魚の脂(EPA・DHA)と筋肉の研究は対象で結果が割れており、魚の定食を食べた効果を示すものではありません。

  • 高齢者の試験には筋量・筋力の上昇の報告があり、若い人の試験は条件で結果が分かれました
  • 紹介した個別の試験はすべて、サプリや製剤を飲む補給の試験です
  • 魚の定食11品(4チェーンの抜粋・標準サイズ)は、脂質が8.8〜47.4gと幅があります
  • 定食のEPA・DHA量は公式データにないため、この記事では書けません

主なメニューの栄養成分を調べる

チェーンとメニューを選ぶと、公式のたんぱく質・脂質・塩分をそのまま確認できます。

魚の脂と筋肉の話で例にする、大戸屋のしまほっけの炭火焼き定食
画像:大戸屋公式サイト 商品ページより。この記事の公式値の表に入れた魚の定食の一つです。

魚油サプリの試験は、条件によって筋肉への結果が分かれる

EPA・DHAは、n-3系脂肪酸のうち魚の脂に多く含まれる成分です。筋肉との関係を調べた研究は、魚油などのカプセルを一定期間飲んでもらう形のものが目立ちます。この記事で個別に紹介する試験は、すべてこの補給の試験です。

ここでは、アブストラクトを開いて確認できた試験だけを紹介します。確認できなかった量や年齢は「確認できていません」と書きます。

高齢者の試験:筋肉の合成反応や筋量・筋力が上がった報告

Smithらの2011年の試験(Am J Clin Nutr)は、健康な高齢者16人が対象です。n-3サプリメントかコーン油に無作為に割り付け、8週間続けました。

安静時の筋たんぱく質合成は変わりませんでした。アミノ酸とインスリンを点滴した条件では、n-3群で合成が大きく上がりました。1日の量と年齢は、アブストラクトでは確認できていません。

同じ研究室の2015年の試験は、60〜85歳の健康な男女60人が対象です。n-3群40人とコーン油群20人に分け、6か月続けました。完了は44人で、16人が途中でやめています。

  • 大腿の筋肉量: コーン油群より+3.6%(95%信頼区間0.2〜7.0%)
  • 握力: +2.3kg(95%信頼区間0.8〜3.7kg)
  • 1回挙上の筋力: +4.0%(95%信頼区間0.8〜7.3%)
  • 等速性の出力: +5.6%(P=0.075)。信頼区間は0をまたぎ(−0.6〜11.7%)、有意とは言えません

1日の量は、この抄録では確認できていません。対象は健康な高齢者で、トレーニング経験は確認できていません。

若い人の試験:点滴条件では上昇、運動後の条件では有意差なし

Smithらの2011年の別の報告(Clin Sci)は、25〜45歳の9人が対象です。Lovazaという製剤を1日4g、8週間飲みました。アミノ酸とインスリンを点滴した条件で、筋たんぱく質の合成が上がったと報告しています。

この抄録には、無作為割り付けや対照群の記載がなく、人数も9人です。結果は参考にとどまります。

McGloryらの2016年の試験(Physiol Rep)は、若い健康な男性20人が対象です。魚油かココナッツ油を1日5g、8週間飲みました。魚油のEPA・DHA量は、抄録では確認できていません。

運動とたんぱく質摂取のあとの筋線維たんぱく質の合成は、両群で上がりました。サプリメントの影響は見られませんでした。一方、運動後のシグナルの一部は、魚油群で上がりにくい結果でした。20人の試験なので、「差がない」とは言い切れません。

研究 対象 量・期間 結果
Smith 2011 AJCN 高齢者16人 量不明・8週 点滴で上昇。安静時不変
Smith 2015 AJCN 60〜85歳60人 量不明・6か月 筋量・握力が上昇
Smith 2011 Clin Sci 25〜45歳9人 4g/日・8週 点滴で上昇
McGlory 2016 若い男性20人 5g/日・8週 運動後は有意差なし
※4g/日はLovaza(製剤)の量、5g/日は魚油の量で、どちらもEPA・DHAだけの量ではありません。Smith 2011 AJCNは雑誌名の略称です。

メタ分析では、筋力に改善の報告があり、筋量は結果が割れる

個々の試験は人数が少ないため、複数の試験をまとめたメタ分析も確認しました。対象が高齢者中心である点に注意が必要です。

論文 対象 主な結果
Huang 2020 高齢者のRCT10件 筋量+0.33kg
Cornish 2022 55歳以上16研究 筋量は有意差なし
Therdyothin 2025 8研究・成人 筋合成は有意差なし
※Huang 2020はNutrients誌、Cornish 2022もNutrients誌、Therdyothin 2025はNutrition Reviews誌です。

高齢者対象: 筋量は割れ、下肢の筋力と動作は改善の報告

Huangらの2020年のメタ分析は、高齢者を対象にした10件の試験を集めました。文献は2018年7月まで検索しています。筋量は+0.33kg(95%信頼区間0.05〜0.62kg)で、小さな改善と報告しました。

