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論文解説・新常識

週のセット数を2倍超にしても筋肉は増える?「やりすぎは逆効果」説を検証した最新研究

公開 ・ KINNIKU TIMES 編集部 ・ 読了目安 3分
バーベルとプレートのクローズアップ
SUMMARY|この記事の要約

トレーニング経験者の週セット数を120%増やしても、筋肥大は妨げられなかった——「Journal of Applied Physiology」掲載の最新研究を解説する。

「セット数を増やしすぎるとオーバートレーニングで筋肉が増えなくなる」——筋トレ界隈でよく語られるこの説を検証した研究が、米国生理学会の学術誌「Journal of Applied Physiology」に掲載された。結論は「大幅に増やしても筋肥大は妨げられない」だった。

ジムでレッグプレスを行う女性
写真はイメージです(Unsplash)

片脚ずつボリュームを変える実験

ブラジル・オーストラリア・米国の研究チーム(筆頭著者:Júlio B. B. Camargo氏)は、筋トレ歴1〜5年の18〜35歳の男女合計25名を対象に、8週間(週2回・計16回)の脚トレーニングを実施した。

  • 片脚:普段の週セット数から+20%(平均約遑18セット)
  • 反対の脚:普段の週セット数から+120%(平均約遑33セット)

同じ人の左右の脚で比較するため、遺伝や食事、睡眠などの影響を抹えて比較できるのがこのデザインの強みだ。

結果:どちらも同じように太くなった

太もも前面の筋肉(大腿直筋)の断面積は両脚とも有意に増加したが、増え方に差は見られなかった。筋肥大のシグナルであるmTORC1系の指標や、筋分解に関わる指標でも、両者に大きな差はなかった。つまり、週約33セットまで増やしても「逆効果」にはならなかったが、「さらに増える」わけでもなかったのである。

この研究から言えること・言えないこと

対象者は25名と少なく、期間も8週間に限られる。評価したのも脚の1筋肉だけだ。また、「週約18セットでも十分に効果が出た」とも読めるため、「多ければ多いほど良い」という結論にはならない点には注意が必要だ。

KINNIKU TIMESの視点

ACSMの2026年版ガイドラインでは、筋肥大の目安は「1筋群あたり週約10セット」とされた。今回の研究は、その先の領域で「多めにやっても損はしにくい」ことを示したと言える。ただし、セット数を増やすほど時間と回復のコストは上がる。「やりすぎを恐れなくてよいが、増やせば必ず伸びるわけでもない」——自分が継続できる量を選ぶことが、やはり最善の戦略だ。


出典:Camargo JBB, et al. Large increases in resistance training volume do not impair muscle hypertrophy or anabolic-catabolic molecular signaling in trained individuals. Journal of Applied Physiology (2026)/bioRxiv(プレプリント版)