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ベータアラニンは運動能力を高める?40研究1,461人のメタ分析で判明

公開 ・ KINNIKU TIMES 編集部 ・ 読了目安 5分
高強度トレーニングをするイメージ写真
SUMMARY|この記事の要約

ベータアラニンの摂取で、運動能力に小さいが統計的に有意な向上が見られることが、40件の研究・1,461人分のメタ分析で判明した。効果が出やすいのは0.5〜10分続く高強度運動で、重炭酸ナトリウムとの併用でさらに効果量が高まる。

ベータアラニンの摂取で、運動能力・パフォーマンスにわずかだが統計的に有意な向上が見られることが、40件の研究・1,461人分のデータを統合したメタ分析で示された。英ノッティンガム・トレント大学のブライアン・サンダース氏(Bryan Saunders)らの研究チームが2017年に英国スポーツ医学誌『British Journal of Sports Medicine』に発表した系統的レビューの結果である。

トップ画像:Unsplashより(写真はイメージです)

バーベルを使って高強度のトレーニングをする人のイメージ写真
写真はイメージです(Unsplash)

ベータアラニンとは何か

ベータアラニンは必須アミノ酸ではない非タンパク質性アミノ酸の一種で、体内でヒスチジンと結合し「カルノシン」という物質を作る材料になる。カルノシンは高強度運動時に生じる水素イオン(乳酸性アシドーシスの一因)を緩衝する働きを持つとされ、プレワークアウト系サプリメントに配合されることが多い。摂取すると顔や手足がジリジリする感覚(パレステシア)が出ることがあり、ベータアラニン特有の反応として知られている。

40件の研究・1,461人のメタ分析で何が分かったのか

サンダース氏らは、ベータアラニン摂取の効果を調べた40件の研究(運動プロトコル65種類・運動指標70項目、参加者合計1,461人)を統合し、メタ分析を行った。全体の効果量は0.18(95%信頼区間0.08〜0.28)で、統計的に有意だった。効果量0.18は「小さい」水準にあたり、劇的な効果ではないが、プラセボと比べて確かな差があったとしている。

項目 結果
解析対象 40研究・運動プロトコル65種類・指標70項目・参加者1,461人
全体の効果量 0.18(95%信頼区間 0.08〜0.28、統計的に有意)
運動時間の影響 メタ回帰で有意(p=0.004)
重炭酸ナトリウム併用時 効果量0.43(95%信頼区間 0.22〜0.64)でもっとも大きい

どんな運動で効果が出やすいのか

運動時間が0.5〜10分の範囲では、運動の種類によって効果の出方が異なることも分かった(p=0.013)。一定時間動き続けられる「運動能力」の指標では効果量0.50だったのに対し、タイムトライアルのような「パフォーマンス」の指標では効果量0.11と小さかった。全力を出し切る系統の記録よりも、高強度運動をどれだけ長く続けられるかという能力面で効果が出やすい傾向がうかがえる。なお、トレーニング歴の有無や総摂取量の違いは、効果量を有意に左右する要因ではなかった。

重炭酸ナトリウムと一緒に摂ると効果が最大になる

今回のメタ分析でもっとも効果量が大きかったのは、ベータアラニンを重炭酸ナトリウム(いわゆる「重曹」)と併用した場合だった(効果量0.43)。重炭酸ナトリウムも運動時の酸性化を緩衝する作用があるとされ、カルノシンによる細胞内の緩衝作用と、重炭酸ナトリウムによる細胞外の緩衝作用を組み合わせることで、相乗的な効果が期待できるという考え方である。ただし重炭酸ナトリウムは単体で摂取すると消化器症状(下痢・腹部不快感など)が出やすいことが知られており、この論文自体は安全性を主目的に検証したものではない。

安全性・摂取量の注意点

摂取時のジリジリ感(パレステシア)は医学的には一時的で無害な感覚とされるが、不快な場合は一度の量を減らし数回に分けて摂る方法がある。日本の厚生労働省「日本人の食事摂取基準」にはベータアラニンの耐容上限量は設定されていない。持病がある方やほかの薬・サプリメントを使用中の方は、自己判断で量を増やさず医師や薬剤師に相談してほしい。本記事は特定の効能・効果を保証するものではなく、学術論文の内容を紹介するものである。

よくある質問

ベータアラニンは筋肉を大きくする効果があるの?

今回のメタ分析が対象にしたのは主に高強度運動時の「運動能力」「パフォーマンス」であり、筋肥大そのものを直接評価したものではない。筋肉量への効果を示すものではないと理解したほうがよい。

ジリジリ感(パレステシア)が出たらやめるべき?

医学的には無害な一時的反応とされているが、不快感が強い場合は摂取量を減らす、複数回に分けて摂るなどの対処が一般的である。体調に不安がある場合は医師に相談してほしい。

同じく高強度運動時のパフォーマンスを支える成分としては、シトルリンマレートのメタ分析記事も参考にしてほしい。

KINNIKU TIMESの視点

今回の効果量0.18は「小さいが確かにある」というレベルで、プロテインやクレアチンのような分かりやすい効果の大きさとは異なる。とくに効果が出やすいのは0.5〜10分続く高強度運動の「持続力」で、短距離走のような一瞬の記録向上を狙うものではない。重炭酸ナトリウムとの併用でさらに効果量が上がる結果はあるが、重炭酸ナトリウム単体には消化器症状のリスクもあるため、安易な自己判断での併用は避け、気になる場合は医師や管理栄養士に相談した上で検討したい。


出典

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