スポーツドリンクは運動に効く?26研究のメタ分析、疲労困憊までの時間が延長
糖質と電解質を含むスポーツドリンクは、疲れ切るまでの運動時間を中程度(効果量0.60)延ばしたが、一定距離の完走タイムは縮まらなかった。スペインの研究チームによる26研究のメタ分析で、多くの研究は推奨量(1時間あたり約60g)より糖質が少なかった。
運動中に糖質と電解質を含む飲料(いわゆるスポーツドリンク)を飲むと、疲れ切るまでの運動時間は中程度に延びるが、決められた距離を走り切るタイムは縮まらなかった。スペインのフランシスコ・デ・ビトリア大学などの研究チームが26研究を統合したメタ分析の結果を、2026年3月に学術誌『Applied Sciences』で発表した。
どんな研究を集めたのか?
研究チームは4,948件の文献を検索し、運動する人を対象に糖質・電解質飲料(CHO-E)とプラセボを比べた26研究を選んだ。ランダム化試験に加えて観察研究も含む。種目はランニング、自転車、水泳、サッカー、トライアスロンなどで、運動時間はおおむね1時間程度のものが多かった。
スポーツドリンクで何が変わったか?
| 項目 | 効果量(SMD) | 判定 |
|---|---|---|
| 疲労困憊までの時間 | 0.60 | 延長(有意) |
| 一定距離の完走タイム | −0.07 | 差なし |
| 血糖値 | 0.82 | 上昇(有意) |
| 血中ナトリウム | 0.22 | 上昇(有意) |
| 遊離脂肪酸 | −1.11 | 低下(有意) |
| 最大酸素摂取量・主観的なきつさ | — | 差なし |
走行距離や自転車のパワーにも有意な改善はなかった。一方で血糖値が保たれ、脂肪の代謝を示す指標が下がったことから、飲料の糖質がエネルギー源として使われていたと考えられる。
体の中では何が起きていたか?
呼吸から求める呼吸交換比(RER)は効果量0.47で上昇しており、体が脂肪よりも糖質を多く燃やす状態に傾いていたことを示す。心拍数はわずかに高く(効果量0.17)、血中カリウムには差がなかった。つまりスポーツドリンクは「燃料の補給」として働く一方、最大酸素摂取量そのものを高めるわけではない、というのが今回の分析から読み取れる姿である。
なぜタイムは縮まらなかったのか?
著者らは、多くの研究で使われた飲料の糖質量が、持久系競技で推奨される1時間あたり約60gを大きく下回っていた点を指摘している。糖質濃度が約6%の一般的な市販飲料では、完走タイムの改善は確認できなかった。運動時間が1時間前後の研究が中心で、実際の競技ではなく実験室での測定だったことも限界として挙げている。
よくある質問
スポーツドリンクは運動のパフォーマンスを上げるのか?
このメタ分析では疲れ切るまでの時間は中程度に延びたが、タイムトライアルの成績は変わらなかった。
筋トレ中にもスポーツドリンクは必要か?
今回の分析は持久系の運動が中心で、筋力トレーニングへの効果は検証されていない。
どれくらいの糖質を摂ればよいのか?
著者らは長時間の持久系運動では1時間あたり約60gという推奨量を目安に挙げている。
KINNIKU TIMESの視点
今回の分析は持久系運動が中心で、1時間程度の筋トレに糖質入り飲料が必要かどうかは分からない。一方、長時間の有酸素運動やサッカーのような試合では、糖質入り飲料が「もうひと踏ん張り」を支える可能性がある。ボトル1本に何gの糖質が入っているかを確認する習慣をつけたい。糖質と筋肥大の関係は炭水化物のメタ分析の記事、持久力を支えるサプリは少量カフェインの記事も参考にしてほしい。