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HIITは高齢者の筋肉を守る?平均72歳123人の6カ月試験、脂肪は減り除脂肪量は維持

公開 ・ KINNIKU TIMES 編集部 ・ 読了目安 4分
ジムに置かれたトレーニングマシン
SUMMARY|この記事の要約

平均72歳の健康な高齢者123人が週3回・6カ月間運動した試験で、体脂肪を減らしながら除脂肪量を維持できたのは高強度インターバルトレーニング(HIIT)群だけで、6カ月後の体脂肪量は低強度群より1.10kg少なかった。中強度のウォーキング群も体脂肪は減ったが、除脂肪量の減少がみられた。

高齢者の運動で、体脂肪を減らしながら除脂肪量(筋肉など脂肪以外の重さ)を保てたのは、高強度インターバルトレーニング(HIIT)だけだった。オーストラリアのサンシャインコースト大学のグレース・ローズ(Grace Rose)博士らが、平均72歳の健康な高齢者を対象に3種類の運動強度を6カ月間比べたランダム化比較試験の結果を、学術誌「Maturitas」(203巻)に発表した。

ジムで運動する高齢の女性
写真はイメージです(Unsplash)

どんな試験?3つの運動の違い

ブリスベン周辺に住む健康な高齢者159人を3つの群に無作為に分け、1回45分・週3回の運動を指導者のもとで6カ月間続けた。最後まで参加した123人(平均72.0歳、平均BMI25.8)を解析した。運動の強さは、一人ひとりの最高心拍数をもとに設定した。

内容 強度(最高心拍数比) 解析人数
HIIT 4分×4本のインターバル(間に3分の軽い運動) 85〜95% 41人
中強度(MICT) 30分の継続ウォーキング 60〜70% 45人
低強度(対照) バランス・ストレッチなどのクラス30分 45〜55% 37人

HIITと中強度はトレッドミルで行い、いずれも準備運動と整理運動を含む。体組成は二重エネルギーX線吸収法(DXA)で開始時、3カ月後、6カ月後に測った。

体脂肪と除脂肪量はどう変わった?

体脂肪量は、HIIT群が0〜6カ月で0.54kg、中強度群が3〜6カ月で0.50kg減った。6カ月時点のHIIT群の体脂肪量は、低強度群より1.10kg少なかった。

差が出たのは除脂肪量である。中強度群では開始から3カ月後と6カ月後に除脂肪量の減少がみられた一方、HIIT群は維持した。6カ月時点の除脂肪量の変化は、HIIT群が中強度群を統計的に有意に上回った。内臓脂肪は、HIIT群と中強度群の両方で同程度に改善した。

研究の限界は?

著者ら自身、変化は小さく、測定誤差を考えると臨床的に大きな意味があるとは言えないと結論づけている。実際の運動強度の平均はHIIT群が最高心拍数の79%、中強度群が74%と、計画ほどの差はつかなかった。測定は空腹時ではなく、男女別の分析も人数不足でできていない。対象は持病のない健康な高齢者で、今回のHIITは筋トレではなく歩行・走行による有酸素運動である点にも注意が必要だ。

よくある質問

高齢者がHIITをしても大丈夫?

今回の試験は健康な高齢者が、指導者のもとで心拍数を個別に設定して行ったものである。持病のある人は医師に相談したうえで、段階的に取り入れる必要がある。

HIITで筋肉は増える?

今回HIITで示されたのは除脂肪量の「維持」であり、増加ではない。筋肉を増やすには筋トレとの組み合わせが基本となる。

中強度のウォーキングは効果がない?

中強度群でも体脂肪量と内臓脂肪は減っており、効果がないわけではない。除脂肪量が減りやすい点に気をつけたい。

KINNIKU TIMESの視点

高齢期の減量で怖いのは、脂肪と一緒に筋肉も落ちることである。今回の試験は、同じ時間の有酸素運動でも強度を上げることで除脂肪量を守れる可能性を示した。ただし効果は小さく、筋肉を増やす主役はあくまで筋トレだ。有酸素運動は短い高強度の区間を少し入れ、週2回程度の筋トレと組み合わせるのが現実的だろう。インターバル運動の頻度は週1回と週3回を比べた試験、高齢女性の筋トレ効果は12試験のメタ分析も参考になる。


出典:Rose G, et al. Maturitas 203:108763(DOI: 10.1016/j.maturitas.2025.108763)EurekAlert!・サンシャインコースト大学(2026年1月21日)ScienceDaily(2026年6月)