ポリフェノールで筋トレ効果は上がる?11試験・360人のメタ分析、筋力も筋量も上乗せ不確か
ポリフェノールのサプリを筋トレと併用しても、11試験・360人のメタ分析では筋力(効果量0.25)・筋肉量(同0.13)の上乗せは統計的に確認できなかった。証拠の確実性は低く、研究チームは「効果がないとも言い切れない」としている。
ポリフェノールのサプリを飲みながら筋トレをしても、筋力や筋肉量の伸びが上乗せされるとは言えない――。中国・首都体育学院などの研究チームが、11件のランダム化比較試験(参加者計360人)をまとめたメタ分析の結果を、2026年8月28日に学術誌「Frontiers in Nutrition」で発表した。筋力にはわずかにプラスの傾向が出たものの、統計的には確かな差とは言えず、証拠の確実性も「低い」と判定された。
どんな研究?対象者と方法
ポリフェノールは果物や茶、大豆などに含まれる成分で、運動後の回復を助ける目的でサプリとして使われることが多い。研究チームは、2026年5月21日までに発表された論文を検索し、成人が筋トレを続ける期間中にポリフェノールを毎日(慢性的に)摂取した試験を集めた。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | ランダム化比較試験11件、成人360人(20〜82歳、中高年が中心) |
| 実施国 | デンマーク、日本、スペイン、イラン、米国、ブラジル |
| 筋トレ | 週2〜3回、主にマシンを使った漸進的な筋トレ |
| 期間 | 6〜39週間 |
| ポリフェノールの種類 | カシス(クロフサスグリ)など、ケルセチン、クルクミン、抹茶、茶カテキン、エピカテキン、緑茶・紅茶、大豆イソフラボン |
1つの試験から複数の測定値が出ることを考慮した「マルチレベル・メタ分析」という手法で、筋力、筋肉量(除脂肪量)、筋肉の断面積など直接の形態の3つを評価した。
筋力・筋肉量は増えた?結果の数字
結果は次の通りである。効果量(ヘッジスのg)は0.2前後が「小さい効果」の目安とされるが、3項目とも95%信頼区間がゼロをまたいでおり、統計的に確かな上乗せは確認できなかった。
| 評価項目 | データ | 効果量g(95%信頼区間) | 証拠の確実性 |
|---|---|---|---|
| 筋力 | 8研究群・257人 | 0.25(−0.01〜0.51)、P=0.060 | 低い |
| 筋肉量・除脂肪量 | 9研究群・280人 | 0.13(−0.07〜0.33)、P=0.211 | 低い |
| 筋断面積など | 3研究群・115人 | 0.05(−0.21〜0.30)、P=0.718 | 非常に低い |
種類別の分析では、茶カテキンなどの「カテキン・フラバノール類」で除脂肪量の効果量が0.59と大きめに出た。ただし試験は4件と少なく、より厳密な補正をかけると他のポリフェノールとの差は統計的に確かではなくなった。研究チームは、種類別・年齢別・期間別などの分析をしても、全体の結論は変わらなかったとしている。
「効かない」と言い切れない理由は?研究の限界
研究チームは、今回の結果を「効果がない証拠」とも受け取らないよう注意を促している。主な限界は次の通りである。
- 各項目の研究群が10未満と少なく、筋断面積は3研究群しかない
- ポリフェノールの種類、量、飲むタイミング、筋トレの内容が試験ごとに大きく異なる
- カフェインやアミノ酸との併用、減量中の試験なども含まれ、ポリフェノール単独の効果を切り分けにくい
- 体内にどれだけ吸収されたかを測った試験がほとんどない
また、筋力で見られたわずかなプラスは、筋肥大よりも神経の働きなど別の経路による可能性があるが、現時点では仮説の段階だとしている。以前KINNIKU TIMESで紹介したビタミンC・Eサプリのレビューとは異なり、今回は「効果を弱める」方向の結果も出ていない。
よくある質問
ポリフェノールのサプリは筋トレの効果を高める?
11試験・360人のメタ分析では、筋力・筋肉量ともに確かな上乗せは確認できなかった。証拠の確実性は「低い」〜「非常に低い」である。
抹茶や緑茶を飲むと筋トレの効果が落ちる?
今回の分析では、筋力や筋肉量の伸びを弱める結果は出ていない。ただし種類ごとの試験数は少なく、確かなことは言えない。
回復目的でタルトチェリーなどを飲むのは無意味?
今回は長期的な筋肥大・筋力への影響を調べたもので、回復への効果は対象外である。回復についてはタルトチェリーのメタ分析が参考になる。
KINNIKU TIMESの視点
研究チームは、筋肉を増やす主な要因は筋トレの負荷とたんぱく質の摂取であり、ポリフェノールのような機能性成分ではないという従来の理解と矛盾しない結果だとしている。筋肥大や筋力アップを目的にサプリを選ぶなら、優先順位はまず筋トレの継続とたんぱく質量の確保、次に根拠の厚いクレアチンなどだろう。果物や茶は食事として楽しむ分には問題なく、「筋肉を増やすための高価なサプリ」として期待しすぎないことが現実的である。
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