バナナはスポーツドリンクの代わりになる?自転車選手14人、75kmのタイムは同等
運動中の糖質補給をバナナにしても、スポーツドリンクと比べて75km自転車タイムトライアルの記録に差はなかった(約2時間25分と約2時間22分、統計的な差なし)。血糖値や炎症の指標も同程度だったが、バナナでは満腹感とおなかの張りが強かった。
運動中の糖質補給をバナナにしても、スポーツドリンクと同じくらいの持久力を発揮できる可能性がある。米アパラチア州立大学などの研究チームが、訓練を積んだ男性自転車選手14人に75kmのタイムトライアルを2回行わせ、途中でバナナを食べる場合とスポーツドリンクを飲む場合を比べたところ、記録に統計的な差はなかった。結果は学術誌「PLOS ONE」に2012年に掲載された。
どんな試験だった?
対象はロードレースに出場している男性自転車選手14人で、平均年齢は37.0歳、最大酸素摂取量は体重1kgあたり毎分58.6mLと持久力の高い集団である。同じ人が3週間の間隔をあけて両方の条件を試すクロスオーバー試験で、順番はランダムに決めた。
| 項目 | バナナ条件 | スポーツドリンク条件 |
|---|---|---|
| 糖質の量 | 開始前に体重1kgあたり0.4g、走行中は15分ごとに体重1kgあたり0.2g(両条件で同じ) | |
| 補給したもの | バナナ(合計6〜7本、約794g) | 糖質濃度6%のスポーツドリンク |
| 運動 | 75kmの自転車タイムトライアル | |
タイムと体の反応に差はあった?
| 測定項目 | バナナ | スポーツドリンク |
|---|---|---|
| 75kmのタイム | 2.41時間(約2時間25分) | 2.36時間(約2時間22分) |
| 血糖値の上昇 | 23% | 19% |
| 血中乳酸の上昇 | 220% | 227% |
| 抗酸化力(FRAP)の上昇 | 31% | 18% |
| 体重の減少 | 1.5kg | 1.1kg |
タイムの差は約3分だったが統計的に有意ではなく(P=0.258)、血糖値や乳酸、酸化ストレスの指標、免疫細胞の働きも両条件で同じような変化だった。炎症に関わる物質は、IL-6など多くの項目で差がなかった一方、IL-10とIL-8はバナナ条件の方が高かった。血液中の103種類の代謝物を調べた分析では、両条件で違う動きをしたのはバナナに含まれるドーパミンだけだった。
バナナの弱点は?
バナナ条件では、ドリンク条件より「おなかがいっぱい」「おなかが張る」という訴えが有意に多かった。6〜7本という量を2時間半で食べるため、胃腸への負担は無視できない。体重の減りがバナナ条件で0.4kg大きかった点も報告されている。
この研究の限界は?
対象は14人と少なく、全員が持久系の男性選手で、筋トレの成績は調べていない。選手は事前に実験室で75kmのタイムトライアルを練習しておらず、論文もこれを限界に挙げている。また、研究費はバナナを扱う食品会社Dole(ドール)が出しており、著者のうち2人は同社の研究所の研究者である。
よくある質問
バナナはスポーツドリンクの代わりになる?
この試験では、糖質の量をそろえれば75kmの自転車タイムトライアルの記録に差はなかった。ただしバナナはおなかの張りが出やすい。
筋トレ中にもバナナは必要?
この研究は2時間を超える持久運動が対象で、筋トレ中の補給については調べていない。1時間程度の筋トレで補給が必要かどうかは、この結果からは言えない。
KINNIKU TIMESの視点
運動中の糖質補給は、専用のドリンクでなくても「糖質の量」をそろえればよいことを示す結果である。長時間の練習や、脚の日の後に有酸素運動を続けるような日には、手に入りやすいバナナも選択肢になる。一方で、試験では6〜7本を食べており、固形物は胃腸に負担がかかりやすい。試合や大事な練習の前に、自分のおなかに合うかを普段の練習で確かめておきたい。スポーツドリンクそのものの効果は26研究のメタ分析の記事で解説している。
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