クレアチン一回摂取で徹夜後の思考力キープ?21時間断眠試験で判明
クレアチン一水和物を体重1kgあたり0.2g単回摂取すると、21時間の断眠後に起こる論理的思考・言語処理の低下を最大12%抑えられることが、独ユーリッヒ研究センターなどの試験で示された。
29人を対象にした二重盲検クロスオーバー試験で、女性やベジタリアンでより大きな改善がみられた。
クレアチンを一度飲むだけで、徹夜明けに起こる思考力の低下を和らげられる可能性があることが、ドイツの研究チームによる断眠試験で示された。21時間眠らない状態を人為的に作る二重盲検クロスオーバー試験で、クレアチン一水和物を単回摂取したグループは、論理的思考や言語処理の成績低下がプラセボ群より抑えられていた。
どんな試験だったのか
試験を行ったのは、独ユーリッヒ研究センター神経科学・医学研究所(INM-2)などのチーム。健康な成人29人(うち女性17人、ベジタリアン9人、平均年齢27±6歳、範囲20〜40歳)を対象に、ダブルブラインド・ランダム化クロスオーバー試験を実施した。参加者には睡眠障害や精神疾患の既往がなく、試験前2週間と試験期間中は毎晩7時間以上眠ることを条件にした。1回目と2回目の試験は7日間隔で行われている。
クレアチンは何をどれだけ、いつ飲んだのか
クレアチンの摂取量は体重1kgあたり0.2g(体重60kgなら12g程度)で、断眠開始前の午後9時に一度だけ摂取した。対照群には見た目・味を似せたプラセボ(難消化性デキストリン)を同じタイミングで摂取させている。断眠は合計21時間にわたり、認知機能テストは午後6時33分(基準値)・午後11時33分・午前2時29分・午前4時29分の4回、それぞれ約23分かけて実施した。テストには単純反応課題(PVT)、単語記憶課題、前向きスパン課題、空間Nバック課題に加え、論理・数値・言語の多肢選択課題が含まれる。
断眠でどれくらい成績が落ちたのか
プラセボ条件では、断眠が進むほど成績の悪化がはっきり表れた。午前4時の反応時間は基準値より13.1±2.0%遅くなり、単語記憶課題は23.9±6.4%、前向きスパン課題は18.0±4.8%低下した。眠気を示すKSSスコアは173±5%、疲労スケールは115±18%それぞれ増加しており、断眠が思考力に与える影響の大きさが数値として示された形だ。
| 指標 | プラセボ条件での変化(午前4時時点) |
|---|---|
| 反応時間 | 13.1±2.0%増加(遅延) |
| 単語記憶課題 | 23.9±6.4%低下 |
| 前向きスパン課題 | 18.0±4.8%低下 |
| 眠気(KSSスコア) | 173±5%増加 |
クレアチンでどれだけ守られたのか
クレアチンを摂取した条件では、プラセボと比べて次のような改善がみられた。論理課題が6.1±2.1%、数値課題が6.2±2.9%、言語処理の速度が12.3±5.8%、反応時間のばらつきが9.2±3.4%、それぞれ改善している。特に女性のグループでは、論理課題で12.3±2.8%、言語処理速度で18.2±6.9%と、より大きな改善幅がみられた。研究チームは、成人男女で確認された改善のうち最大でおよそ12%程度の低下抑制効果があったとまとめている。
| 指標 | クレアチン条件での改善(プラセボ比) |
|---|---|
| 論理課題 | 6.1±2.1%改善 |
| 数値課題 | 6.2±2.9%改善 |
| 言語処理速度 | 12.3±5.8%改善 |
| 反応時間のばらつき | 9.2±3.4%改善 |
| 女性:論理課題 | 12.3±2.8%改善 |
| 女性:言語処理速度 | 18.2±6.9%改善 |
この結果の限界
研究チーム自身が認めている限界もある。今回は脳内のクレアチン濃度を直接測定しておらず、統計的な相関分析も行っていないため、なぜ効果が出たのかという機序の証明にはなっていない。対象者29人という規模は決して大きくなく、20〜40歳の健康な成人に限られる点にも注意が必要だ。食事内容を完全には管理していないことも限界として挙げられている。研究チームは、今回の低用量(0.2g/kg)では効果がやや弱まったとみられるものの、用量依存的に効果が変わる可能性を示唆しており、女性やベジタリアンでより大きな利益がみられた点も今後の検証課題としている。
よくある質問
筋トレ目的でクレアチンを飲んでいれば、この効果もついてくる?
今回の試験は断眠当日の夜に単回摂取した条件を検証したもので、筋トレ目的で毎日摂取している場合の断眠時の効果を直接示したものではない。ただし、体内のクレアチン量を一定に保つ通常の摂取習慣があれば、無関係とは考えにくい。
徹夜する日だけクレアチンを多めに飲めばいい?
今回の試験は体重1kgあたり0.2gという中用量を断眠前夜に一度摂取した条件であり、量を増やせばさらに効果が増すかは確認されていない。クレアチンは腎機能に配慮が必要なサプリメントでもあるため、自己判断で大量に摂取することは勧められない。
この結果は筋肉づくりにも関係する?
今回の試験は認知機能を対象にしたもので、筋力や筋肥大への効果を検証したものではない。クレアチンの筋トレ効果については、ローディングの要否を検証した別の試験で解説している。
KINNIKU TIMESの視点
クレアチンというと筋トレのイメージが強いが、今回の試験は「徹夜明けの頭の働き」という、トレーニーの日常にも関わりそうな切り口だ。試験勉強や仕事の締め切りで一晩眠れない日がある人にとって、参考になる知見と言える。ただし、あくまで断眠による成績低下を「和らげる」効果であり、睡眠そのものの代わりにはならない点は誤解しないようにしたい。すでに毎日クレアチンを摂取している人は、筋トレ最安ナビで価格を比較しつつ、無理のない範囲で摂取を続けるとよいだろう。ローディングの要否については、クレアチンのローディングは必要?の記事も参考にしてほしい。
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