月経周期に合わせた筋トレは必要?女性24人・3周期の試験、筋肥大も筋力も差なし
月経周期の卵胞期か黄体期に練習量を集中させても、女性24人・約12週間の試験で筋肥大と筋力の伸びは通常どおり続けた場合と差がなかった。カナダ・マクマスター大学の研究チームが2026年5月に米国スポーツ医学会誌で報告し、伸びと関連したのは周期より総負荷量だったとしている。
月経周期の前半か後半に練習量を集中させても、筋肥大と筋力の伸びは周期を気にせず続けた場合と差がなかった。カナダ・マクマスター大学のスチュアート・フィリップス(Stuart Phillips)教授らの研究チームが、女性24人を約12週間(月経周期3回分)追跡したランダム化比較試験の結果を、米国スポーツ医学会の学術誌「Medicine & Science in Sports & Exercise」に2026年5月に発表した。
「月経周期に合わせた筋トレ」とは何か
月経周期は、月経開始から排卵までの「卵胞期」と、排卵後から次の月経までの「黄体期」に分かれる。女性ホルモンのエストロゲンが高まる卵胞期は筋肉がつきやすいとの説があり、卵胞期に練習量を増やし、黄体期に減らす「周期に合わせたトレーニング」がSNSなどで勧められてきた。ただし、これを長期間の試験で直接確かめた研究は少なかった。
試験の対象者と方法
対象は月経周期が規則的な21歳前後の女性24人で、筋トレは習慣的に行っていない人である。直近3カ月にホルモン避妊薬を使った人は除外した。1人の左右の脚を別々の条件に割り当てる方法で、次の4条件を各12脚ずつ比較した。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 対照 | トレーニングなし |
| 通常 | 周期に関係なく同じ量を継続 |
| 卵胞期に高ボリューム | 卵胞期は1種目5セット、黄体期は1セット(いずれも週2回) |
| 黄体期に高ボリューム | 上の逆 |
種目は片脚のレッグプレスとレッグエクステンション。周期は尿の排卵検査薬と記録に加え、血中のエストラジオールとプロゲステロンで確認した。練習後には毎回、えんどう豆プロテイン30gを摂取した。主な評価項目はDXA法で測った太ももの除脂肪量である。
結果:周期に合わせても筋肥大・筋力に差なし
トレーニングを行った3条件はいずれも、対照より太ももの除脂肪量、外側広筋の断面積、1RM(1回挙上できる最大重量)が大きく伸びた。一方、トレーニング3条件どうしの差は、どの項目でも統計的に有意ではなかった。
| 項目(増加量) | 通常 | 卵胞期に高ボリューム | 黄体期に高ボリューム |
|---|---|---|---|
| 外側広筋の断面積 | 3.04cm² | 2.92cm² | 3.44cm² |
| レッグプレス1RM | 21.69kg | 25.57kg | 27.03kg |
| レッグエクステンション1RM | 3.99kg | 3.93kg | 4.41kg |
研究チームは、周期の時期よりも、こなした総負荷量(重量×回数×セット数)のほうが筋肉量や筋力の伸びと関連していたと報告している。
この研究の限界
期間は周期3回分と短く、長期的な小さな差は捉えきれない可能性があると著者ら自身が述べている。対象は筋トレ初心者の若い女性で、ホルモン避妊薬の使用者や鍛えた人にそのまま当てはまるかは分からない。脚は1条件12脚と規模も小さい。女性の筋トレ効果全般については、筋肥大に男女差はないとしたメタ分析も参考になる。
よくある質問
卵胞期に筋トレを増やすと筋肉はつきやすい?
この試験では、卵胞期に練習量を集中させても、通常どおり続けた場合と筋肥大・筋力に差はなかった。
黄体期は筋トレの量を減らしてもよい?
この試験では、黄体期の量を減らした条件でも伸びは他の条件と同等だった。時期によって量を増減させても不利にはならなかったと言える。
ピルを飲んでいる人にも当てはまる?
ホルモン避妊薬の使用者は対象外のため、この試験からは判断できない。
KINNIKU TIMESの視点
「周期に合わせないと損をする」と考える必要はなさそうだ。大事なのは、周期を通じて総負荷量を積み上げ続けることである。体調が優れない時期は量を減らし、調子の良い時期に取り戻すといった、自分に合った柔軟な調整で十分と言える。月経に伴う強い痛みや不調がある場合は、無理をせず医療機関に相談してほしい。
出典:D'Souza AC ほか「Menstrual Cycle Phase Does Not Influence Training-Induced Muscle Hypertrophy or Strength: A Randomized Controlled Trial」Medicine & Science in Sports & Exercise(2026年5月18日オンライン公開)/PubMed