サプリの量が1日2g超の試験に絞ると、筋量は+0.67kgでした。立ち上がって歩く動作の時間も、0.30秒短くなったと報告しています。

Cornishらの2022年のメタ分析は、55歳以上の2,438人を含む16件を解析しました。除脂肪量は、標準化平均差0.09(95%信頼区間−0.10〜0.28)で、有意な効果は見られませんでした。

一方、下肢の筋力は標準化平均差0.54(95%信頼区間0.33〜0.75)で、改善と報告されています。この解析は、筋トレを併用した試験も含めてまとめた結果です。

筋たんぱく質合成のメタ分析: 有意な効果は見られなかった

Therdyothinらの2025年のメタ分析は、8件の試験を集め、筋たんぱく質合成は6件で解析しました。健康な成人と臨床集団が対象です。

結果は標準化平均差0.03(95%信頼区間−0.35〜0.40)で、有意な効果は見られませんでした。年齢・量・期間で分けても同じ傾向でした。全身のたんぱく質合成は、3件の解析で上昇と報告されています。

メタ分析の抄録では、測定条件の内訳は確認できていません。個別の試験の結果とは単純に比べられません。結果が割れていることが、現時点の確認結果です。

国の目安量は男性2.2〜2.3g、女性1.7〜2.0g。根拠は摂取量の中央値

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」には、n-3系脂肪酸の目安量があります。成人では男性2.2〜2.3g/日、女性1.7〜2.0g/日です。年齢区分ごとの設定で、公式の用語解説ページで確認しました。

この値は、EPA・DHAだけの量ではありません。α-リノレン酸など、n-3系脂肪酸全体の量です。

区分 n-3系脂肪酸の目安量
成人男性 2.2〜2.3g/日
成人女性 1.7〜2.0g/日
※年齢区分ごとの値の範囲です。α-リノレン酸なども含むn-3系脂肪酸全体の量です。

目安量は、筋肉のためではなく摂取量の中央値から決まった

報告書の脂質の章(115ページ)によると、n-3系脂肪酸の必要量を算定するための有用な研究は十分にありません。そこで、現在の日本人の摂取量の中央値を用いて目安量を定めた、と書かれています。

私が確認した115〜117ページには、筋肉をつけるための量の記述は見つかりませんでした。目安量は、筋量を増やす量ではなく、普段の食事から摂っている量の目安です。

※報告書には正誤表(令和7年3月25日)があります。n-3系脂肪酸の項目に関する訂正の有無は、確認できていません。

魚の定食11品を公式値で並べると、脂質は8.8〜47.4gと幅がある

やよい軒・大戸屋・すき家・松屋の公式栄養成分表(2026年10月確認)から、魚が主菜の定食を11品選びました。魚の品をすべて集めたわけではなく、条件で絞った抜粋の11品です。

やよい軒のしまほっけ定食。魚の定食の例
画像:やよい軒公式サイト 商品ページより。この11品のうち、たんぱく質が最も多かった定食です。

条件は次のとおりです。ごはんは白米(すき家は並盛)の標準サイズで、朝食メニューと、公式で期間限定とされた品は除きました。小鉢付きの品も除いています。

肉や納豆との組み合わせは除きました。やよい軒のサバの塩焼としょうが焼、すき家の塩さば牛皿定食、吉野家の牛鮭定食、なす味噌と焼魚の定食です。

魚と野菜のあん・揚げ物も除きました。大戸屋のすけそう鱈と野菜の黒酢あんや、フライ・竜田揚げなどです。

吉野家は、焼魚定食(鮭)が朝食メニュー配下、さんま定食が期間限定、牛鮭定食が肉との組み合わせのため除きました。なか卯とほっともっとは、朝食・期間限定・揚げ物のため除いています。

松屋の炙り焼鮭定食は、公式ページのURLに2026年10月13日を示す数字があります。新商品の可能性があり、期間限定かどうかはデータでは確認できません。

脂質の少ない順に並べた、魚の定食11品の栄養成分

品名 たんぱく質 脂質 食塩相当量
大戸屋 メヌケ 39.1g 8.8g 7.1g
すき家 鮭 23.5g 10.6g 4.6g
大戸屋 ほっけ 45.5g 13.1g 5.4g
やよい軒 さんま 35.4g 13.4g 3.5g
やよい軒 ほっけ 50.7g 21.3g 4.2g
すき家 さば 24.4g 23.0g 3.7g
松屋 炙り鮭 26.7g 23.1g 5.6g
やよい軒 さば味噌煮 30.4g 24.9g 4.3g
大戸屋 さば味噌煮 36.9g 26.9g 3.9g
やよい軒 さば塩焼 32.9g 35.1g 3.8g
大戸屋 さば炭火焼 35.9g 47.4g 4.5g
※正式名は、すき家「鮭定食」「さば定食」(並盛)、大戸屋「しまほっけの炭火焼き」「さばの味噌煮」「さばの炭火焼き」(ご飯は白ご飯)、やよい軒「さんまの塩焼定食」「しまほっけ定食」(白米)、松屋「炙り焼鮭定食」に加え、大戸屋「メヌケ西京漬け炭火焼き」、やよい軒「サバの味噌煮定食」「サバの塩焼定食」です。
大戸屋のさばの炭火焼き定食。脂質が高い魚の定食の例
画像:大戸屋公式サイト 商品ページより。この11品の中で、脂質が最も多かった定食です。

