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糖質マウスリンスの効果は?90試験のメタ分析、口をゆすぐだけで運動成績が小さく向上

公開 ・ KINNIKU TIMES 編集部 ・ 読了目安 5分
霧の山道をロードバイクで走る人
SUMMARY|この記事の要約

糖質を含む液体で口をゆすぐ「糖質マウスリンス」は、90試験・1,184人のメタ分析で走行距離や仕事量などを小さく向上させた(効果量0.15〜0.25)。一方、筋持久力や最大パワーには効果がみられなかった。

糖質を含む液体で口をゆすいで吐き出す「糖質マウスリンス」は、運動成績を小さく向上させる――90件の比較試験をまとめたメタ分析がこう結論づけた。ギリシャのテッサリア大学などの研究チームが、栄養学誌『Nutrients』に2026年9月21日付で発表した。改善は走行距離や所要時間、仕事量などで確認された一方、筋持久力や最大パワーには効果がみられなかった。

糖質マウスリンスと最大随意収縮(MVC)のフォレストプロット
図:Zalagkitisほか「Effects of Carbohydrate Mouth Rinse on Human Capacity and Performance—A Systematic Review and Meta-Analysis of 90 Controlled Trials」Nutrients(2026)Figure 6(最大随意収縮の統合結果)/出典:Nutrients/ライセンス:CC BY 3.0(改変なし)

糖質マウスリンスとは?

糖質マウスリンスは、マルトデキストリンやブドウ糖などを溶かした液体を運動前や運動中に数秒間口に含み、飲み込まずに吐き出す方法である。糖質をほとんど体に入れずに、口の中の受容体を通じて脳に「糖が来た」という信号を送ることで、運動のきつさや成績に影響するのではないかと考えられてきた。今回の研究は、この方法の急性効果(1回の運動での効果)を網羅的に検証したものである。

対象者と方法:90試験・1,184人を統合

研究チームはPubMed、Ovid、SPORTDiscusを2025年12月まで検索し、18歳超の成人を対象としたクロスオーバー型の比較試験90件を解析に組み入れた。研究計画は事前にPROSPEROへ登録されている。

項目 内容
試験数 90件(すべてクロスオーバー型)
参加者 計1,184人(平均25.06歳、男性96.45%)
対象の競技レベル エリート選手の研究27件、愛好家レベルの研究63件
使われた糖質 マルトデキストリンが最多、ブドウ糖21件、ショ糖7件など

どの能力が伸びた?結果の一覧

効果の大きさはHedges' gで示され、0.2前後は「小さい効果」とされる。統合結果は以下の通りである(所要時間のマイナスは、より短い時間でゴールしたことを意味する)。

評価項目 効果量(g) 95%信頼区間 判定
走行・移動距離(15件) 0.17 0.03〜0.30 向上
所要時間(35件) −0.15 −0.25〜−0.05 短縮
スピード(24件) 0.17 0.05〜0.30 向上
仕事量(10件) 0.25 0.08〜0.41 向上
最大随意収縮(11件) 0.18 0.02〜0.34 向上(根拠はやや弱い)
筋持久力・最大パワー・最大酸素摂取量 ― ― 有意差なし

最も大きかったのは仕事量の0.25で、それでも「小さい」範囲にとどまる。筋トレに近い指標では、最大随意収縮(全力で力を出したときの筋力)にわずかな改善がみられたが、著者らは根拠の頑健さは他の項目より劣るとしている。一方、反復回数などで測る筋持久力には効果が確認されなかった。

研究の限界:参加者の96%が男性

参加者の96.45%が男性で、著者らも結論は主に男性に当てはまるとしている。また、元論文で数値が図でしか示されていなかった22件は、図から数値を読み取るソフトで抽出している。効果の実用的な意味は、運動の種類や競技の状況によって変わる可能性があると著者らは述べている。

糖質を実際に飲む場合の研究は、スポーツドリンクのメタ分析の記事で紹介している。口から吸収させる別の方法としてはカフェインガムのメタ分析も参考になる。

よくある質問

糖質マウスリンスは筋トレに効く?

最大筋力にはわずかな改善がみられたが、筋持久力や最大パワーには効果が確認されなかった。筋トレの回数を増やす目的での根拠は乏しい。

どんな運動で効果があった?

走行距離、所要時間、スピード、仕事量など、持久的なパフォーマンスで小さな改善が確認された。

女性にも効果はある?

参加者の96%超が男性のため、女性で同じ効果が得られるかは分かっていない。

KINNIKU TIMESの視点

口をゆすぐだけで成績が上がるという手軽さは魅力だが、今回示された効果はいずれも「小さい」範囲である。記録を秒単位で争うランナーや自転車競技者が、胃の不快感を避けたい場面で試す価値はあるものの、筋トレの反復回数を増やす手段として期待するのは現時点では難しい。試す場合は本番でいきなり使わず、練習で体調やパフォーマンスの変化を確かめてから取り入れたい。日常のトレーニングでは、まず普段の食事でエネルギーと糖質を十分に確保することが土台になる。


出典:Zalagkitis C, et al. Effects of Carbohydrate Mouth Rinse on Human Capacity and Performance—A Systematic Review and Meta-Analysis of 90 Controlled Trials. Nutrients 2026;18(18):3099(2026年9月21日)