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ケトンサプリで持久力は上がる?26研究・380人の系統的レビュー、効果は一貫せず

公開 ・ KINNIKU TIMES 編集部 ・ 読了目安 4分
道路を走る3人のサイクリスト
SUMMARY|この記事の要約

ケトン体サプリは血中ケトン体を確実に上げるが、26研究・380人を調べた2026年の系統的レビューでは運動成績への効果は一貫しなかった。ケトンエステルは血液pHを約0.10下げ、重曹の併用で和らぐ例も報告されている。

ケトン体サプリメントは血中ケトン体を確実に上げるが、運動パフォーマンスへの効果は研究ごとにばらつき、「効く」とは言い切れない――26研究・計380人を調べた系統的レビューの結論である。ホセ・マルティ=マルティ(Jose Martí-Martí)氏らの研究グループが、2026年7月10日に学術誌「Life」(MDPI)で発表した。

ケトン補給の系統的レビューで26研究が選ばれるまでの流れを示すPRISMAフロー図
図:Martí-Martí Jほか「Ketone Supplementation in Trained and Physically Active Individuals: Effects on Athletic Performance and Metabolic Variables—A Systematic Review」Life(2026)Figure 1/出典:Life(MDPI)/ライセンス:CC BY(改変なし)

ケトンサプリとは?

ケトン体は、糖質が不足したときに肝臓で脂肪から作られるエネルギー源で、代表的なものがβ-ヒドロキシ酪酸(βHB)である。食事制限をしなくても飲むだけで血中のケトン体を高められる「外因性ケトン」として、ケトンエステルやケトン塩の製品が持久系アスリートを中心に注目されてきた。今回のレビューでも、ケトンモノエステルとケトン塩が最も多く使われていた。

どんな研究を集めた?

項目 内容
対象研究 2018年〜2025年12月に発表された査読付きの比較試験26件
参加者 計380人(1研究あたり6〜32人)、主に18〜35歳のトレーニング経験者・活動的な人
検索データベース EBSCOhost、PubMed、Web of Science(PRISMA 2020に準拠)
統計的な統合 方法がばらばらなためメタ分析は行わず、結果を整理

結果:パフォーマンスは上がるのか?

  • 血中βHB濃度の上昇は、どの摂取方法でも一貫して確認された(エビデンスの確実性は「中」)。
  • タイムトライアルや疲労困憊までの時間などの成績は、改善した研究と差がなかった研究、逆に低下した研究が混在した。ランダム化試験の多くは有意な改善を示さなかった(確実性は「低」)。
  • 高強度の間欠的運動、超長時間の運動、トレーニング過多の期間では、好ましい反応が比較的そろって見られた。
  • ケトンエステルでは血液のpHが約0.10低下する代謝性アシドーシスが見られ、重曹(炭酸水素ナトリウム)を一緒にとるとこれが和らぎ、成績が上がる例もあった。
  • 数週間の継続摂取では、トレーニング負荷が高い時期に筋の毛細血管が増える可能性も示された。

重曹とほかのサプリの併用については重曹の併用摂取に関するメタ分析でも取り上げている。

研究の限界は?

1研究あたりの人数が少なく、参加者は若い男性の持久系選手が中心で、女性のデータは限られる。ケトン製品は独特の味があるため、偽薬との見分けがつきやすく、盲検化が不十分な試験もあった。長期摂取の安全性も十分には分かっていない。著者らは、効果の有無は運動強度、参加者の特性、摂取量やタイミング、併用するものによって変わるとみている。

よくある質問

ケトンサプリで持久力は上がる?

現時点では一貫した証拠はない。26研究のうち改善を示したものもあるが、差がない、または低下した研究もあり、確実性は低い。

ケトンサプリを飲むと血中ケトンは上がる?

上がる。血中βHBの上昇は研究全体で一貫して確認されている。

筋トレをする人に必要?

今回のレビューは主に持久系の運動を扱っており、筋肥大や筋力向上を目的とした根拠にはならない。

KINNIKU TIMESの視点

ケトンサプリは「体の中で確かに作用するが、成績につながるかは状況次第」という段階にある。一般のトレーニーがまず優先すべきは、十分なエネルギーと糖質、タンパク質の確保であり、根拠の厚いクレアチンやカフェインと比べると費用対効果はまだ見えにくい。試すなら、血液が酸性に傾くリスクを踏まえ、試合本番ではなく練習で少量から反応を確かめるのが現実的だ。糖質の工夫なら糖質マウスリンスのメタ分析も参考になる。


出典:Martí-Martí Jほか, Life 16(7):1147(2026年7月10日)DOI:10.3390/life16071147