30分睡眠で筋肉はつく?堀大輔氏が話題、睡眠を削ると減量中の除脂肪量減少は1.6倍
睡眠を1晩5.5時間に削った試験では、減量中に失った除脂肪量が8.5時間睡眠の約1.6倍(1.5kg→2.4kg)に増え、5時間睡眠を8晩続けた若い男性ではテストステロンが10〜15%低下した。1日30分程度の睡眠で生活していると主張する堀大輔氏の7日間生配信が話題となったが、研究の知見からは筋トレをする人がまねすべき方法とはいえない。
睡眠を削った状態で体をつくれるのか。30分睡眠そのものを長期間試した研究ではないが、睡眠を5時間台に削っただけでも、減量中に失う除脂肪量が約1.6倍に増え、若い男性のテストステロン(男性ホルモン)が10〜15%下がったとの試験結果がある。1日30分程度の睡眠で生活していると主張する実業家の堀大輔(ほり・だいすけ)氏(42)が、2026年9月9日から16日まで7日間連続のYouTube生配信を行い、大きな話題となった。
堀大輔氏の7日間生配信とは?
東京スポーツ(東スポWEB)の9月16日付の報道によると、堀氏は一般社団法人日本ショートスリーパー育成協会の設立者で、約17年間「1日30分程度の睡眠で生活してきた」と主張している。9月9日に始めた7日間の連続生配信では、インフルエンサーや著名人とのコラボも行い、同時視聴者数は数万人から10万人を超えた。配信中は糖質制限も同時に実施した。
配信を終えた堀氏は「体力はあり余っている」と話し、今後の目標として、男女の体づくりのコンテスト「ベストボディ・ジャパン」で日本一を目指すことを挙げた。ただし、1日30分程度の睡眠で健康を保てるという点は本人の主張であり、医学的に確かめられたものではない。
睡眠を削ると、減量中の筋肉はどうなる?
体づくりをする人にとって重要なのが、米シカゴ大学のネデルチェバ(Nedeltcheva)氏らが2010年に米医学誌『Annals of Internal Medicine』に発表した試験である。太り気味の成人10人が、同じ程度のカロリー制限を14日間、夜の睡眠時間を8.5時間とした期間と5.5時間とした期間の両方で行い(クロスオーバー試験)、体重の中身を比べた。
| 項目(14日間) | 睡眠8.5時間 | 睡眠5.5時間 |
|---|---|---|
| 減った体脂肪 | 1.4kg | 0.6kg(55%少ない) |
| 減った除脂肪量(筋肉などを含む) | 1.5kg | 2.4kg(60%多い) |
睡眠を削った期間は、同じように食事を減らしても脂肪が落ちにくく、筋肉を含む除脂肪量が多く失われた。空腹感の増加や脂肪燃焼(脂肪酸化)の低下も確認された。研究チームは、減量中に除脂肪量を保つには十分な睡眠が役立つと結論づけている。
睡眠5時間でテストステロンは下がる?
米シカゴ大学のルプロー(Leproult)氏とヴァン・コーター(Van Cauter)氏は2011年、米医学誌『JAMA』に、健康な若い男性10人(平均24.3歳)の試験を報告した。ベッドにいる時間を1晩10時間とした3晩の後、5時間(午前0時30分〜5時30分)に制限した8晩を過ごしてもらい、血中のテストステロンを比べた。
| 項目 | 十分な睡眠の後 | 5時間睡眠の後 |
|---|---|---|
| 日中(8〜22時)のテストステロン | 18.4nmol/L | 16.5nmol/L |
| 14〜22時のテストステロン | 17.9nmol/L | 15.5nmol/L |
| 活力(気分の自己評価) | 28点 | 19点(7晩で低下) |
日中のテストステロンは10〜15%低下した。テストステロンは筋肉の合成に関わるホルモンである。また、1晩の徹夜で筋たんぱく質の合成が18%低下したとの研究もある(睡眠不足と筋たんぱく合成の記事)。
研究の限界と、睡眠時間の目安は?
2つの試験はいずれも10人と少人数で、期間も2週間前後と短い。筋トレをしている人を対象に、筋肉量の変化を長期間追った試験ではない。また、30分程度という極端に短い睡眠を調べたものでもない。一方、厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」は、成人について「適正な睡眠時間には個人差があるが、6時間以上を目安として必要な睡眠時間を確保する」ことを推奨している。
よくある質問
睡眠が短いと筋肉はつきにくい?
睡眠を5時間台に削った試験では、減量中の除脂肪量の減少が約1.6倍に増え、テストステロンも10〜15%下がっており、筋肉づくりに不利に働く可能性が高い。
ショートスリーパーをまねしてもよい?
すすめられない。厚生労働省は成人に6時間以上を目安に睡眠を確保するよう推奨しており、極端な短時間睡眠が安全だとする科学的な裏付けはない。
KINNIKU TIMESの視点
堀氏の配信は睡眠への関心を大きく高めたが、筋トレをする人にとって研究が示すのは「睡眠を削ると、特に減量中は筋肉を守りにくくなる」ということである。大会に向けた減量期ほど、トレーニングや食事と同じように睡眠時間を確保したい。まずは6時間を下回らないことを目安にし、日中の強い眠気や疲れが続く場合は無理をせず、医療機関に相談してほしい。
出典:東スポWEB(2026年9月16日)/Nedeltcheva AV, et al. Annals of Internal Medicine(2010)/Leproult R, Van Cauter E. JAMA(2011)/厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
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