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論文解説・新常識

「効いている筋肉を意識」で力こぶの筋厚が約2倍の伸び。8週間の比較試験

公開 ・ KINNIKU TIMES 編集部 ・ 読了目安 4分
ダンベルを握る男性の腕
SUMMARY|この記事の要約

鍛える筋肉の収縮に意識を向けた群と、動作の結果に意識を向けた群を比較した8週間の試験で、前者の肘屈筋の筋厚は12.4%増と後者の6.9%増を上回った。ただし太ももでは差がみられなかった。

ジムでよく耳にする「効かせる筋肉を意識しろ」という助言に、科学的な裏付けを与えた研究がある。2018年に発表されたランダム化比較試験では、鍛える筋肉の収縮に集中した群の力こぶ(肘屈筋)の筋厚が、8週間でもう一方の群の約2倍増えた。いわゆる「マインドマッスルコネクション」が筋肥大を高める可能性を示した結果である。

ジムでダンベルを持ち腕を鍛える男性
写真はイメージです(Unsplash)

「内的注意」と「外的注意」

運動中にどこに意識を向けるかは、大きく2つに分けられる。筋肉の収縮など自分の体の内側に集中する「内的注意」と、バーベルを挙げるといった動作の結果に集中する「外的注意」である。スポーツの技術学習や発揮できる力では外的注意が有利とされることが多い一方、筋肥大への長期的な影響はこれまで十分に調べられていなかった。

研究デザイン:未経験の男性学生30人

Brad J. Schoenfeld氏、Antonio Paoli氏らの研究チームは、筋トレ未経験の大学生年代の男性30人を無作為に2群に分けた。

意識を向ける対象 人数
内的注意群 鍛える筋肉を収縮させること 15人
外的注意群 挙上動作の結果 15人

両群とも週に3回、連続しない日に8週間トレーニングを行い、各種目を4セット×8〜12回実施した。筋力はアームカールの6RM(6回で限界になる重量)と、膝の伸展・肘の屈曲の等尺性最大筋力で評価し、筋厚は超音波で肘屈筋と大腿四頭筋を測定した。

結果:腕は差がつき、脚は差なし

肘屈筋の筋厚は、内的注意群が12.4%増、外的注意群が6.9%増で、内的注意群が有意に大きく増加した。一方、大腿四頭筋の筋厚の変化は両群で同程度だった。

筋力については、肘屈曲の等尺性筋力は内的注意群、膝伸展の等尺性筋力は外的注意群のほうが大きく伸びたが、いずれも統計的に有意な差ではなかった。研究チームは、この結果が筋肥大を高めるためにマインドマッスルコネクションを用いることを支持するものだと結論づけている。

研究の限界

対象者は各群15人と少なく、筋トレ未経験の若い男性に限られる。期間も8週間と短い。腕では差が出た一方、太ももでは差がみられなかったことから、効果は部位や種目によって異なる可能性がある。小さな筋肉を単関節の種目で鍛える場合には意識を向けやすいが、大きな筋肉が複数関わる動作では同じ効果が得られるかは分からない。筋トレ経験者での検証も今後の課題である。

KINNIKU TIMESの視点

アームカールやサイドレイズのような単関節種目では、重量を挙げることそのものより、鍛えたい筋肉が縮む感覚に集中する価値がありそうだ。反動を使わず、コントロールできる重量で、一回ごとに筋肉の収縮を感じながら行いたい。

一方、スクワットやデッドリフトなどで高重量を扱う場面では、「床を押す」「バーをまっすぐ挙げる」といった外的な意識のほうが、安定した動作と力の発揮につながりやすいとも考えられている。筋肥大を狙う補助種目では内側、記録を狙うメイン種目では外側と、目的に応じて意識の向け方を使い分けるのが現実的である。


出典:Schoenfeld BJ, Vigotsky A, Contreras B, Golden S, Alto A, Larson R, Winkelman N, Paoli A. Differential effects of attentional focus strategies during long-term resistance training. European Journal of Sport Science(2018)