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筋トレで抑うつ症状は減る?不安傾向の女性55人の試験、軽い負荷でも得点43%低下

公開 ・ KINNIKU TIMES 編集部 ・ 読了目安 5分
ジムでバーベルを挙げる女性
SUMMARY|この記事の要約

不安傾向の強い若い女性55人の試験で、最大筋力の70〜80%の負荷で筋トレした群は抑うつ症状の得点が平均54%、20%の軽い負荷の群も43%下がり、両群の差は統計的に有意ではなかった。アイルランドのリムリック大学などの研究チームがJournal of Affective Disordersで報告した。

筋トレの負荷が軽くても、抑うつ症状の得点は大きく下がる可能性がある。アイルランドのリムリック大学(University of Limerick)などの研究チームは、不安傾向の強い若い女性55人を対象に、重い負荷と軽い負荷の筋トレを比べるランダム化比較試験を実施し、学術誌「Journal of Affective Disorders」で報告した。米心理学メディアPsyPostが2026年9月12日に伝えた。

ジムでバーベルを挙げる女性
写真はイメージです(Unsplash)

どんな試験だったのか?

対象は、全般性不安症の診断には至らないものの、その基準に近い不安症状を持つ女性である。定期的な筋トレの習慣はなかった。導入期間の後に2群へ無作為に振り分け、8週間のプログラムを行った。軽い負荷の群は、効果を比べるための「対照(シャム)」として設計されている。

項目 内容
対象者 若い成人女性55人(平均22歳)
期間・頻度 8週間、週2回(1対1の指導付き)
主な種目 スクワット、ベンチプレス、デッドリフトなど
高強度群 最大筋力の70〜80%の負荷
低強度群 同じ種目を最大筋力の20%の負荷で実施
評価 16項目の質問票で抑うつ症状を複数回測定(終了1カ月後も)

抑うつ症状はどれくらい下がった?

抑うつ症状の得点は、両群とも大きく下がった。高強度群のほうが下げ幅はやや大きかったが、群間の差は統計的に有意ではなかった。

指標 高強度群(70〜80%) 低強度群(20%)
抑うつ症状の得点 平均54%低下 平均43%低下
筋力の伸び 41%向上 21%向上

終了から1カ月後の測定でも、両群とも改善はおおむね保たれていた。筆頭著者はダラ・オサリバン(Darragh O'Sullivan)氏である。研究チームは、高強度でも低強度でも筋トレは不安を抱える若い女性の抑うつ症状を大きく減らしうるとし、「何もしないより、何かをするほうがよい」とコメントしている。

なぜ軽い負荷でも効いたのか?

研究者自身も、低強度群の改善幅は「予想を超えていた」と認めている。その理由として、筋トレをしていなかった状態から、週2回・10週間(導入期間を含む)の低強度トレーニングを続けること自体が、生活上の大きな変化だった可能性を挙げた。

また、低強度群でも筋力は21%伸びており、「軽い負荷=何も起きない条件」とは言い切れない。筋力の向上と心理面の変化を切り分けにくい点は、この試験の注意点である。軽い負荷でも筋肉が育つことは、筋肥大の研究でも示されている(筋肥大に重い重量は必要か)。

この研究の限界は?

  • 抑うつ症状は自己記入式の質問票で測っており、参加者の期待が回答に影響した可能性がある。
  • 対象は診断を受けていない若い女性に限られ、男性、高齢者、うつ病や不安症と診断された人に当てはまるかは分からない。
  • 55人と小規模で、指導者と1対1で行う形式が結果に影響した可能性も否定できない。

運動と気分の関係は別の試験でも報告されている(運動と気分・認知機能の試験)。

よくある質問

メンタル面の効果を得るには重い重量が必要?

この試験では、最大筋力の20%の負荷でも抑うつ症状の得点が平均43%下がり、70〜80%の群との差は統計的に認められなかった。

週に何回やればいい?

今回は週2回・1対1の指導付きで行われた。回数の違いによる効果を比べた試験ではないため、最適な回数はこの研究からは分からない。

筋トレでうつ病や不安症は治る?

この試験は診断を受けていない若い女性の症状得点を調べたもので、治療効果を示したものではない。気分の落ち込みや不安がつらい場合は、医療機関に相談してほしい。

KINNIKU TIMESの視点

「重い重量を扱えないなら意味がない」と考えて、筋トレを始められない人は少なくない。今回の結果は、少なくとも気分の面では、軽い負荷から始めても大きな変化が期待できる可能性を示している。まずは週2回、スクワットやベンチプレスなどの基本種目を無理のない重量で続けることが第一歩になる。筋力を伸ばしたいなら、慣れてきた段階で負荷を上げればよい。高強度群の筋力の伸びは低強度群の約2倍だったからである。ただし、症状が重い場合は運動だけに頼らず、専門家の支援を受けることを優先したい。


出典:PsyPost「Weightlifting offers large antidepressant effects for young women with anxiety, regardless of intensity」(2026年9月12日)/O'Sullivan D ほか「Resistance exercise training compared to a low-intensity sham for depressive symptoms in young women with analogue generalized anxiety disorder: A randomized controlled trial」Journal of Affective Disorders(PubMed)/DOI: 10.1016/j.jad.2026.122228