同じ魚でも、定食の脂質は大きく違う

この11品の中で、たんぱく質が最も多いのはやよい軒のしまほっけ定食です。脂質が最も少ないのは大戸屋のメヌケ西京漬け炭火焼きで、たんぱく質は39.1gでした。

すき家では、鮭定食とさば定食が同じ並盛で、脂質が10.6gと23.0gでした。大戸屋の「さばの味噌煮」と「さばの炭火焼き」は、同じさばでも26.9gと47.4gです。

公式データには魚の脂の量が出ていないため、この差の理由は分かりません。付け合わせや調理法の違いも含む、定食1食の値です。

品名 エネルギー 価格
大戸屋 メヌケ 676kcal 1,280円
すき家 鮭 573kcal 630円
大戸屋 ほっけ 612kcal 1,150円
やよい軒 さんま 501kcal 990円
やよい軒 ほっけ 631kcal 1,150円
すき家 さば 688kcal 630円
松屋 炙り鮭 689kcal 800円
やよい軒 さば味噌煮 621kcal 1,090円
大戸屋 さば味噌煮 739kcal 1,260円
やよい軒 さば塩焼 686kcal 1,090円
大戸屋 さば炭火焼 870kcal 1,230円
※価格は店内飲食の税込で、やよい軒は東京都、大戸屋は秋葉原駅前店の表示です。店舗により異なります。大戸屋は定食(白ご飯)の値で、栄養成分ツールの標準表示(単品=おかずのみ)とは異なります。

弱みは脂質・塩分・価格、EPA・DHA量はデータにない

最も脂質が多い大戸屋のさばの炭火焼きは、870kcalで脂質47.4gです。魚の定食は、脂質が低い品と高い品が混ざっています。

食塩相当量は、この11品で3.5〜7.1gの幅です。最も多い大戸屋のメヌケ西京漬け炭火焼きは、脂質が少なくても塩分は7.1gと高い例です。塩分の目安は、既存記事の食塩の解説で扱っています。

基準もそろっていません。松屋は味噌汁込み、大戸屋はご飯・味噌汁・漬物込み、やよい軒は白米1杯分でおかわり分は含みません。すき家は公式の「1食(1品)」の値で、調味料は含みません。

EPA・DHAの含有量は、各社の公式データにありません。そのため、定食の魚から何gのEPA・DHAを摂れるかは、この記事では書けません。

よくある質問

魚の定食を食べれば、筋肉は増えますか?

この記事で確認した研究は、主にサプリメントの試験で、魚の定食を食べた場合の結果ではありません。定食でEPA・DHAを摂った場合の筋肉への影響は、確認できていません。

筋肉は、たんぱく質の量やトレーニングなど、ほかの要因にも左右されます。たんぱく質の目安は、1日のたんぱく質は体重1kgあたり1.6gのメタ分析が参考になります。

試験のサプリと同じ量を、魚の定食で摂れますか?

答えられません。試験の「4g/日」「5g/日」は製剤や魚油の量で、EPA・DHAだけの量ではありません。定食側にも公式のEPA・DHA値がなく、比べる材料がありません。

脂質が高い魚の定食は、どう考えればよいですか?

脂質は1日の総エネルギーに対する割合で目標量が示されています。1食の値の見方は、脂質エネルギー比の記事で解説しています。

持病や服薬があるときは、どうすればよいですか?

抗凝固薬を服用している方、魚や魚介のアレルギーがある方は、食事を変える前に医師・薬剤師に相談してください。持病のある方や妊娠中の方も同様です。この記事は医療的な助言ではありません。

まとめ

魚の脂(EPA・DHA)と筋肉の研究は、高齢者で上昇の報告がある一方、若い人の試験は条件で結果が分かれ、メタ分析の一部では有意な効果が見られません。結果は割れています。紹介した個別の試験はすべて補給の試験で、魚の定食の効果を示すものではありません。

魚の定食11品(4チェーンの抜粋・標準サイズ)は、脂質が8.8〜47.4gと幅があります。EPA・DHA量は公式データになく、記事では書けませんでした。

主なメニューの脂質を見比べる

気になるチェーンの魚の定食は、脂質・塩分・たんぱく質を並べて確認できます。

出典

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